10年ぶりに、東京に大雪が降りました。火曜日の深夜から降り始めた雪は昼を越えても降り続き、私の住んでいるところは10cm以上の積雪になりました。
関東の交通機関は雪に弱いため、私は今回も大きな混乱を予測していました。予想通り早朝から時間が経つにつれ通勤の交通機関に遅れが出始めましたが、
それでも大きな混乱にならず遅れは収まり、結局大きな影響が生じないままその日は過ぎました。翌日の雪の凍結も心配されましたがその晩の暖かさによって残りの雪もすっかり溶け、翌日は大きな混乱のない一日となりました。
ところが金曜日の朝、いつものように6時半過ぎに中央林間の駅から電車に乗ったのですが、駅を出発した直後に電車が停車してしまいました。車内放送によると鷺沼での信号トラブルで点検中とのことで、その場で15分ほど電車は停車していました。その後電車が動き出したのですが、たった15分の点検による遅れが、その後大きな遅れにつながっていきます。私は新聞等をゆっくり読みたいので、都内に出る朝は各駅停車に乗っていきます。各駅停車は朝のラッシュ時でも、一時間ほどで渋谷に到着します。始発駅なので座れますし、新聞を読んだり睡眠不足を解消したりとできるので、各駅停車は私にとっては便利な電車です。ところがその日は、なんと渋谷まで2時間以上の時間がかかってしまいました。これは新横浜から京都へ行ける時間であり、座っていたとはいえさすがに朝の通勤だけで疲弊してしまいました。
ラッシュ時の15分の停車は、15分間に駅に訪れる乗客を滞留させる結果となります。通常一つの駅で電車を待つ人間を10とすると、普段は3分ごとに駅に車両が来る路線ですと、15分の待機によって待機乗客数がおそらく50ぐらいに増えます。その全員が到着した電車に乗り込もうとしますので、当然乗降に時間がかかってしまいます。もちろんすべての乗客は乗れませんし、積み残しが出ます。そうなるとさらに後続の電車の乗降に時間がかかり、さらなる遅れを生みますし、先の駅の待機乗客数も増えます。このような悪循環を繰り返し、結果としてダイヤグラムがマヒし、今回は普段の二倍の時間がかかってしまったようです。
途中何カ所か迂回ルートはあったのですが、私自身は電車から流れる迂回を促すアナウンスの信憑性に疑いがあったので、結局渋谷までその満員電車に乗り続けました。というのも、以前はその迂回指示に従ってJRに乗り換えようとしたところ、改札口で見事な大混乱が起きており、戻ることも進むこともできなかった経験があるためです。同様に考える人間も少なからずいるでしょうから、結局大混雑のまま遅延はつづき、結果1時間遅れで渋谷にたどり着きました。
最近は人身事故も多く発生しますので、関東にすむビジネスパーソンは一月に一回はこのような事態に直面していると思われます。また私鉄相互やJRとの乗り入れも増えていますから、一つの路線で発生した事故や故障の問題が、接続する多くの路線に影響を与えることもままあります。となると、こういった事態を生じると、多大なる混乱と時間や労力のムダが発生していると思われるのです。
このような事態を防ぐために、やはりさらになるITの進化と活用が大切になると私は考えます。事故は完全に防げないとしても、故障は予防保守をすればかなりの範囲は対応はでるはずです。となれば、故障前にさまざまな部品が、自らの状態を管理センターに連絡するような仕組みを作れば、故障による遅れはかなりの確率で解消できるように思えるのです。また事故や故障が起きてしまった場合も、駅への乗客の侵入規制や乗車のコントロールによって、さらなる遅れを防ぐことも可能と思っています。その上他路線への迂回も、もう少し確実で信憑性のある情報が流れれば、ここまでの混乱を防ぐことができるのではないかと思ってしまいます。
定期券や鉄道のチケットがICカード化しているので、個々人がどこへ向かっているかは比較的容易につかめるようになっています。特に定期は行き先が明示されますし、その定期の所有者情報も購入時に捕捉しているはずです。となると、車両のセンサーが乗車している個々人と行き先を捕捉し、その上で最適な迂回ルートを算出し、それぞれの個人毎に携帯宛にメールを送るような仕組みを作れば、乗客を最適に配分でき、混乱を極小化できるように思えてなりません。逆にこういった仕組みを作ったとすれば、平時からさまざまなサービスに転用できる可能性が生じますので、導入したがる鉄道事業者も多く存在すると思われます。
仕方がないから我慢する、ではなく、どうやったらこのような問題を解決できるかを考える。これがこれからのIT技術者に求められることです。そこで多くのユニークなアイディアが沢山生まれ、世の中がどんどん便利になることを、私は願ってやみませんし、それが日本が再生する一つの大きな要因だと私には思えるのです。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・災害被害 先読みで抑制 海洋気候 津波予測、制度25倍に ドコモ:帰宅困難425万人割り出す
・スマホ向けアプリ動作確認サービス NTTドコモ ネット使い実機テスト
・中国データ拠点拡張 TIS、この夏にも規模倍に
・PC設計の家電や日用品 CGで実際の空間に再現 慶大がシステム開発 試作前に詳細確認
・東急、絵画で挑む「鉄道のない街」
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・アマゾンのクラウド ISDS、専用回線で提供 データ処理や安全性向上 企業需要取り込み
・EV航続距離300キロに挑む NECグリーンイノベーション研究所
・押し出されたエルピーダ 会社更生法の適用申請 負債総額4480億円
・故障予知し信頼高める 日立:世界のタービン監視 ダイキン:空調7万台ムダ探る
・パナソニック社長 津賀氏 6月交代 大坪社長は会長に
・スマホデータ消去 参入 ウルトラエックスがソフト まずiPhoneやiPad 中古市場に照準
・クラウドで名刺・メール共有 富士ゼロックス 有料化、サービス拡充
・データ爆発 世界悩ます スマホ 世界出荷5億台に迫る 米などで定額制見直し
・グーグル、個人情報今日から新指針 日欧米で懸念拡大 「保護を徹底」改めて強調
・DB専用機 運用・保守も一括受託 オラクル、利用形態問わず
・ビッグデータ事業拡大 日本HP 横断組織がコンサル
・「弁済は半年以上先」 エルピーダ 都内で債権者集会
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・ヤフー刷新、スマホが促す 社長に宮坂氏、経営陣一新 若返り、平均年齢41歳に
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・ウィンテル モバイル イス取り競争 インテル:供給、アンドロイド優先に MS:時期OS、タブレット照準
今週は、どんな一週間なのでしょうか。