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Weekly report
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 March Fourth week

  311から1年が過ぎましたが、ここにきて贖罪を終えたというスタンスの日本政府は、原発再稼働の動きを本格化させています。日本の電力事情や産業の状況を考えると、運用コストの安い原発を再稼働させることは重要なのかもしれません。しかし福島の状況が収束せず、周辺の土壌を調べるとメルトダウンで燃料が地中50cmあたりまで溶け落ちているところを考えると、そういった処理の問題を解決しなければ、再稼働は難しいと言わざるを得ません。

 私自身は、低コストでの電力共有は日本作業の復興のためには必要と考えます。特に投機マネーが原油相場に大きく影響している現在、化石燃料をベースとした発電は予想以上の高コストにならざるをえません。この電力コストの高騰が日本企業の生産意欲をそぎ、また海外に生産設備が流出すれば、結局多くの日本人の働きが失われてしまいます。震災の復興のためには多くの税金が必要ですが、こうやって納税が減れば当然復興の指揮がとれません。その結果、結局日本全体の景気は悪化しますます失業が...という悪循環が生まれてしまう可能性もあります。だから原発を必ず再発させる、というのは、政府の安直かつ偏った考えに見えてしまいます。

 私自身は、原発について明確な意見は持っていません。しかし現状の状況を考えると、再稼働は時期尚早であると考えざるを得ません。なぜならば、福島の情報が完全には公開されていない現状で、人間の英知を超える事態を一部の人間だけでコントロールできるとは思えないからです。政府ならび東京電力の幹部は、情報を隠蔽することでこの事態を収束させ、いままでどおりうやむやのうちに元通りの状況を作り出そうとしているのかもしれません。しかしそのことが今日の状況を生み出したとすると、それが危険といわざるをえないと思うのです。情報を公開しようが隠蔽しようが、事態は大きく変わりません。だからこそ情報を隠蔽するのではなく情報を公開し、国民の冷静な判断をもとに事態の収束の方針を決めるべきなのです。

 もちろん私は、感情論で技術的な方針を決めることは危険と考えます。だからこそ法廷と同様の方式をとり、弁護士同様賛成・反対論それぞれの立場の技術者を専任し、徹底的に議論させるべきと考えます。その上で裁判員制度同様国民の代表を選び、中立的専門家の支援の元に再稼働や廃止の方針を決めていくべきと考えるのです。

 私は技術者のはしくれですので、原発のような人間の英知をこえるものを、ただ単純に利用してはいけないとは考えません。英知を超える技術だからこそ、人間の英知を磨き上げ、それをコントロールする方法を考えるべきなのです。火をコントロールすることを覚えた人間は、文明を生み出しました。それでも未だに年に数回世界中で大きな火災が起き、尊い人命が失われます。人命が失われ、完全にはコントロールできないのだから火を使ってはいけない、と考える人間は少ないと思います。なぜなら人間の英知をもって火の危険性を十分に認識し、それをコントロールする万全の体制と装置で利用すれば、安全に扱え価値をもたらすことを知っているからです。原子力も同様であり、英知を磨き、技術を生み出し、その上で万全な体制と装置で利用する。これが正しい方向ですし、技術者として知恵を絞るポイントであると私は思います。

 こういった徹底的な論議と検討を重ねず、一部の人間が自分の利権のため密室で再稼働を決める、それも再稼働を前提としたシナリオで再稼働を行っていくことは、やはり国民として認めることはできないことは確かです。

 先日作業の合間にテレビをつけていると、私の好きなボブ・ジェームスというJAZZピアニストが、岩手の素人JAZZビッグバンドと競演している風景が放映されていました。ボブ・ジェームス氏は昔サントリーのコマーシャルにも出ていたピアニストであり、日本通で親日家の方です。現在はソロ活動と並行して、JAZZの名プレイヤーを集めたFourplayというバンド活動も行っており、私も時間がとれればかならず青山のBluenoteへ赴いています。

 そのボブ・ジェームズ氏が、東北の復興のために行ったのが、岩手のJAZZフェスティバルだったようです。そのフェスティバルに向けて「Put Your Hearts Together」という新しい曲を作曲し、日本の復興に捧げ演奏をしていました。ビッグバンドとの競演そのものも本当に素晴らしく感動的でしたし、合間にインタビューで家族を亡くされたバンドメンバーの話を聞きながら嗚咽しているボブ・ジェームズ氏の姿に心を打たれてしまいました。さらにその曲が日本中の素人JAZZバンドの復興への呼びかけとなり、各地で演奏されるようになったそうです。当のボブ・ジェームス氏は、この曲を演奏することによって自分が復興に協力するつもりが、それ以上に自分自身に得るもののほうがずっと多かったと語っていました。その結果この曲のタイトルも、「Put Your Hearts Together」から「Put Our Hearts Together」に変更したそうです。

 遠い米国のJAZZプレイヤーが津波の街を歩き、影響の少なかった東京を歩き、日本の明日を考えている。日本の強さに感動し、自分が出来ることの意味をかみしめている姿に、何も出来ていない日本人の自分が恥ずかしく思える一瞬でした。

 私に何が出来るのか、いま私がすべきことはなにか。自問自答はまだまだ続くようです。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

震災損失4兆円 上場企業、4割が計上
・食品向けシステム強化 NTTデータ キリン子会社に出資
・IT人材の「確保課題」 国内CIO対象 ガートナー調査
・旭化成、1800億円で米社買収 ヘルスケア、成長の柱に
・NEC、再構築を加速 社会インフラ 売上高5000億円目標
・データ分散保管 手軽に CTC 企業向け DC網使い自動更新
・日本酒サイト 女性向け ショーケース・ティービー スマホで
・中国・アリババ 経営幹部の育成強化 新規採用は絞り込み
・日立、2つの戦略本部新設 クラウド・インフラ案件対応
・ネット成長「頂上」が阻む 中国動画サイト1位・2位合併 接続に規制 革新遅れる
・復興工事、ITで安全に 大林組:3Dで建機遠隔操作 清水建設:レーザーで計測正確
・IT農業、富士通が実験 山梨で 成長管理のデータ収集
・オフロード2輪 逆輸入 ホンダ タイで生産,価格抑制
・ERPソフト活用システム構築 日立ソリュ、欧米展開
・教材は授業動画配信 青学大社会情報学部、iPhoneで教育支援
・事業再生ADR新生 山行記線 用船料延期も要請
・企業IT武装の核に「情報の山」活用広がる 「iPad」休息に浸透 1000億円市場争奪へ総力戦
・新型「iPad」一手に生産 「鴻海モデル」きしむ 中国賃上げ直撃

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。