ゴールデンウィークも終わり、やっと業務再開です。今年のゴールデンウィークは海潜亭開業準備のため、伊豆の熱川に籠もっておりました。数年ぶりの連日のハードな肉体労働の連続で体中が悲鳴を上げておりますが、頭と心はだいぶリフレッシュできたようです。
さて、先日フランスの大統領選が行われ、保守派のオランド大統領が新たに選出されました。このことにより、サルコジ元大統領がドイツと連携して進めてきたEUの債務超過国支援のための政策は、大きく路線を変更する可能性が生じてきました。もともとフランス自身、経済状況は決してよくはなく、国内の失業率は高いままです。さらにヨーロッパ内からの移民が低賃金の労働を占有してしまうため、低学歴のフランスの若者の仕事を奪ってしまう結果となり、若者の失業率はより高まっています。その状況においても、EU全体の立て直しのために積極的に財政を支出し、国内経済の立て直しが後回しになっていたサルコジ元大統領に対して、国民が強い反発を持っていたようです。その結果今回サルコジ元大統領は敗戦し、保守派のオランド氏が当選したようです。オランド大統領がどのような政策をとるかは不明ですが、おそらくは国民の支持を背景に、国内経済優先の政策に方針転換しそうな模様です。EU全体の経済を積極的に支援してきたのは、フランスとドイツです。しかし今回フランスがその立場を離れるとなると、ドイツ一国だけでEU経済を再建できるかは大きな疑問となってきました。
さらにユーロ不安を引き起こしたギリシアでも、議会の総選挙が実施されました。与党は財政再建を目的に緊縮財政を軸とした政策を掲げましたが、結果は与党の
惨敗となってしまいました。つまり国民は緊縮財政ではなく、経済破綻を生んだ潤沢な公的支援を継続することを望んだようです。与党は議会の過半数をとれなかったため、野党との連立政権を模索せざるを得ないようです。ところがギリシアの野党は、「世界からの借金など、返済の必要なし」などという債務国として決して発言すべきではない事項を公約に掲げるほど過激ですから、ユーロ不安が再燃しそうな模様です。
現在の経済を支えているのは、投資熱のさめない中国と、継続的に新しい技術やビジネスを生み出している米国です。もちろん今後発展途上国がさまざまな投資を行うことも考えられますが、それらの投資の源泉は先進国の財政支援ですから、ユーロ圏の経済破綻が起きればこういった支援が難しくなり、発展途上国も投資が難しくなるでしょう。さらに中国が生産した様々な商品の大口購入国はヨーロッパですから、ヨーロッパ経済が破綻すれば中国も大きな影響を受けます。このようにフランス大統領選の結果に端を発したユーロ経済不安の再燃は、現在勢いが弱いながらも復興しようとしている世界経済をさらに痛めつける
可能性をもってきました。
かつてリーマンショックが起きたとき、時の日本の首相は国内に影響はないと宣言しました。しかし現実はたった3ヶ月で世界経済を破綻させ、日本も大きなダメージを受けました。その立て直しも出来ぬまま起きた311の大震災によって、日本経済そのものは現在相当に疲弊していますし、それでも日本政府は、積極的な経済対策を講じることが出来ない状況です。このような中でさらなる世界経済不安の種が蒔かれたことに対し、世界はどのような対応を取るべきか、日本は今後どのような準備を行うべきかを真剣に考えざるを得ない状況になっています。
私自身が考えることは、それでも経済の基本である循環を回すことと考えます。よりよい物やサービスを作り、それを購入し消費する。蓄財ではなく、豊かな生活に向けたしっかりした消費行動を行う。さらにその消費の源泉である雇用を安定的に作りだし、実需を生み出す。金融による架空の財を生み出すのではなく、堅実な労働によって財を生み出すことこそ、現在の我々が第一に考えるべきことと思っています。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・骨の欠損部 早期再生 人工骨使い幹細胞培養 MMT 阪大と3年以内に臨床
・サムスン、次はデジカメ 日本勢の牙城 3機種を投入 世界3強入りを狙う
・アマゾン、物流拠点増設 今年新たに13カ所 事業拡大に対応
・ヤフーが新通販サイト アスクルと提携 年末までに開設
・打倒アマゾン 名より実 アスクル、ヤフーが42%出資 5年で570億円投資 消費者取り込み狙う
・台湾IT2強 積極投資 TSMC:半導体向け4割上積み 鴻海:中国のスマホ工場増強
・電子書籍、米老舗がタッグ B&N MS強敵アマゾンに対抗 大学向け教科書、焦点に
・グリー、米市場開拓 ゲーム開発会社を169億円で買収
・米IT 増益7社止まり スマホ・クラウド・新興国 対応がカギ クアルコム2.2倍 EMC堅調
・大日本印刷、赤字164億円 前期最終 液晶事業不振で特損
・「日本人技術者を積極採用」 中国BOEのoo会長に聞く 技術・コストで強み追求
・被災構造物、ITで点検 東北大が実験 維持管理を効率化
・電力値上げ 神経戦 原発あす稼働ゼロ 赤字拡大必至 世論の反応伺う
今週は、どんな一週間なのでしょうか。