南海トラフによる地震被害の予測が発表されました。2003年時点での予測では全国で二万五千人程度の被害予測でしたが、今回の予測では32万人あまりの死者が発生するという、想像を絶する被害数が発表されました。これは東日本大震災地による津波の影響を加味したものであり、九州から関東まで太平洋側の広範囲のエリアで被害が予測されています。津波の被害を防げればかなりの人命が救えそうですが、それでも建物倒壊や火災など、甚大な被害になることは間違いありません。
この地震が今後数百年にわたり起きないこと、あるいは規模が予測よりずっと小さいことを願わざるを得ませんが、こればかりは起きて見ないことにはどうなるかはわかりません。となると、我々にできることは準備だけであり、物理的、精神的な準備を始めなければならないのでしょう。
身の回りや日々の対応については、昨年来このページでずいぶんと説明してきましたので、ここでは割愛します。今回申し上げたいのは、日々の訓練であり、これが皆様やご家族の命運を分けることになるかもしれません。具体的には、どのシチュエーションで地震に遭遇した場合、どのような避難や対応を行い、どのように行動するかをシミュレーションしておくのです。とっさの判断で対応するというのもありますが、有事の際にプロが的確な対応を行えるのは、様々なシチュエーションにおける訓練を行っているためです。となると、我々も普段の行動を洗い出し、対応を検討しておくことが有効であることは間違いありません。
たとえば、日中のビジネスタイムを考えてみましょう。ビルの中にいた場合、あるいは喫煙等で外にいた場合、どこに避難することがのぞましいのでしょうか?ビルの上階にいけば行くほど、窓付近はガラスの破損や急速度で移動してくる家具の脅威にさらされます。また会議室等の小さな部屋は、パーティションの破損で閉じ込められるかもしれません。ロッカーや書庫の多い壁際は、それらの下敷きになる可能性もあります。
高層階から下に降りる階段が、すべて使えるとは限りません。フロアと階段を仕切る鉄扉のフレームがゆがみ、扉が開かないことも考えられます。もちろん階段室の照明が、確保される保証もありません。そのようなときに、どのように行動するか、そのために何を準備しておくかを考えるだけでも、生存の可能性は確実に上がります。
私が子供の頃は、大きな地震になると必ず火を消し、同時に家の入り口である鉄扉を開けさせられました。関東大震災や戦争の記憶が、そのような行動を私の親にとらせたようです。戦争が日常になると、生き残るためのさまざまなことが当たり前になります。逆に平穏な日常が続くと、そういった有事の対応を忘れてしまうのが人間です。だからこそ我々は、東日本大震災や阪神大震災の教訓をもとに、有事に備える必要があるのです。
こういったノウハウを、広範囲のシチュエーションで考えることは本当に難しいと思います。車椅子の方がどのように避難すればよいか、そのためにどのような手助けをすると助かるのかは、車椅子を知らない人間には考えにくいからです。だからこそこういったノウハウを集めたHPを作成し、誰もが活用できるようにすることは本当に価値のあることと思います。一人一人の気づきをノウハウ化し、有事の際に皆で活用する。こういった仕組みが、数多く生まれネットで繋がっていくことを私は願っています。
【追記】
米国のShakeout(シェイクアウト)という訓練が、日本国内でも広がっています。これが有効かは現時点の私には判断がつきませんが、ご興味がある方は調べていただくと面白いかもしれません。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
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今週は、どんな一週間なのでしょうか。