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Weekly report
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 September Second week
 レックス・ホールディングスがコロワイドの傘下に入りました。両社をご存じない方のためにわかりやすくご説明すると、牛角が甘太郎の子会社になったということです。事実上の牛角1号店が開店したのが1996年、隆盛を極めたのが2000年頃ですから、わずか15年ほどでその歴史に幕を下ろしたことになります。もちろん牛角ブランドは今後も続くでしょうが、あくまでも大手外食産業であるコロワイドの一ブランドとしてであり、レックスの牛角は歴史を終えたことになります。

 もともと牛角の西山社長は不動産管理会社を営まれていましたが、不動産価値を上げるために内装リフォームを始め、そこで働いてくれた若者の一言から焼き肉屋を始めたそうです。内装現場で働く若者にとって、焼き肉屋はなかなか訪れることのできない高級店であったため、そういった若者が気軽に食べられるものにしようと牛角を始められたそうです。良質の焼き肉を、若者の手に届くように安価に提供する。このコンセプトは当時の若者に支持され、牛角は一つの時代を築いたことになります。

 貧乏な若者であっても、安くてうまい焼き肉を腹一杯食べられる。若者の支持は店舗の拡大につながり、いつしか牛角は巨大焼き肉屋チェーンに成長し、2000年には上場まで果たしました。しかしその後の展開は、迷走を極めることになります。上場によって集めた資金を有効に使えず、シナジー効果を狙ってampm、成城石井、レッドロブスターなどの有名ブランドを次々に手に入れていきます。しかし結果としてシナジーは生まれず、牛角本体の重荷になっていきます。結果ベンチャーキャピタルの支援を受けることになり、MBOによって2007年に上場を廃止し、その後手に入れたampm、レッドロブスター、成城石井などのブランを売却し牛角の立て直しを図ってきました。しかし結果としてそれはかなわず、今回のコロワイドの子会社になったようです。同じ軌跡をプレミアムコーヒーチェーンであるタリーズを擁したフードX(エックス)グローブもたどっており、外食・飲食産業の難しさを物語っています。

 両社に共通するのは、やはり多角化の罠でしょう。本業がある程度軌道に乗ると、かならず成熟局面を迎えます。そこでさらに本業を磨くのではなく、その余力で多角化を図ろうとする。逆に言えば一本柱では不安なため、複数本の事業で企業の安定を図る。これはあたかも正当に見えることなのですが、過去の例をひもとくと意外とそれは難しいことに気づかされます。

さらに牛角・タリーズの両社をみると、移ろいやすい若者をターゲットにしたが故に、彼らの変化についていけなかった点も上げられるかもしれません。安くて質の高い店は若者にとって魅力がありますが、自分だけが知っていることが大切であり、他人に自慢できる店であることも大切になると思われます。そういった店が大規模展開し皆が知ることになる、ましてや家族づれや親父が集うようになると、若者は離れてしまいます。となると、若者をターゲットにしたビジネスの焦点が自ずからずれることになり、両社がたどった道筋ができてしまうのかもしれません。

 それに拍車をかけたのが、インターネットなのかもしれません。より素敵な店を自分で見つけ、SNSを使って他人に紹介する。誰でも知っている店ではなく、自分が発見し開拓した店が有名になる。こういった動きが、若者の変化を助長している可能性もあります。

 外食産業や飲食店は、基本的に待ちの商売です。美味しくて安い料理を沢山用意しても、客が訪れなければ早晩店を閉めるしかありません。逆に多少味に問題があっても、SNS等でブームになれば、一過的に集客は可能です。逆に真面目に商売を営んでいても、ブームで応対力以上の客が訪れれば、接客や味が落ちてしまうことも考えられ、結局は客離れを進めてしまうこともあり得ます。

 我々は牛角から何かをまなび、明日の外食産業につながる仕組みを作り出さなければなりません。毎日の注文や売上から顧客の動向を把握するだけでなく、競合する各社の動きもつかみながら、市場全体の動きを把握し、明日の注文に繋げる。経済や所得と外食との因果関係をもっと詳細に分析し、顧客の増加とリピーターの数を増やす施策に繋げる。これぞまさにビッグデータ時代にクライアントが求める結果であり、その結果を出せるように我々は日々努力を重ねなければならないと私は考えています。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・業と情の柳井氏の執念 側近達が見たカリスマ 「守り」「安定」許さず ファストリ再び飛躍
・企業の業務、ウェブに集約 グーグル、法人向けクラウド拡充 SNSで会議機能
・炭素繊維強化プラ関連技術 中小、航空宇宙向け商機 「787」量産追い風に
・ルビー、世界共通言語へ 米IT、サービス提供相次ぐ 開発・運用、クラウドで
・苦境のNEC、シャープ、ソニー・・ 電機1万人削減 受け皿は中国 華為やレノボ 週1回入社式
・日立が農業クラウド 果樹や花、青森で データ集め最適な栽培 SNSで販路開拓支援
・古い業務ソフト 最新OSで利用 双日システムズ 仮想化の技術応用 ウィンドウズ7対応
・義手、脳波で意のままに ITが導く医の進化論 電通大:ジャンケン可能
・IT化、車は馬に 友山茂樹 トヨタ常務役員
・iPadレジ、挑戦実る ユビレジ社長 木戸啓太氏 米IT大手の出資引き出す
・デュポン、技術流出許さず アラミド繊維 知財紛争、韓国大手に勝訴 製販20年禁止勝ち取る
・視力再び 人工網膜に託す ITが導く医の進化論 奈良尖端大 スマート電極で小さく
・タブレットで運行改善 航空機や船舶 全日空:積載量知り燃料調整
・実践ICT オークネット、中古車競売データ分析 経営戦略立案の武器に 営業スタイルを効率化
・MS、スマホ第3極へ関門 アプリ:2強に比べ見劣り 機能:焦点絞り込みカギ 陣営:ノキア+α不可欠

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。