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 October Fourth week
 またも地方の危機が起きました。

 ソニーが岐阜県美濃加茂市に開いていた美濃加茂サイトを、来年3月で閉鎖することを発表したのです。ここで働いている方は2000名ほどですので、美濃加茂市からそれだけの雇用が失われる可能性が高まっています。美濃加茂市は人口5万5千人程度、世帯数は1万9千人弱ですので、一世帯あたり3名程度の家族構成となります。となると、2000人の雇用喪失で6000名の方の生活に影響が出ますし、解雇対処の方やご家族が利用されるお店や施設などにも影響が出ることは想像に難くありません。お店や施設に働いている方もご家族がありますから、仮に1000名の労働されている方が影響をうけると、結果として3000名ほどの方にも生活に影響が出ます。となると美濃加茂市の人口の15%の方が何らかの影響を受けることになりますし、美濃加茂市の税収や福祉サービスにも大きな影響を与えることになります。

 このように地方の小都市にとって、その街の最大企業が撤退すると、街全体に大きな影響を与えてしまいます。雇用が無くなれば住民は職を求めて流出をするしか生計を立てる方法がなくなりますし、残された老人も生活環境が荒みより不便になってしまいます。逆に都会は人口流入が続き、住宅や様々な施設が逼迫します。現在は若者が流入しても、老齢化とともに相対的な人口は減少しますから、以前申し上げたとおり都会にスラム街が生まれる可能性が高まりますし、様々なサービスも徐々に低下していきます。

 すべてが集まる都会は便利ですが、本当にここまで集中しなければならないかは疑問が残ります。プログラム開発やテストなどの知的活動であれば、このネット時代であれば地方でも仕事は可能です。仕事の発注は都会の大企業だとすると街全体の産業とはならないかもしれませんが、働き手がそこで住民税を支払えば地域経済が維持できます。都会の便利さはネットによっても一部享受できますし、ネットで実現できないショッピングモールや繁華街は、地域経済が活性化すれば新たに展開することは可能なはずです。

 昔の若者は、都会に憧れました。東京を代表とする都会に出るには長時間の移動手段を使い、すべてを捨てる覚悟で上京しなければならない。しかし都会に行けば夢が叶う、何か新しいチャンスに出会える。これがかつての都会の姿だったように思われます。ところが交通機関の発達とメディアの整備により、都会と同じ情報を手に入れることは可能ですし、都会と同じ物を購入したり利用することも決して難しくはない時代です。ディズニーランドやUSJスタジオはそこにしかなくても、それは旅行で体験することができます。都会に住んで、都会に暮らすことが本当に必要なのか、逆に都会で住まなくても今と同様、いやそれ以上の生活を謳歌することは可能ではないのか、と私には思えてしまいます。

 私自身今年伊豆に家を持ったことで、現在月に数日は田舎暮らしをすることになりました。車の音どころか人の声さえしないような田舎ですし、生活の上で車は必需品となるような場所です。それでも生活レベルは都会と違いはありませんし、食材や環境の豊かさを考えると人間としての幸せは伊豆の生活にあるように思えます。森を歩き、海を眺め、自然に移り変わりを肌で感じる。人よりも虫や鳥、リスなどの小動物に出会うこの環境のほうが、さまざまな発想が浮かぶことは事実ですし、精神的・肉体的な病にもかかりにくい環境のように私には思えるのです。

 確かに若い人にとって、都会は刺激にあふれる魅力的な場所かもしれません。しかしある程度の年齢になると自然豊かな場所も魅力的になります。月に何回かの出張さえ許されれば、システム開発などお客様と打ち合わせることは可能ですし、それ以外の日々を地方で過ごすことは可能です。生まれ育った地元や、自然豊かな環境で子供を育てることを望む、若い夫婦も少なくないと思います。となれば大きな企業を誘致して地域を活性化させるだけが、地方都市の再生方法はないことが解ります。

 逆にIT企業などはこの状況を考え、新たな雇用のアプローチをすべきかもしれません。オープン化の影で大きなプロジェクトは減少し、集合しなければモノ作りが出来ないというシチュエーションは徐々に減っているはずです。人件費や関連する諸費用など人を取り巻くコスト削減が急務となっている現状を考えると、安直なリストラや従来通りの採用だけでなく、こういったライフスタイルを選択する地方の若者を採用するのも一つの方法かもしれません。逆にITを利用してこういったライフスタイルを実現しうる仕組みを生み出し、日本中に普及させることが、地方を再生させる一つの方法かもしれないとすると、このテーマをIT企業の商材として検討する価値は必ずあると信じています。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・スマホ関連 頭打ち 電子部品価格 PC商戦、期待はずれ
・私設クラウド 国内需要拡大 IT企業、サービス続々 米では共同利用型が主流
・「ネット銀システムに軸足」 野村総研 証券依存脱却 産業向け需要開拓
・医療機器の所在 ICタグで管理 埼玉医大と大成建 建物の分岐点アンテナ設置 導入コスト1/3
・孫氏、米へ3度目の正直 買収王、悲願のグローバル化 ソフトバンク携帯世界3位に
・台湾HTC失速、2強の壁 アップルやサムスンに劣勢 スマホ MSの新OS活路
・今年の国内ITサービス市場 4年ぶりプラスに 民間予測4.9兆円
・インド映画 日本で踊る IT駆使、ハリウッド顔負け 製作数世界一、価格も安く
・薄型PCウルトラブック タブレット(火)に活路 ウィンドウズ8の登場契機 薄さと操作性両立
・東京・新宿区の庁内クラウド サーバ台数 9割削減
・センコー、スマホ活用 GPSトラック運行管理 急な発注、最短距離を選択
・「何でもやるIT企業に」 オラクル社長 クラウド強化し事業融合
・世界IT景気 曲がり角 7〜9月 減収減益
・入力業務支援システム 大日印、開発期間を半減 デジタルペン活用 費用も4分の1
・外国語の看板やメニュー iPhoneかざし翻訳 オムロンソフト カメラ活用
・日の丸EV はや孤立感 充電規格「チャデモ」が落選 欧米「コンボ」離陸準備着々

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。