米Newsweek誌が、紙ベースの雑誌の販売を年内で廃止することを発表しました。
日本のNewsweekは当面紙媒体が続くようですが、本家の米国ではとうとう廃刊のようです。TIMESとならぶ有名ニュース雑誌であったため、雑誌の世界で計り知れない影響を与える結果となりました。これを契機に紙媒体の雑誌が次々廃刊し、電子出版となって生き残ることは想像に難くありませんし、同時に大きな影響を受ける印刷、紙、輸送の各業界がどのような対応策を講じてくるか、興味が尽きないことになります。
廃止の原因は、やはり広告収入の激減のようです。昨年は前年比20%ほど、今期も17%ぐらいの広告費が減少したようです。もともと雑誌は制作コストと輸送コストがかかるため、発売部数では採算がでにくい仕組みになっています。雑誌を黒字化するためには広告収入が必須であるため、この命脈たる収入が減少すると発刊が難しくなります。今後は電子化によって紙、印刷、輸送コストが激減できるためNewsweekは生き延びる可能性もありますが、上手に電子出版で採算をとっていくのは難しい戦いになるかもしれません。
逆に先日ついにiPad
miniが発表され、いよいよタブレットPC市場も激戦の状況となりました。googleがNexus7を発売し、AmazonもKindle
Fire HDでこの市場を押さえようと躍起になっています。そこへそれを否定していたS・ジョブズの意向を無視するがようにiPad
miniが発表され、電子ブックサイズのタブレットPCの戦いも激戦となってきました。どのプラットフォームが電子出版の世界で主導権を握りどのようなサービスを提供していくのか、本当に興味深い状況です。
雑誌のように、消費される情報は電子化に向くのでしょう。情報を得ることと時間をつぶすことが主目的ですから、手元に雑誌が残る必要はありません。むしろ様々な観点で検索がしやすく、自分の目的にあった記事を残せるのであれば、やはり電子化は最適に思われます。逆に雑誌は、電子化という中でコンテンツとしてのあり方を変えなければなりません。動画や音楽を利用するのは当たり前ですが、関連する記事や知識と連携をとったり、さまざまな物品の販売と連携していくのが今後の姿でしょう。逆に単純な広告収入は減少し、広告出向先の商材やサービスが販売されて初めて雑誌に手数料が戻るような仕組みになることも想像に難くありません。
このような動きの中で一番問題となるのは、どういう姿で情報を提供することが望ましいのか、その中でどのように広告主と読者を津なべていけるのかのモデルを誰がつくかということです。機器の性能はそれほど差がありませんから、そういったモデルやプラットフォームをつくる企業が今後の中心となっていくのでしょう。
問題はそのプラットフォームを作る企業に、Newsweekが入っていないことだと私には思えます。iTuneストアのようにApple社が提供するプラットフォームに乗った瞬間、Apple社が有利になることは間違いありません。今回のNewsweekは、自社のプラットフォームを念頭に置いて紙の雑誌をやめたとは思えないのです。となると、あくまでもどこかのプラットフォームのコンテンツの一つとなってしまうため、結局はNewsweekは他社に負けます。なぜならブランドが足かせとなり、新しいことにチャレンジしにくくなりますし、若い顧客もレガシーメディアとして扱うため、相対的に新しいニュースメディアを選んでしまうからです。
このように今後の競争は、これまで自分が所属していた業界の動きと連携しただけでは間違えなく敗者の道を歩むことになります。すべての企業がITを活用した新しいビジネスモデルを考え出せるか、その集中力と迅速な行動力のみが、今後の企業の生存を保証するのでしょう。 ========================================
先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
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・三井住友銀の基幹システム NECが受注 処理能力3.5倍
・タブレットが等 IT価格革命 ウィンドウズ8今日発売 PCモデルの限界
今週は、どんな一週間なのでしょうか。