先日ビックロを訪れてみました。
ビックロとはその名から推測できますが、ビックカメラとユニクロのコラボレーションブランドになります。実際には新宿東口の三越跡地に、両店舗が共同で入店するものであり、開業前から新宿の新名所として大々的に宣伝がなされていました。開業当初はかなりの人だったようですが、私が訪れた日は平日の夕刻であったため思ったような混雑もなく、ゆっくりと店舗内をみることができました。
店舗の地下並びに地上4階から上は基本的にビッグカメラであり、紀伊國屋書店横にあった店舗を拡充した物に見えます。2〜3階はユニクロが入っており、1階は半分ずつという形で両方の店舗が入店しています。店舗の中には雑然と両社の商品が並べてありますが、逆に言うとビックロでしか買えないような特徴のある商品は見当たりませんでした。店員の融合度合いも高いわけではなく、お互いの店舗でなんとなくそれぞれの商品を売っているのが実情のようです。正直な感想を申し上げると、ユニクロとビックカメラの相乗効果がまったく発揮されていないというのが実感です。ただたた家電と衣料品が混在して並べてあるだけで、それ以上でも以下でもありません。これであれば完全に両社を分けて、それぞれの店舗に訪れた人間を上手に相手の店舗に流すような仕組みを作ったほうがずっと効果的のように思えましたし、このような話題づくりをしないと十分な集客が見込めない小売店の苦悩が見え隠れしていました。私は今後の小売店のあり方を実践するビックロにある意味期待をしていたのですが、悪い意味で外されてしまいました。
ビックロがめざすべき方向は、明らかなように思えます。それはビックカメラとユニクロ両社が本当に知恵を出しあい、両社を融合した特徴のある商品を提供していくことです。両社とも生活で利用されるファッション性が重要となる商品を扱っています。またそれらは一定期間利用される物です。また両社の扱う大半の物は、生活に必ず必要となるものです。となると、ユーザのライフスタイルやファッションセンスに訴えかける製品を提供していくことが一つの方向となるはずです。
たとえば、ユニクロのある衣類を洗う際に最も適した洗濯機はどれか、売り場で紹介するのです。それもライフスタイルや家族の人数によって、最適な物をお勧めするのです。一人暮らしで乾燥機も使うのであればこの機種、遊び盛りの子供が複数いる場合はこの機種、といったように、ユニクロの衣類をもとに最適な洗濯機をお勧めします。同様に最適な温度を提供するアイロンはどのような物があるか、それをどのような手順や方向であてていくと最も綺麗に仕上がるかを、製品紹介ともに情報提供するのです。
逆にビックカメラのほうでは、そのシーズンのレコメンデーションの衣類をもとに、どのような家電をそろえることがおしゃれか、総合的なプロデュースをします。洗濯機はこれで、冷蔵庫はこれで、ファッションが変わっていくとしても、このようなセンスの物であれば汎用性がある、など、家電を中心にライフスタイルを提言していけばいいはずです。そしてユニクロがSPAであるメリットを活かし、保温性能を高め省エネを促進するこたつ布団やフロアマットを作ったり、携帯音楽プレーヤーを楽しみやすいアウターを企画したり、タブレットPCが利用しやすい手袋や鞄を提供したり、といったビックロ独自商品を提供すれば、より面白くなるでしょう。そこにしかなければ顧客は訪れますし、そこでヒントを得られれば、製品開発やデザインにも変化を与えられるはずです。
こういった衣類と装備を総合的に見直しもっとも機能的な衣類や装備を開発しているのが軍隊です。冬に重たい銃器を操作する際にも動きやすい衣類や防寒具、防寒具をつけても操作できる小銃など、こういった工夫は実際に行われています。
逆に現在のビックロのようにただあるものを並べるだけでも、この冷え込んだ顧客の消費性向を上向かせることは難しいと思います。大切なことは、アイディアを元に新しいものを生み出すこと。そのアイディアがなければ、日本のあらゆる産業は世界の大きなうねりの中で生き残っていくことは難しいでしょう。そのアイディアを発揮し、素早く作り、反応を確かめ、改善を行う。かつての日本の製造業が誇った鉄壁のマネジメントサイクルを、すべての日本企業が取り戻さなければならないと私は考えています。
久しぶりに夕刻に繁華街を歩きましたが、気のせいかもしれませんが新宿全体の活気が無くなっているように感じました。311以降照明が減灯されたせいもありますが、全体的に薄暗く人通りが減ったように思われます。いたるところで鳴り響く音楽も少なくなり、客引きの姿もまばらになりました。街全体に活気が無くなったように感じます。景気の減退なのか、放射能の影響や中韓との関係悪化による観光客の減少なのか、はたまた他の原因なのかはわかりませんが、街に活気がないことは夜遊びをしなくなった今になっても寂しい限りです。ビックロのような新しい取り組みが、日本経済を活性化させてくれることを切に願っています。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・中小向け非常システム 富士通マーケ、価格1/3 クラウドに丸ごと複製
・スマホ2強、競争し烈 サムスン:3期連続台数首位 アップル:純利益24%増最高
・NEC、4年ぶり最終黒字 4〜9月 構造改革で一定の成果
・ら雨天、消費者庁から始動 電子書籍数を過大表示 日程優先、拙速ぶり露呈
・スポーツ衣料 東レマジック アパレルと共同開発品 繊維、今や稼ぎ頭
・名医の動き、なぞって習熟 腹腔鏡手術 阪大 手本を画面投影、研修時間1/7に
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・自販機に購入者向け広告 マイクロアド 顔認証で性別など即判断
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・答案、発表もタブレット 内田洋行、授業用アプリ ・手書きOK ・簡単に図形
・IT開発拠点 世界に 近くベトナムにも進出
・MSが握るノキアの運命 「ウィンドウズフォン8」来月登場 シェア急落 歯止め狙う
・開発責任者,退任へ アップル 地図誤表示で更迭
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・ディズニーが買収 ルーカスフィルム 3200億円で
・使用モバイル業務利用支援 日本ユニシスがシステム 文字コピーなど禁止 安全面を強化
・医療IT事業で成長 富士フイルム 症例検索、医師不足補う
・ヤマトシステム開発 高額品レンタル代行 カメラや医療機器 保管や回収一貫
・「普通の会社へ」大ナタ パナソニック7650億円赤字 今期最終 津賀社長「決断先送りしない」
・対キンドル マンガで勝負 楽天、電子書籍2機種追加 まずは白黒 タブレットは近日
・タブレットで工程管理 GRA、被災地農業の復興 経験と勘に頼らず作業
・クラレ、設備投資見送り 樹脂など、需要不透明で
・IT技術者に「経営塾」 今時若手教育 スーパー人材作り急ぐ
・苦境のシャープ アップルの憂鬱 今期最終赤字4500億円 パネル安定調達、目算狂う
今週は、どんな一週間なのでしょうか。