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 November Fourth week

 野田政権が解散を選択しました。

 リーマンショックにより大きな影響を受けた世界経済の中で、日本経済は再生の芽を見つけることなく自沈が続いています。昨年は東日本大震災により経済の自沈が加速し、本来は生じるはずの復興需要も生まれぬまま本日を迎えています。強いリーダーシップによって復興と経済再生に臨まなければならない政治も混迷を極め、党利のみを目的とした政治的駆け引きのみが国民の前に露呈されています。結果として日本経済はどんどん疲弊し、いよいよ政治的にも経済的にも末期的な様相を示しています。

 解散によって民主党が再び政権を握り可能性は高くないでしょうし、対抗馬の自民党に期待をもつ有権者もおそら少ないでしょう。駆け込みで第三勢力となるべく小政党が大同連合をはかっていますが、16日の選挙に間に合わせるのも難しいでしょうし、仮に政権を握った後も、意見や方針の統一を図ることはきわめて難しそうです。つまり、その政党を選んだとしても正直期待はできないということです。

 今の日本にとって大切なことは、この混迷した状況を激変させ住みやすい日本を再び作り出せるのは誰かということです。私の恐れる現代版独裁者の出現ではなく、日本という組織を上手に変革させ、多くの国民に幸せをもたらすリーダの出現を多くの国民が望んでいるのです。年寄りによる密室政治を改革し、オープンな政治を行う。これはどの政党も喧伝するテーマです。しかし大切なことは政治をオープンにすることではなく、国民が幸せになることです。日本を組織体と考え、その組織の目的を再認識して最大限最効率のリーダーシップを発揮し、その組織に所属する人間、関与する人間に最大限の幸福を提供する。これが今求められるリーダーの姿と思います。組織の存続という名目で、本来行うべき事を行わずにリストラを繰り返すリーダはその資質に欠けるとしか言いようがありません。

 私自身組織やリーダシップの縮図は、スポーツにあると考えています。最近は特殊部隊型の サッカーが研究対象でしたが、先日ある受講者の方からお送りいただいた元中日監督の落合氏の講演メモを拝見し、やはり野球の組織も面白い と思っています。日本企業が世 界に進出したり、外国人労働者を上手に使うモデルとしては、やはり野球の方が研究対象として面白いようです。労働流動性の低い システマチックな組織戦で戦ってきた野球が、昔の日本企業なのでしょう。優秀な人間を採用し、時間をかけて育て、実戦の中でスターを海だし、最後はそこで現役 を終えて監督やコーチに就任させる。さらに日本人の多くがこのスポーツに惹きつけられ、大きな市場が生まれ活性化していく。これは日本企業の王道であり、 球団経営の王道でもありました。

 しかし時代の変化と共に労働流動性が高まり、同時に顧客は多くの種類の製品やサー ビスを選択できるようになります。一つの製品やサービスに対するファンが相対的に減るため、より魅力のある製品やサービスを生みだすこと が企業には求められますし、それを積極的にアピールしていかなければなりません。さらに優秀な人材は海外に流出し、世界中の魅力のある製品やサービスが 、数多く日本に入ってきます。これが現在の日本企業の現状であり、日本の野球市場がそれを縮図として見せてくれています。

 このような状況において、リーダーはどう考えどう振る舞うべきか。流出するファンをさまざまな手段で取り戻そうとしている野球の世界に 、これからのリーダのヒントがあるように私には思えます。 優秀な監督がどのような考えに基づいて勝てる組織を作っていくか、その采配や考えに今後の日本企業が取るべき行動やリーダとしての姿勢が現れているような気がするのです。

 現在の日本の野球球団は、FA制度を導入しました。その結果優秀で成績を残す選手ほど米国球界へ流出していますし、球団間での選手の流動性が以前より遙かに高まっています。逆に流動性が高いからこそ、 これまで以上に優秀な人材を上手に使いこなし、その年のペナントレースを制していかなければなりません。そのためにはベテランと若手を競わせ、組織に活力をもたらすとともにその技術やノウハウを伝承する ことが多くの球団で行われています。さらに人材の流出を前提とし、代替人材の補充と若手の育成を図り層を厚くする。そして何より 積極的に経験の低い若手を登用し、明確な基準で評価を行ってベテランを含めた競争を活性化する。 従来のようにスター選手に高額報酬を与え続けて活躍させるだけでなく、さまざまな人事的な積極的手段によるベテランと若手の有効活用が球団の成績を左右するようになってきているのです。

 このような組織のあり方を視ていると、日本の企業が見習うべき点がたくさんあるように思われます。不況と国際競争の中でただただ人材を疲弊させている現在の企業を考えると、もっともっと若手を信じて登用し、組織活性化による新しい取り組みをしていく必要があると思いますし、リーダも考え方を変えていく必要があるように私には思えます。

 その中でもリーダシップのモデルとして面白いと思っているのは、先程の落合氏と巨人の原監督です。落合氏は現役時代から、卓越した野球理論と技術力で高い成績を残してきました。監督に就任後も、その理論で優秀な選手を育て、強すぎるともいえる組織を作り出してきました。非常とも思える采配と、感情を表さないニヒルなリーダシップは学ぶところが多いように思えます。ただし私自身は、巨人の原監督のリーダシップが参考になります。「ジャイアンツ愛」といった老舗球団の監督の発言としてはあまりにもかわいいスローガンを平気で口にしますが、若手・ベテランの区別無く最高の状態の選手を常に起用しています。若者にはチャンスを与え、ベテランには効果的な場面で活躍を求める。公平な評価を行い、調子が悪ければ名選手でも1軍にはあげない、といった非常な采配もふるいます。また常にファンの目線で謝辞を述べ、選手をほめ、楽しく明るい雰囲気を常に作り出す。落合氏ほどの自信も万能さもないかわりに、上手に人材を使い不祥事があっても株主からも好かれる原監督のリーダシップは、今後の一つのリーダシップのモデルのように私には思えます。

 学ぶべきモデルがあるからこそ、そこから学び実践する。この柔軟な姿勢が、今後の日本企業に求められていますし、政治の世界でも必要となっているのです。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・写真+音 雰囲気を投稿 ビットセラーがアプリ 動画より手軽に
・ノジマがメガソーラー 相模原に 出力1900キロワット、来夏着工
・SNS使う地域振興活発 魅力発掘 「よそ者」一役 山里体験など 共感呼ぶ本音
・ミャンマー、新特区 年明け着工 外資誘致のモデルに 日本3商社、開発主導
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・MSウィンドウズ部門トップ辞任 IT転換期 揺れる帝国
・企業システム24時間監視 シマンテック 東京に専用拠点開設 標的型サイバー攻撃対応
・成果報酬型で韓国参入 広告のアドウェイズ スマホ用 4カ国・地域で取引
・若者にICT講習 日本MS、進学や就労支援
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・スマホ含め一体で攻略 台湾エイスース タブレットやPCと分けず 日本参入を検討
・手術器具を効率管理 瑞穂医科工業 2次元コード印刷 使用履歴も把握 医療事故防止に期待
・クロネコ、アジア駆ける ヤマト、全日空と組み翌日配送 EC2兆円の先兵に
・Amazon、武器はクラウド 音楽保管にも活用 40万台以上のサーバ束ねる
・大日印 廉価版フェリカ ICカード発売 価格1/4以下
・日本ハウズイング、難産のシステム刷新 開発社変更、対話重ねる 南米社の自動開発ツール採用
・手書きの楽譜なぞって演奏 専用装置とPC・音源で 首都大学東京
・日産、実るか東風人脈 中国、新指導部が発足 ゴーン氏、次期首相に接近

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。