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 December Third week

 自動走行自動車の開発が続いています。

 数年前に発売された富士重工のアイサイトといった自動停止装置類が、自動車の安全性を高めています。現状の技術はまだまだ部分的であり、完全に自動走行ができるものではありません。しかしスマートシティの発達とともに、その中でハイブリッドカーや電気自動車などのスマートカーがその地位を大きくしていきますので、予想よりも早く自動走行の自動車が可能になるのでしょう。実際各自動車メーカーや世界の主要大学は、自動走行の実験車両を各地で走行させているようです。

 なにより驚いたのはIEEE(米国電気電子学会)の予測であり、なんと2040年には、世界を走る75%の車が自動化される予測だそうです。まもなく2013年ですので、あと25年ほど未来には、日本の車の大半が自動化されているのでしょう。

 自動化によって人身事故が激減することが予想できますし、それは非常に望ましいことと思います。ただし自動化がたった25年ほどで訪れるということは、現在車両をベースにビジネスを行っている産業が苦境に陥る可能性が高いことを意味します。バスやタクシーなどの公共交通機関、各種の荷物を運ぶトラックなどの運輸業、消防車や救急車といった救急車両などの、運転を司る業務が無くなるということを意味します。人の乗り降りや荷物の積み卸しに人間が必要かもしれませんが、それはごく補助的な者になるでしょう。となると、こういった産業に従事する多くの方々の仕事が無くなる可能性があるということです。もちろん自動車教習所などの免許関連産業も大きなダメージを被るでしょうし、郵便配達や新聞配達も自動化されなくなっていくのかもしれません。

 バブル崩壊後職を失った方の何割かは、タクシー運転手に転職したということを聞きます。もちろんこの数年の就職難のため、最初からタクシー運転手になる若者もいることも事実のようです。こういった職業専門性が低い職業が、多くの失業者の雇用市場として機能を提供してきたのですが、こういった産業の代わりをどこが担当するのか、我々は考え始める必要があるようです。一時的には介護産業がそういった人材を吸収するのかもしれませんが、人間の絶対量がする過程で老人は相対的に減るのでしょう。となると、介護産業も明るい見通しがあるわけではありません。

 25年という時間は、非常に長いものに感じられます。しかし今から25年前がバブル期と考えると、そうそう長い期間ではないのかもしれません。だからこそ自動車の自動化に向けて、影響を受ける産業が本気になって次を考え始める必要があると思っています。半自動があって、全自動化するのは当然ですから、今後どんな半自動が始まり、そこでどのようなサービスが求められる、あるいは提供できるかを考え対応していく。そして本当に全自動になる前に、産業としてサービスレベルを高めながらも余剰な人間が発生しないよう採用を調整していく。そして新しい産業が、本来であればそういった産業に従事する可能性がある人間をどのように活用するかを考える。これが我々に突きつけられた現実の状況のようです。

 高度成長期は、農村の季節労働者が多くのビルや橋梁建築などに貢献しました。やがてそのような人材は自動車メーカーの期間工となり、現在に至っています。タクシー運転手やトラックドライバーの仕事を誰が提供し、どのように人材を活用していくのか、そこにIT産業も積極的に貢献できるか、興味の尽きない時代が始まっていますし、これはIT業界にとっても大きな命題のように私には思えます。 

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・自動走行の夢 急接近 富士通:前方車が先導役 グーグル:地図データ活用
・任天堂「Wii U]関連の投稿 コントローラーに感心 品薄に不満の声多く
・モバイル機器市場 開拓 音響技術開発のドルビー 業界標準獲得めざす
・耐熱・耐水のICタグ 日本バノック 日立化成と樹脂シートで密封
・デジカメ、CPU役割分担 素早さ・快適性支える カシオ計算機
・セキュリティーなど課題 私物モバイル端末、業務利用広がる
・EVシェア 横浜市、中小向け実験 日産と協力、仮想通貨導入
・イトーキ 東京イノベーションセンターSYNQA 未来オフィス試行錯誤
・日本の家電復興 アイリスの挑戦 スピード感が武器 年1000品目投入
・トッパン、タイムセール情報 スーパー・飲食店用 電子チラシ 店長が配信、機動的に
・トロン 進化形は社会基盤 ビッグデータやクラウドに対応 交通管理や災害時安否確認に利用
・プロジェクター用 大日印が透明スクリーン 店の窓硝子に 広告映像の投影
・豪イノジェンスを買収 NTTデータ 日関連拡大狙う
・米4大ネット「GAFA」の乱世
・遮熱・吸音アルミ1枚で トヨタ系テクノエイト 車部品、音を熱に変換
・iPhone5用の地図 グーグルが提供
・慶大、履修支援にクラウド活用 リポート簡単に管理 教職課程の学生に交流促す
・ヤマハ発、バイクも女子会 講習会とツーリング開催 楽しさ実感 離脱者防ぐ
・人件費 4割政府持ち ゲーム立国 カナダの野望 日本に続く第三極に
・角川の一撃に グーグル譲歩 図書館電子化、対象外で合意 他社への波及は未知数 

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。