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Weekly report
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 January Third week

 来年4月に迫った消費税の引き上げですが、引き上げの前提として軽減税率を伴った複数税率が検討されているようです。

 今後の経済状況を元にこの秋に消費税引き上げ可否の判断が下される予定ですが、矢継ぎ早の経済対策と経済界の歓迎ムードを考えると、短期的に経済は間違いなく活況に転じていくでしょう。もちろんその後の経済停滞も十分考えられますが、停滞はおそらく来年度に影響するだけですので今年中に決定される消費税の引き上げは不可避と思われます。

 消費税はすべての取引に一律に適用される、比較的公平な税といえます。しかしながらすべての取引に適用されるが故、低所得者でも大企業の取引でも同率の税を徴収されます。そのため消費税は、低所得者にとっては全体収入に対する比率が高まるため負担が大きなものとなります。さらに生活必需品であっても高級品であっても同率を適用するとなると、高級品を購入できる高所得者や企業はそれらの購入を控えれば済むことになりますが、低所得者は生活必需品を購入しないわけにはいかないため、収入に対する負担がより重くなってしまいます。

 こういった問題を解決するのが、軽減税率です。誰もが必要とする食品などの生活必需品について消費税を軽減または適用外にする、というのがこの考え方であり、世界中で実施されています。しかしながら対象品目の定義に混乱が多く、運用が難しいことが難点でしょう。新聞報道等で有名になったイギリスのパイなどがこれであり、飲食スタンドでテイクアウトすると課税、スーパーでテイクアウトすると無税、といったように、同一品目であっても購入店舗や加工状態(すぐに食べられるか暖める必要があるか)などで税率が変わってしまいます。となると、軽減税率の適用は理想であっても、運用は非常に難しいということになります。

 さらに問題となるのが、情報システムです。現在のシステムは定率を前提としているため、いずれにせよ来年以降の消費税引き上げにともなうシステム更改が必要となります。もし軽減税率が導入されないのであれば5%を8%に引き上げるだけですので、更改内容はシンプルで規模は比較的小さなもので済むでしょう。もちろん引き上げタイミング前後の取引を棲み分けるためのロジックやチェックが必要となりますが、更改範囲は広くても内容は比較的簡単な修正になります。

 しかしながら軽減税率を導入するとなると、話は大きく変わります。複数の税率が存在するということは、品目によって消費税率を変更する必要があるため、計算方法ならびにマスター登録が複雑になります。さらに一回の取引で複数の商品を購入すると、軽減税率適用分と非適用分を分けて計算する必要が生じます。それらのチェックやロジックを作り、同時に地方税と国税の分配計算を行い、などと考えると、情報システムに相当な負荷がかかることは間違いがないでしょう。今秋に引き上げを決定し同時に軽減税率の導入が行われるとすると、その設計と修正、テストにたった半年か時間がないため、システム担当者やSIerに相当な負担がかかることは間違いありません。

 さらにこれらを理由として自社の情報システムを廃棄し、パッケージやクラウドに移行する企業が増えてもおかしくありません。いずれにせよ今年後半からまたまた特需が発生しそうな気配ですが、後者の方法で乗り越える企業が増えると、再来年度以降の情報化投資が激減する可能性があります。すなわちパッケージ業者やクラウド業者のみがその成果を享受し、いわゆる受託開発型のSIerの仕事が無くなってしまうのです。となると我々にとって、消費税特需に取り組むも地獄、取り組まねば餓死、といった状況になってしまいます。

 長期的な観点で考えると、企業が基幹系システムを一から構築する時代は間違いなく終焉を迎えています。その大きな転換期が今年に訪れるとなると、ITに携わる企業や技術者は、この景気に浮かれてばかりもいられません。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・EV急速充電 機械式駐車場 JEFテクノス 停電時でも入出庫
・1%以下のイス取り合戦 専業KLab:量産2.3倍に グリーとDeNA:買収で抱え込み
・経営・財務 ゲームで学んで 日本サイバー教育研 企業向けに教材販売 要望応じ改良版も開発
・大学改革 待ったなし 会計基準改正 私大 透明性促す
・肉の本場で実力発揮 日本風霜降り「WAGYU」 豪州
・隙間に眠る宝を探せ ラスクル:空き時間利用格安印刷 アウトスタンディング:未使用帯域使い光通信
・高齢施設入居者 留守宅を転貸借 リロHD運用代行 法人顧客を開拓
・園児の情報、一元管理 システム開発のアイティフォー 住民記録連携保育料督促も自動化
・イー・アクセスの子会社化 ソフトバンクが完了
・ネットで応援、事業系に ハイパーインターネッツ 小口資金調達のキャンプファイヤー
・楽天、福島で移動図書館 まず700冊、電子端末も搭載 1年かけ県内各地巡回
・昨年末の電子書店利用率 米アマゾンがトップ 民間調べ
・磁気なく画像診断正確に 田中貴金属 脳出血防ぐコイル
・「グアルコム」猛威 クアルコム+グーグル 米家電見本市が開幕 「ウィンテル」主役降りる
・廉価版iPhone アップル、年後半発売? 米紙報道
・医薬VB、相次ぎ自社販売 営業支援サービス活用 販売コスト抑制、成否の鍵
・日本の匠、ITで世界へ ブラックボックス脱せ
・DeNA、囲い込み急ぐ 音楽配信参入 サービス多様に ゲーム事業、海外活路
・家電返信 3つの操作 CES 話す 動かす 触れる リモコンやキー代替
・社内ログから攻撃検知 日本IBM 防衛ソフト、導入期間短く
・新人だけで居酒屋運営 きちり 失敗体験、行動力引き出す
・日の丸スマホ 反撃への一歩 1位シャープ2位ソニー 12月携帯販売ドコモ純増回復

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。