寒い冬のつきものである降雪が、いろいろな問題を露呈させています。
今年は全国的に厳冬であり、各地で雪の被害が多数発生しています。関東も10年ぶりぐらいの厳冬で、今年に入ってから何度か雪が降りました。一番の大雪は成人式であり、都心でも10cm以上の積雪がありました。とはいえ祭日であったため、通勤への影響は翌日以降になり、都市機能麻痺という最悪の状態にはならなかったことが幸いでした。とはいえ道路には乗り捨てられたり事故によって動けなくなった車が多数発生し、翌日も各所で交通渋滞が発生しました。
その後何度か雪の予報がありましたが、実際には都市生活に影響するような降雪は今のところありません。とはいえこれだけIT化が進んだ現代であるにもかかわらず、やはり気象予想は難しいようです。成人式の大雪以後、二回ほどそれをを越える予報が発せられましたが、結局どちらもほとんど雪が降ることはありませんでした。
ところが実際は降らなかった雪の予報により、通勤は大混乱となりました。というのも大雪の予報を信じたJR東日本が、前日から7割の本数での運転を決定してしまったためでした。前夜からの報道で都心のホテルは軒並み満杯、早朝は降らなくても午前中は大雪予測ということでマイカー通勤や社用車の運転が控えられ、その移動がすべて鉄道となりました。結果として普段よりも多くの通勤客が電車に殺到したわけですが、7割の運転により多くの客が駅に取り残される結果となり、通勤の足が大きく乱れました。実際には普通の雨と変わりない天気だったため、JRの拙速さには批判が集中しました。
東日本大震災の際にも問題となりましたが、JR東日本は乗客の安全確保という名目でサービスを放棄する傾向があることが今回の件でも明らかになりました。安全を図るため運転をしない、というのは見せかけの英断であり、本音は混乱を招いたりその際の事故の責任を回避したいという思いが見え見えです。震災の二次被害で事故を起こすより、乗客を乗せない方が安全、というのは鉄道事業者としては完全に責任放棄ですし、その体質が今回の大雪の対応でも現れています。
もちろん気象庁の予測精度の低さも、大きな問題となっています。外れた事による影響よりも、万が一発生した際の対応を考えておくという考えは解らないでもないですが、それでも社会に大きな影響を与える事柄故、もう少し慎重で精度の高い予報をしてほしいと思わざるを得ません。
雪国の人間にいわせると、東京の雪対策はあまりに稚拙とのこと。あれしきの雪でなぜここまで都市機能が麻痺するのか、まったく理解できないとのことでした。雪道の運転に不慣れである、スタッドレスタイヤやチェーンをつけたことがない、というのは仕方がないことなのかもしれません。それでも融雪剤を準備し積雪量が多くなった際には広範囲にまく、電車のダイヤを根本的に見直す、ポイントや踏切などの除雪や融雪対策を講じれば、大きな問題が生じにくくなるはずです。日本は四季の移り変わりがあり、降雪の多い地域と温暖な地域の両方を持つ国です。雪国の備えを都市部に導入することは出来ますし、十分なノウハウもあります。それを生かせないのは、やはり国や企業の怠慢のように思えます。
なにより恐ろしいのは、こういった自然の脅威が複合で訪れることです。大雪の日に地震が起きる可能性はゼロではありませんし、だからこそ平素から十二分の対策を講じることが大切になります。大雪を恐れて満員になった駅や電車で大震災が起きれば、通常時の災害よりはるかに大きな被害を生むことは間違いありません。
温暖化とはいえ、やはり雪は降り、積もります。さまざまな技術と機械を有している今だからこそ、起きない事を願いつつ、起きる可能性がある事態に備えることが急務と考えます。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
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・国内時計製造を再編 シチズンHD、870人合理化
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・iPadで面接管理 採用支援のパフ 40項目から点数か
・iPS細胞 眼の難病に光り 利権初VB、網膜再生に挑む 山中教授の成果、実用化
・めざせ日本版スウォッチ シチズンの野望 高級ブランドに部品供給 将来の買収も視野に
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・東急ハンズにムック本 宝島社、新宿店限定で展開
・アメリカン・日航連合 逆襲 USエアと合併、世界最大に 全日空 ユナイテッドと路線次々
今週は、どんな一週間なのでしょうか。