新人研修が始まりました。
今年も元気な新人さんと沢山お会いすることが出来ました。今年の新人さんは昨年の新人さんに比べ、元気な印象があります。やはり昨年の新人さんは311の影響が色濃い緊張の中での就活だったのでしょうが、今年の新人さんは変な緊張感が無く元気で素直な印象が残ります。とはいえ私自身が歳をとったせいなのでしょうか、全体に幼い印象が残ります。これからの厳しいビジネス環境で少しずつ鍛えられるのでしょうが、その幼さ故の挫折や社会に対する幻滅が、彼らの未来に強い影響を与えないことを祈るだけです。
さてその幼さに起因する事件なのが、先日のUFJの一件です。大阪有数のテーマパークであるユニバーサルスタジオ・ジャパンのさまざまなアトラクションで、関西の複数の有名大学の学生が迷惑行為を繰り返し、その行為を動画サイトに投稿したことから事件が発覚しました。安全を無視してバーを解除して身を乗り出したり、故意にボートを転覆させたりなどの行為を行って撮影しただけでなく、事故について因縁をつけ入場無料券をせびったり、起きていない骨折事故を動画サイトに投稿したりなど、大人の常識では考えられない行為を繰り返していました。
この行為は法律上威力業務妨害そのものであり、UFJ側の対応如何では刑法犯に問われる可能性があります。さらに、トラクションにはさまざまな安全対策が講じられていますから、その都度異常を検知してアトラクションそのものを停止させ点検することを行ったと思われますので、それらの停止・点検に伴う損害や、施設の信用失墜を理由とした入場料減少などの損害についても、民事上の賠償請求の対象となる可能性が高いと思われます。UFJ側は大学側の処分を待って対応を検討するということですので、今後どのような展開になるかは今のところわかりません。学生だから大目に見るとするのか、一罰百戒で刑法犯として逮捕取り調べを受け、さらに民事請求がなされるかはわかりませんが、いずれにせよいたずらの範疇を超えた行為と言わざるを得ません。
いずれの時代も、馬鹿で無責任な若者がいることは間違いありませんし、こういったことそのものが公になったりニュースとして公開されやすくなっていることは事実だと思います。10年ほど前にも東京の有名大学を中心としたサークルが、多数の女子学生を相手に性的暴行を加える目的で犯罪行為を重ねていたことが問題になったこともありますし、昨年も女児を誘拐した大学生もいます。しかし今回の件とそれらの事件の決定的な違いは、その目的の幼稚さのように私には感じられます。強姦や誘拐のように明示的な刑法犯でなければ罪は軽い、おそらくいたずらなんだから罪に問われない、場合によっては誰にも迷惑をかけていないいたずらなんだから問題ない、という考えが今回の大学生にあったように思えるのです。事実大学側の聞き取りに対しその学生は「他人に目立ちたかった」という理由をあげていますし、偏差値60以上の名門大学の学生がこのようなことを行うとは、さすがにその想像力のなさと幼稚さに呆れてしまいます。
デジタルネイティブという記号で説明すると気分を悪くする若者も多いと思うのですが、やはり今の世代の若者はデジタル化の恩恵でスマートで行動力のある世代とはいえますが、反面想像力や思考力が欠けてしまっている現実を感じるのです。それをしたら何が起きるのかということを考える前に、動画サイトにほかより面白い画像を投稿しようとするあまり、社会のルールを逸脱したことを行ってしまうというのはあまりに幼稚な行動と言わざるを得ません。
アメリカの若者は、今回のような悪ふざけをする人間が多いように思いますし、その幼稚さには呆れます。しかし日本で考えられている以上にアメリカの大学の学習環境は厳しいですし、学習できることは特権であるという意識があります。つまり彼らは特権を享受しているので、社会はその身分を優遇しません。となれば、彼らは幼稚であってもいたずらに対して放校や退学があり得るというリスクを知っていますし、特権階級であるが故に簡単に警察に捕まる可能性があることも知っているように思われます。
数年前に大学の入学試験で携帯電話を使った若者は擁護すべき点が私には感じられましたが、今回の事件に関しては残念ながらその若者を擁護する点が見当たらなかったというのは、私には非常に残念な出来事に感じられました。社会のルールに縛られないのが若者ですし、だからこそ新しいルールを生み出せることはこれまでの歴史が証明しています。しかしそこに志や理想がないと、単なる幼稚な行為しか残りませんし、倫理観と想像力がなければ、社会に大きな迷惑をかけてしまいます。その幼稚さをもった若者が社会に増えていることを、いや日本人全体が徐々に幼稚になっていることを、私は危惧しています。
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今週は、どんな一週間なのでしょうか。