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Weekly report
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 May First week

 再びパンデミックの可能性が出てきました。

 上海で発生した今回のH7N9亜型の鳥インフルエンザは、徐々に中国全土に広まっており、先週はとうとう中国蘇州と頻繁に往復していた台湾のビジネスマンにも感染が確認されました。これで中国国内だけの流行ではなく、世界に拡大する可能性が高まりました。

 現代はビジネスや旅行で世界を行き来する人間が多いので、発生したインフルエンザが世界に拡散するのは時間の問題といえます。さらに今回のインフルエンザは鳥由来のものであるため、感染した渡り鳥が各国に飛来し、そこから人に感染する可能性もあります。現在はインフルエンザ株を元にワクチン製造の検討が始まっている段階ですが、急速に拡大した場合はワクチンの製造が間に合わない可能性があります。タミフルやリレンザが効くとされていますが、現状は罹患者が少ないので実証性は低いようですし、万が一効かない場合を想像すると世界中で多くの人々が亡くなる可能性もあります。いずれにせよ拡大の可能性を念頭に置いた対策を講じることが重要であり、どのぐらいのリードタイムで政府が動くかが今後の焦点となりそうです。

 これだけ衛生と保健が整備された現在でも、新しい病気が発生します。その都度多くの被害を生みながらも対策を講じてきたのが人類の歴史であり、さまざまな難病を克服してきたのは紛れもない事実です。それでも人類の英知を上回るのが自然の脅威であり、新しい小さな脅威が日々生まれています。地震や津波とは違う目に見えない脅威ですが威力は地震や津波以上であり、長期間に渡り我々を苦しめます。AIDSのウィルスのように、その正体がわかっても根本的な治療薬を見つけられないものもありますし、エボラ出血熱のようにいまだに治療方法すら見つけられないものもあります。

 移動手段と情報化により、世界は確実に小さくなっています。リーマンショックのように論理的なインパクトもあっという間に世界に影響を与えましたし、今回のような疫病も短期間で世界に拡散されます。各国は水際作戦でその侵入を防ぐ努力を行いますが、鳥インフルエンザのように防ぎようのないものもあります。となると大切なのは、やはり国の対応です。前回の新型インフルエンザのときは、政府の対応が後手後手にまわりました。水際作戦で旅行者をホテルに幽閉までしたこともありましたが、今となっては単なるパフォーマンスであったことは記憶に新しいでしょう。さらにワクチンの製造は遅れに遅れ、結局完成した時には必要がなくなっていたなど、その対応の遅さと下手さは国民が知ることになりました。

 今後もこのような事態が起きる可能性は高いため、新型インフルエンザで学んだ教訓を今まさに活かす時が来ました。すべての原則は、無制限の情報公開です。むやみにパニックを起こす必要はありませんが、情報の制限は正しい対応の妨げになります。今回中国政府は当初の情報は積極公開しましたが、感染の拡大につれ情報を制限するようになっているのは本当に残念なことです。これでは各国の対応も難しくなりますし、さまざまな国際協力の妨げになるでしょう。日本政府は正しい情報を把握し、それを国民に公開すると同時にさまざまな機関との連携をとりながら対策を実行しなければなりません。起きない事を前提にするのではなく、起きることを前提に行動を始めることが、パンデミックの拡大を防ぐ鍵となります。

 まずはタミフルやリレンザ等の有効性を確認し、その在庫備蓄に努めるべきでしょう。また本格的なワクチン製造に向けた準備も必要ですし、そのために税金を投与することも恐れてはなりません。また医療機関の対応体制や整備なども始めるべきですし、万が一に備えた専門病院の指定も検討すべきと思います。専用の救急車両を用意し、消毒手段とその要員や機器の準備も始めるべきです。そしてなにより、国民に正しい情報と対応の選択が可能になるように、情報システム環境を構築すべきと思うのです。

 医療機関のデータベースをクラウド化し、それぞれの症例を即時克明にアップすれば、効果的な治療法や予後の対応も可能になると思います。病院のベッドの空き数や備蓄している薬品量が解れば、救急車両も効果的に運搬が可能になります。また国民もどのような対策を講じることが一番良いか、企業や学校の強制閉鎖なども含めた指示を出せるようにしておくことが、大きな混乱を防止する鍵となると思えるのです。こういった情報化や対応が整えば、今後どのような疫病が発生しても適切な対応が可能になりますし、予測される大災害にも活用できると思われます。だからこそ、今まさに俊敏さを活かした対策づくりが急務に思えます。

 崩壊した社会を立て直すためには、膨大なコストがかかります。同じ必要コストになるならば、事前により良い準備を行ったほうが絶対に効果的であると考えるのは、私だけなのでしょうか?

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・新興企業の来春大卒採用 楽天などIT系上位 本社最終集計、夢真、首位保つ
・米IBM、ハード不振直撃 売上高5%減 四半期連続減収:1〜3月 ロメッティCEO 試練の2年目
・Wi−fi、自動でオン・オフ KDDI スマホ、利用地点学習
・必要性高まり搭載増える 衝突回避支援の自動ブレーキ ダイハツムーヴ 5万円で追加設定
・ZMP、自動走行車を外販 PC・タブレットで操作 データ蓄積し販促応用
・国内IT市場 13.8億円 民間今年予測 12年比マイナス0.1%
・小規模オフィス 勝機も貸出 ベンチャーを支援
・「無言の優等生」に試練 787運行再開へ ボーイング マックなー似CEO
・断らぬ救急、新たな価値 岡山西大寺病院:高齢リハビリ充実 川崎幸病院:重傷急患に手厚く
・NEC、携帯販社売却へ 丸紅に 事業再編を加速
・先進国、認知症が深刻化 世界各国の疾病負担を解析 国際チーム、ソフト開発
・米でサービス指向の医療施設 IT駆使し情報管理
・介護、定額24時間 全国で 利用者確保へ利便性PR
・航空機エンジン 整備に中古部品 IHI、新品の半額に 運行各社の負担軽減
・クラウド 諸刃の剣 富士通・復活の条件 既存事業浸食 SE3000人を再教育
・2期連続300億円超赤字 前期 任天堂、ゲーム不振で
・ARシステム簡単構築 富士通がソフト8種 保守の手順など吹き出しで表示
・レーザー点火 出番視野 車エンジンで実験、手応え 熱電併給での利用想定
・宮坂ヤフー1年 最高益更新 「爆速」経営 機動に 課題はEC
・ガンホー 時価総額1兆円突破 株価、4日連続上げ
・クラウドの安全度監査 富士通など25社 認定担う新組織
・新型インフルの脅威 3つの楯で抵抗力増す
・NTT系、システム外販 データ拠点向け直流給電 電力変換削減、15%省エネ   

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。