このところの新人研修のおかげで、最近はいろいろな研修会場で講座を行っています。
最近の新人研修の特徴といえば、会場が外部であるということ。それなりの人数を一カ所に集めて長期の研修を実施する必要がありますが、コスト削減の折からか企業内のスペースに余裕がないため、外部会場を使う企業が増えているように思います。それらの会場は短期のレンタルオフィスであることから駅などから離れたちょっと不便な場所が多く、昼食向けの店舗が少ないところもあります。コンビニもあるのですが、やはりおじさんですのでもう少しまともなものを..ということで、最近は移動販売の弁当を利用することが増えました。
弁当の移動販売というと、昔はコンビニ弁当同様どこかのキッチンで作った当たり前の弁当を軽トラックや手押し車で販売しているケースが多かったように思います。しかし最近の移動販売はレストラン同様車両内で簡単な調理を行ったり、調理済みであってもその場で温かい食材を詰めてくれるなどの工夫をしている店が多いようです。内容もコンビニ弁当に比べて格段に充実しており、これは近隣の飲食店が気にするわけだと今更ながらに気づかされました。
いくつかの移動販売店でオーナーや店員と話してみましたが、昼食で100食前後の売上があるそうです。仮に弁当を600円としても一日の売上が6万円、週5日稼働で月120万円程の売上になります。商材原価はレストランと同様3割程度といってましたから、残り80万円が諸経費込みの販売利益になります。車両費はかかるものの家賃や敷金がかからないため、最終利益は店舗よりも高いと思われます。多くの店舗は近隣のビジネスパーソンに飽きられないためローテーションで移動しているようですし、客が減ればより有利な場所に移動することが可能です。固定された店舗で多くのメニューに対応できる食材を仕入れたビジネスに比べると、様々な意味で有利であり、味も相まってこういったビジネスが今後も増えることが予想されます。
一方移動販売店舗の増加は、新たな問題を投げかけます。一番問題とされているのは、道路の不法占拠。こういった移動販売で道路を利用する場合は警察の許可を受ける必要がありますが、多くの店舗がこの許可を受けていません。有料駐車場で駐車料を払って営業するのはグレーゾーンのようですが、ほとんどが車道や歩道での違法駐車で営業しています。いずれの場合も歩行者の安全には問題が生じますし、望ましいことではありません。
次に移動販売で販売する商品の安全性も、疑問が投げかけられています。いくら加熱した商品が多いとはいえ、これからの暑い時期に冷蔵設備がない炎天下等で弁当を販売することは、食品安全上危険があると思います。実際に行政の調査では、コンビニなどの弁当に比べて圧倒的に多い細菌を検出することもあるようなので、自己責任とはいえ注意が必要です。さらに食中毒等の問題が発生しても、販売業者自身が移動してしまうため検挙が難しいという点も、問題になっているようです。
しかし一番問題なのは、近隣の商店街からの圧力のようです。これまでの上客であったビジネスパーソンが弁当に流れると、オフィス街の飲食店は死活問題になってしまいます。したがって行政や警察に陳情し、移動販売をやめさせようとする圧力がかかります。場所によっては合法な企業の敷地内であっても、店舗販売方式の瑕疵を見つけやめさせようとするようです。既存店舗は近隣の顧客獲得という既得権を有している反面、その代償としてさまざまなコストを負担しています。店舗の賃借料のみならず税金等も地元の自治体に払っていますから、それらの負担のないビジネスを敵視することは理解できます。
しかし戦後の日本を考えると、行商から店舗をもった店主も少なからずいるわけですので、過度な反応は既得権の主張にしか見えなくなってしまいます。店舗であっても競争はあるわけですし、その中で差別化できるなにかを顧客に示すことで、多くの店舗は存続してきたはずです。移動販売店舗を見る限り、その意味での努力はすごく感じますし、その努力が顧客を奪われた店舗側にあったかといえば、私には疑問が残ります。時代にあったメニューを作るだけでなく、接客や内容、ボリューム等でもっともっと努力できるはずなのに、近隣にビジネスパーソンが増えれば一定の割合で顧客を自動的に獲得していたことが、それらを怠る原因になったように私には思えてしまうのです。
移動店舗の店主も、いずれは店舗を持ちたいと思っている方は少なからずいるはずです。だからこそ規制という形ではなく両者が共存できる方法を考えるべきですし、それはなれ合いではなく競争の中で共存しなければならいと私は考えます。飲食店の基本は、美味しい料理を提供することのはずです。移動販売の弁当が近隣の飲食店のメニューより美味しく納得できる値段であったからこそ、近隣の飲食店はもう一度競争のあり方を考えるべきだと私は思います。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・医療向け大量データ通信 イーパーセル、価格10分の1 国内外で迅速に
・全面解禁、結果でず 薬のネット通販 厚労省の検討会
・ウィンドウズ8.1に利用者の声 「スタートボタン」復活
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・電子看板へ映像配信 安く 料金1/3 月1万円切る オックスプランニング
・価格下落で赤字拡大 独ソーラーワールド 太陽電池苦戦 1〜3月
・ITの聖地 車大手が集結 シリコンバレーに拠点
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・クラウド環境相互利用 日立とアマゾン、連携強化 海外進出支援
・イノベーションは学べる 米スタンフォード大が講座 質より量、現場視点を徹底
・IT、韓流台頭なるか 都内でエキスポ 電子教育や機器間通信 VB40社、技術PR
・薬ネット販売、解禁へ 高リスク商品、扱い焦点
・欧米クラウド 日本で火花 米アマゾン:1ベタバイト格納サービス 独SAP:業務ソフト19種投入
・無線給電普及へ 出力・伝送距離 用途で分類 EV向け国際標準も佳境
・フェラーリ「売らない」宣言 販売好調でも受注抑制
・LCC台頭 中堅航空苦戦 前期3社が大幅減益 安さの魅力薄れる
・楽天、家庭の節電支援 省エネ修理・点検、月490円 旅行に特典、外出も促す
・ビッグデータ サービス100種類 日立が世界戦略 300人新組織 ヘルスケアなど重点
・楽天、全米に物流網 米社買収 商品1〜2日で配送
・パナソニックのエアコン スマホで外から機動
・津波避難兼ねた立体駐車場 大和リース 1階の高さ1.7倍 ヘリの発着も可能
・企業の85%「人材不足」 民間調査 厳選採用の傾向強く
今週は、どんな一週間なのでしょうか。