先日の研修会場のそばに、今話題のレストランがありました。その名も「俺のイタリアン」。そうです、先週Book Reviewのコーナーでご紹介した、元ブックオフの会長である坂本氏が開業したイタリアンレストランです。
さまざまなメディアで紹介され、さらにこの本を読んだために興味を持っていたのですが、基本的に銀座中心にあるためなかなか訪れるチャンスがありませんでした。さらに立ち食いの店舗に入るのに数時間待つというのも
年齢的に抵抗があり、近くを通ってもそこに並ぶ勇気はなかったと思います。
ところが研修会場から最寄りの駅である神谷町に向かっていたところ、駅のそばに偶然「俺のイタリアン」があるではないですか。車道を挟んで反対側を歩いていたのですが、19時前という時刻と雨の日であったため店の前の行列もみえませんでした。ちょうど友人と一緒だったため、「面白そうだから中をのぞいてみようか」ということになり、道路を横切って店の前に行ってみると、数名の客が待っているところでした。店の中はどのくらい混んでいるんだろうとのぞこうとすると、中から店員が出てきて待っている客に人数を尋ね、次にこちらにも尋ねます。おそらく人数だけ聞いてしばらく待たされると思っていたので、「待つならまた今度にするわ」と帰るつもりだったのですが、返答はなんと「どうぞ中へ」でした。意外な返答に焦ったのですが、せっかくの機会ですから
立ち寄ることにしました。
混雑した店内は予想以上に広く、約100名ほどの客がいました。なにより驚いたのは、壁際に小さいとはいえイスとテーブルが用意されたボックス席が5つほどあったことです。全員立ち食いと思っていたのですが、実際は座って食べることもできるようでした。
我々は立ち席に案内されましたが、確かに隣の人と肩が触れるぐらいのスペースしかありません。客層は時間帯のせいか8割方女性客であり、仕事帰りのOLがに三人で立ち寄るといった風情でした。
肝心のメニューですが、定番のメニューと本日のスペシャリテがあり、スペシャリテを見てみると値段は評判ほど安くはありません。平均1500〜2000円ですので普通のカジュアルレストラン並みでしたが、確かに食材は伊勢エビやトリュフ、フォアグラなどの名前が並んでいるので高級感はあります。とりあえずということで、たいした期待もなく伊勢エビのタルタルと牛フィレ肉のソテーを頼みました。
驚くことに、これほどの混雑であるにもかかわらず5分ほどで伊勢エビのタルタルが登場。しかもその皿にビックリ!中型の伊勢エビが一匹使ってあります。またタルタルという名前からテルミドール風(披露宴でよく出てくる海老をホワイトソースで焼いたもの)を想像していたのですが、実際はタルタルステーキ風(伊勢エビの刺身ですね)に調理されていました。実は前回
海潜亭で料理をした時、伊豆の漁協で伊勢エビを購入したのですが、ほぼ同じ大きさのものが3000円ほどしました。となると同じサイズで新鮮な伊勢エビが1500円の料理として提供されたことに唖然です。当然味もしっかりしており、本格的なイタリアンとなっていました。その後1900円の牛フィレのソテーが出てきましたが、これにもビックリでした。おそらく300gぐらいのフィレをミディアムにソテーし、上に大ぶりのフォアグラが2枚乗っていました。確かにこの店、食材の品質が抜群に高く、それを惜しげもなく使っている印象でした。
その後定番メニューを見てみると、平均500円〜600円の値段であることに驚かされます。480円の田舎風パテを頼んでみましたが、厚さが3〜4センチに切られて提供されて本当に驚きでした。パスタも600円ほどですが、その量は通常のレストランの1.5から2倍程度あり、コストパフォーマンスは最高です。友人は最後にデザートのブリュレを頼んでいましたが、350円という値段にもかかわらず中鉢で提供されるなど、最初から最後まで圧倒されっぱなしの一夜になりました。ワインの値段も安いので高級ワインを頼んでしまいましたが、二人でおなかいっぱい食べて1万円ほどでした。スペシャリテを頼まなくても料理は満足できますし、ボトルワインにすればおそらくもっと飲めるでしょうから、
本来は一人4000円ほどで美味しい高級イタリア料理をおなかいっぱい食べられるようです。これは繁盛しないわけがありません。
店の厨房には5名のスタッフがきびきび動いており、ホールの中も3〜4名のスタッフが働いています。全員の動きの良さやサービスレベルの高さに驚かさせれましたし、ホスピタリティのよさから立ち食いにもかかわらずリピータが多くなることも納得させられました。結局
20時過ぎ頃までいましたが、常に満員の状況は続きました。会計後友人はたばこを吸うため店の前で座っていたようですが、その後はアベックを中心とした客が増えて、2
0時半頃には20人ほどの待ち行列ができていたようです。
先日訪れた蒲田では、私が昼の定食で10年以上通い続けた居酒屋が廃業していましたし、家の近所でも長年営業していたジンギスカン屋が廃業しました。商店街の在庫が必要な個人商店が次々つぶれた後、これからは飲食店の廃業が続きそうな予感です。人間は基本的に3食の食事をしますし、料理をしない方も沢山いるはずです。その全員がコンビニとほか弁で夕食を済ましているとは考えられませんから、飲食店の需要はかならずあるはずです。それにもかかわらず飲食店が廃業を続けるのは、単に店主が高齢になったという理由だけでなく、客が来なくなった現実があります。今回のことで、飲食店がすべき努力について考えさせられましたし、客にとってよりよいサービスとは何かというサービス業の本質についても考えさせられた一夜となりました。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・最初から世界視野 三菱商事系、中東・韓とアニメ
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・ニチコン 超小型圧力センサー 医療ロボの指先担う
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・ネット時代の「スター誕生」 無数の小さな経済圏
・「政治に関心」若者6割 20〜30代のネット利用者 経済・金融政策に注目
・繊細につかむロボハンド 電通大、カメラ代わりにセンサー 指の力加減・向き自動計算
・糖尿病食レシピ クックパッドに 筑波大と開発 毎週3食追加
今週は、どんな一週間なのでしょうか。