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Weekly report
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 June Fourth week

 先日またもや新しい情報技術が台頭し始めました。その名はMR (Mixed Reality)。複合現実と訳されるようですが、この技術を搭載した製品をキャノンが発売しました。

 これまでもこのページで拡張現実の可能性をご説明してきましたが、複合現実は拡張現実 (AR:Augmented Reality)と拡張仮想 (AV:Augmented Virtuality)を統合した技術だそうです。ご存じのとおり拡張現実は現実の世界にコンピュータの情報を付加して表示する技術ですし、拡張仮想は (AV:Augmented Virtuality)はコンピュータ上の情報を現実の情報で補完する技術です。前者は現在多くの分野で実用が為されようとしていますし、googleマップは拡張仮想(地図映像に現実の上空写真を利用する)の例といえるでしょう。

 拡張現実には、二つの実現方法があるようです。一つは光学シースルー方式であり、ドラゴンボールのスカウターやグーグルグラスがこれに当たります。投下型のディスプレイを目の前に置き、コンピュータの情報を付加して表示する技術であり、現実の世界を直接見られる反面焦点を二重に合わせる必要があるので、利用がやや難しい方法です。もう一つはビデオシースルー方式であり、私が講座等でよくご説明するスマートフォンやタブレットPCのカメラで移した現実の情報に、コンピュータの情報を付加するというものです。現実の世界を二次元に置き換えコンピュータの情報を付加して表示をしますので非常に見やすい反面、現実感が希薄になる、あるいは表示精度がまだまだ低いのが現実です。

 これに対して複合現実は、新しい可能性を提示します。一つは実時間テレプレゼンスという方式で、利用者とははるかに離れた位置に据えたカメラを設置し、コンピュータ情報と付加して表示しようとするものです。例えばニューヨークのタイムズスクエアにこのカメラを設置し、操作者が専用グラスを装着すると、利用者の見たい方向にカメラが動きあたかもそこにいるがごとく離れた現実を見ることができるものです。ここにコンピュータの情報を付加すればリアルなガイドブックになりますので、旅行前の下調べが可能になるといった活用方法が考えられます。もう一つが蓄積再生テレプレゼンスという方式で、様々な角度から記録された情報をコンピュータに蓄積し、利用者は専用グラスを装着するとその情報の中で見たいものがみれるようになるというものです。例えば六本木ヒルズの実際の映像を表示することで自分がそこにいるように感じるだけでなく、すきな方向に歩いたりコーヒーベンダーを触ったりできるようにするものです。

 このように複合現実を用いると、ますますコンピュータと現実の世界の融合が進みます。蓄積映像の種類がふえて部品がなされれば、これまではあり得なかった体験を人間はすることができるようになるのかもしれません。まさに現在はテレビの画面を通して行っているゲームを、その中に入って主人公として操作・体験ができるようになるかもしれないのです。バイオハザードが好きであれば、シリーズの15作目ぐらいで自らがクリスやジルになってゲームの中の世界を体感できるようになるのでしょうし、背後からおそってくるゾンビの足音や息づかいを感じ、振り返るとそれを殴り倒すといったことを本当に体に感じるようになっているのかもしれません。

 もちろん私自身は、この技術によって産業や科学が劇的に進化することを望んでいます。世界の大国は軍人や軍隊の訓練に積極利用するのでしょうが、日本はやはり平和利用を考えると思うのです。寝たきりの人間でも意識の中では自由に行動できたり、無くしてしまった大切な人とふれあったり、といった人間的な利用も考えられますし、原子炉内などの人間が出入りできない箇所の詳細な点検を遠隔地で行ったり、脳内に送り込んだ微細なカメラロボットを通して、病理箇所を目視や触診して治療を行ったりと、あらゆる可能性が広がります。もちろんそれらの実現のためには多くの研究と開発が必要になることは事実ですが、それでもそれらの実現の可能性が飛躍的に高まったのです。

 このようにコンピュータ技術の発展は、人間そのものを次の世界へ誘うきっかけになります。だからこそ我々技術者は、正しい思想と倫理観をもって新しい世界を描き、築いていかなければなりません。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・証明 スマホで遠隔操作 OKI オフィス向け 光量・範囲自在に
・音楽配信 携帯各社、地固め ドコモ:定額制100万人 ソフトバンク:映像も配信
・アップルの新型iPhone 大画面、来年投入か ロイター通信報道
・タブレット所有 過去最高の19% ジャストシステム調査
・機会・設備故障の予兆診断 日立パワーソリューションズ データ群分析、高精度
・水だけ輩出「究極のエコ」 燃料電池車
・たばこ、口に含み楽しみ JT、大阪で試験販売 ニコチン量、紙巻きと同様
・囲い込みで不足深刻 データサイエンティスト 各社相次ぎ専門部隊
・医療のIT化 遅れる日本中小病院導入へ価格課題
・会議の発言、一人の声抽出 スマホなど使い専用マイク不要 NTT基礎研 議事録自動作成
・「韓流帝国」 世界に職種 東方神起・少女時代擁するSM社 国外比率は5割強に
・NTT、米社買収 200億円セキュリティー事業強化
・エンタメ+エレキ 戦略加速 ソニー 4Kへコンテンツに力
・紙のノート感覚で入力 東芝、新型高級タブレット
・ボーイング日本名の翼「X」 パリ航空ショー開幕 777後継、エアバスA350に対抗
・爆速ヤフー 社員奮起 宮坂社長 就任2年目 てこ入れ策課題に
・iPad 公立校に納入 米アップル まずロスで3万台超
・富士通 女性目線、パソコン開発 ターゲット決め デザイン性追求
・小型ハッチバックが主流 インドの自動車市場 燃費の良さにこだわり
・ホンダ、HVでトヨタ追撃 燃費30` 新型アコード発表 セダン市場に回帰

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。