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 August Second week

 世界の高速鉄道で、事故が頻発しています。

 発端はスペインで起きた高速列車の転倒事故であり、80名余りの方がお亡くなりになり、200名ほどの上客が重軽傷を負いました。現在原因究明と事故責任の裁判が行われており、次第に事故原因が明らかになってきていますが、どうも原因は人災のようです。

 もともとこの高速鉄道ですが、スペインの政治家が権力誇示の目的で路線を都度都度変更したり延長したりされてきたようです。さらに開通時期を早めるために、路線の一部を従来の在来線を使うケースも多いようです。在来線には電化されていない場所も多いため、この高速鉄道は電力モーターを積んだ車両とディーゼルエンジンを搭載した車両を複数台つないでいるようです。その結果車両によって大幅に重量が違い、カーブ等を高速で走ると慣性の違いから不安定になりがちなものであったようです。さらに在来線は線路幅が高速路線よりも狭いため、在来線区間は車両の特殊な仕組みで車輪の幅を変えて走行するそうで、結果として高速走行の安定感がより失われてしまいます。事故を起こした車両はこのように特殊なものであった上、この急カーブの在来線区間では速度を自動減速するETCSが設置されておらず、運転手に速度超過を警告する装置のみだったため、事故車両は速度超過のままカーブに入ってしまったようです。

 このように今回の事故は不幸な状況が重なったのは事実ですが、最大の原因は運転手の操縦ミスであった可能性が高いのが残念な点です。事故を起こした運転手ですが、これまでも自分が運転する車両の高速走行速度を写真に撮ってネットの上にアップするなど、たびたび危険運転を行っていたようです。今回の事故の際も制限速度90kmの区間を190kmという二倍以上の速度で侵入しており、このような事態となってしまいました。管制所からの電話連絡を受けている最中で注意力が減衰していたのもありましたが、もともと在来線区間でこの速度を維持していること事態が問題であり、人この事故は明かな人災といえるようです。

 その数日後、今度はスイスで列車の正面衝突事故が発生しました。こちらは運転手が死亡したものの、幸い乗客35人ほどがケガをしただけで済んだ事故ですが、原因分析によると運転手の信号無視が原因のようです。単線の路線で、待避場所で赤信号となっていた列車がそれを無視して線路に侵入したため、結果として正面衝突が起きたようです。

 このように今回の列車事故ですが、両者とも人災の可能性が高いようです。以前の福知山線の事故や中国の高速鉄道もそうですが、鉄道の安全性を図るためには人間の注意力に頼るだけでなく、インフラとして鉄道の高い安全性が要求されます。これは情報システムによって確立されるものであり、これがあるからこそ人間の注意力を越えた事態にも耐えうることになります。しかしながらインフラが機能するだけでは、その機能を遮断して運行しようとする人間の傲慢には対抗できません。

 大切なことは、人間と機械との境界線を設けることではなく、交わりののりしろを以下に取るか、ということになります。人間は常にミスを起こしますし、そのミスを発見し回避するのが機械の役割です。しかしながらすべてを機械に委ねると、その機械を作った人間のミスは潜在することになりますし、機械が想定しない事態にはその機能が向こうになってしまいます。仮にそれらを上回るように機械が作られたとすると、人間の予測能力や推論能力が低下し、異常事態が発生した場合に一切の対応が出来なくなってしまいます。

 鉄道で起きている問題は、自動化を進めようとする自動車の世界で起きつつあります。自動停止ブレーキが機能を発揮すればするほど、人間の注意力は低下するからです。さらに自律走行を始める車が出現してきますので、ますますこの問題は重要になってきます。さらにすべてを自動化に誘うスマートシティは、より大きな危険性を秘めることになります。

 ヨーロッパで起きた高速鉄道事故は、ヨーロッパの問題かもしれません。しかしながらこの重なる偶然は、目に見えないものが我々に対して鳴らしてくれている警鐘のように感じるのは、私だけなのでしょうか。 

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・サイバー攻撃 温床撲滅へ ネット業界、一致団結 全数調査 実態把握に一歩
・アマゾン、赤字700万ドル 4空6月、売上高は22%増 事業拡大で経費増加
・発給枠の拡大 年内実現化 米、外国人専門職向けビザ IT人材不足 判断難しく
・ドコモ 4割死守に苦闘 奪われるシェア 販促費に「親の呪縛」
・携帯、混雑緩和に奔走 夏の催し本番 ドコモ・KDDI:移動基地局の出動増 ソフトバンク:WI-FI忍者派遣
・NTT、ドワンゴと提携 50億円で株5%取得 動画技術の実用化探る
・光ディスク、業務用に活路 ソニーとパナソニック、共同開発 まず4K放送向けに照準
・EVインフラで提携 日産・トヨタ・ホンダ・三菱 充電事業者確保が課題
・中国リスクにコマツの「盾」 GPS駆使「貸し倒れゼロ」 4-6月、営業減益だが 市場底打ち感反攻へ
・台湾HTC「最後の挑戦」 スマホ不振 長引く苦境 新興国で割安感 米英で積極広告
・富士通、228億円赤字 4〜6月営業損益 携帯3割減収
・書籍やITに重点 新規事業で成長維持 共同印刷・藤森社長に聞く
・EV充電器 1600基整備 愛知県、20年度までに
・美白ブランド失墜 花王を痛撃 カネボウ化粧品の回収問題 運営一本化課題に
・NEC、スマホ撤退発表 通信インフラに資源
・ITサービス 大手全4社増収 富士通8% 日立5% 4〜6月受注好調
・現実、ネット融合に挑む 「舞台は世界」ITに革新 テレパシー(株) 井口尊仁氏
・パナソニック 虎の子「電工」の嘆息 4〜6月、収益牽引 「M&A描けぬ」不満の声
・電子看板 スマホで操作 サムスン 店で書き換え自在 日本市場開拓急ぐ
・東京・足立区、PC3800台再生 仮想化で安く新型OS
・南アフリカのIT市場 携帯電話普及し成長持続 政治的リスクに注意を

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。