盆休みが終わりました。盆休みは里帰りが定番であり各地で相変わらずの交通機関の混雑が続きましたが、今年は火曜日から木曜日という日程のおかげでやや混雑が分散した傾向にあったようです。
その中で京都福知山では、花火大会の屋台から出火し、多くのけが人がでる大惨事が起きました。この影響で付近の60名あまりがやけどの被害を受けましたが、後日重篤な状態であった女性が亡くなりました。当初はガスボンベの爆発が原因と見られていましたが、調査の結果屋台の燃料用ガソリンの引火が原因と判明しました。気温と屋台に電気を供給する発電機の熱で携帯用ガソリン缶に入ったガソリンが温められ、
発電機への燃料補充のために缶のキャップを開いた瞬間気化したガソリンが放出されてしまい、爆発に近い状態で燃焼したようです。本来はこのような状態にならないよう圧力調整弁がついているのですが、この露天商は知らなかったのかサボったのか調整を行わずにキャップを開いたため、今回の事故が発生してしました。
この事故が怖いのは、携帯型ガソリン缶がかくも重大な事故を引き起こす可能性があると言うことです。今回はお祭りの露天商が起こした事故のため特殊に思われるかもしれませんが、実は携帯型ガソリン缶の普及は高く、今回のような事故が今後も起きる可能性が残っていると思われるのです。なぜ携帯型ガソリン缶が普及したのかと言えば、実は例の311がきっかけです。東日本大震災の影響で、関東を中心に多くのガソリンスタンドへのガソリン供給が滞り、給油待ちの長い渋滞が発生したことは記憶に残っていると思われます。その結果、多くの方が非常用対策として携帯型ガソリン缶を購入されたようです。
昔から携帯型ガソリン缶は販売されていましたが、多くの方にとって必要性もないため、入手方法は一般に知られていなかったと思います。車を所有していても大半の方には必要性がありませんでしたし、その存在すら知らなかった方も少なくないと思われます。必要なのは船のエンジンや農工機への給油を行う方であり、おそらく懇意のガソリンスタンドやカーショップで購入していたのでしょう。それらのお店はガソリンや携帯用ガソリン缶の危険性を知っていますから、取り扱いについて十分な説明が行われた可能性があります。
ところが東日本大震災以降、多くのメディアでガソリン不足が報じられ、携帯用ガソリン缶の存在が広く知られるようになりました。それをもっていればガソリン供給が滞っても何とかなるという気持ちから、多くの方が購入に走ったようです。近隣のホームセンターで取り扱うところは増えたでしょうし、ネットショップでも取り扱っているところはたくさんあります。事実Amazonや楽天を検索してみても、携帯型ガソリン缶は数多く販売されていますし、その種類や形状も非常に多様です。値段も2000円程度からあり、気軽に手に入れられるようです。
しかし多くのホームページを見てみましたが、ガソリンの危険性の説明や取扱説明書をよく読むようにと書かれたサイトですら少なく、ほとんどは商品のスペックのみを記して販売しています。正直今回の事件がなければ私も圧力調整弁の存在を知らなかったでしょうし、ガソリン缶の所有者にもそういった方が多いと思います。
このようにネットショップの普及により、これまでのリアルな店舗で提供されていたサービスが提供されなくなってきていることは事実のようです。危険物なのだから取扱説明書を読めばよい、と考えるのは容易ですが、取扱説明書を読まない方は少なくないと思いますし、読んでも正しく理解できない方も少なくないでしょう。となると、購入者の自己責任だけを頼っても、今回のような事故の発生を防ぐことは難しいのかもしれません。
このように大きな事故につながる製品は、ネットの上で数多く販売されています。薬の販売にはさまざまな規制があるように、販売されている製品についても何らかのルールを考える必要があるように思えます。販売を禁止する行為は、私の言うところ闇を増やすだけであり、より深く隠れたところでそれらが販売されることになります。かといってサイト上に「取扱説明書」を読むように、と書いても、ほとんどの購買者は読まないか意識をしないでしょう。となると、こういった状況を少しでも回避できる仕組みが、我々には求められているように思うのです。
たとえばこういった取り扱いが難しいものについて、年齢確認とどうようなゲートを設けることが大切と思われます。これは「取扱説明書をよみましたか?」という質問に対してボタンをクリックするようなものではなく、ソフトウェアのインストールのように動画を使った説明がよいと思っています。取り扱いの手順や危険性を示し、その内容を理解できればボタンをクリックする、その段階をいくつか経て始めて購入できるようにすればよいと思うのです。また、正しい使い方をしなければどのような事故につながるかを動画でみせることで、使用者に注意を促すことも可能になります。さらにそういったサービスを提供しない業者に対して、ショッピングサイト側が指導を行えば、購入者も値段だけを購入要件にしなくなるでしょう。
また製品の提供元も、QRコードを積極的に製品に印刷し、自社サイトへ利用者を誘導して使用方法を徹底すべきと思います。シュリンクラップ契約のようにキャップにシールを貼り、利用の際にはサイトに誘導し、それを確認して封をきるなどの方法をとれば事故は少しでも減らせるように思われます。
大切なことはムダと考えるのではなく、有効な方法を積み重ねていくことです。そういった小さな努力が、多くの人命を救いより便利な環境を作り出すことを、我々は忘れてはなりません。
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今週は、どんな一週間なのでしょうか。