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Weekly report
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 October Fourth week

 10年に一度という非常に大きな勢力を持った台風が、関東・東北を襲いました。海上を950ヘクトパスカル前後の強い勢力を保ったまま移動し関東をかすめて東北へ進んだこの台風は、その進路上の大島で近年まれに見る20名以上の死者と20名あまりの行方不明者という大きな被害を発生させました。

 今年は台風の当たり年のようであり、一ヶ月前の台風18号では西日本で大きな被害が生じ、今回は東日本で被害が出てしまいました。今週は台風26号と同進路をたどる非常に勢力の強い台風27号が来襲しそうですから、またまた万全の備えが全国で必要なようですし、台風26号の救出半ばである大島で再度被害が出ないか非常に心配になります。また困難な状況の中救出作業を行っている消防や警察の方々のご苦労も察せられますが、より困難な状況が生まれる前になんとか一人でも多くの救出を願いたいところです。

 それでも今回の台風で思ったことは、企業や学校が少しずつ適切な対応を取れるようになってきたということです。今回の台風は15日の夕刻から16日の午前にかけて関東に接近すると予想されていました。私は16日の晩、ならびに17日にセミナーの予定があったのですが、連休明けの15日早朝にクライアントに連絡を取ったところ、ほどなくセミナーの延期が決定しました。私が担当する以外のクライアントも同様であり、15日の午前中には翌日の講座すべての延期が決定していました。これまでのケースを考えると、実際に接近したり被害が生じるかは不明のため、とりあえずぎりぎりまで意思決定を延ばすというのが一般的でしたが、早朝の襲来ということもあってか、意思決定が早かったように思われます。また神奈川、東京、埼玉、千葉の公立小中学校も早めに休校を決めたようですし、無用の事故や被害が発生しなかったことは何よりと思えました。

 交通機関についても、上陸寸前までは稼働していましたが、実際の風雨が強まる7時前には運休となりました。仕方なく出社を試みた方もいらっしゃいましたが、駅の混雑等をみても遅刻や半休を決めた方も多かったようであり、都市部で大きな被害や混乱が生じなかったのは何よりと思います。台風27号の襲来の際も、今回と同様に大きな混乱や被害がないまま通過した欲しいところですが、そのためには企業や公共施設も本格的に手順や体制を決めていかなければなりません。

 とはいえ今回残念だったのは、大島の土砂崩れです。気象庁の特別警戒警報は、地域が限定されていたため発令されなかったようです。さらに大島の消防側は危険地域の避難勧告を出すよう役場に二度連絡したようですが、深夜と言うことで余計な混乱を生じさせたくないという気持ちから、当該地区に避難勧告は発令されませんでした。結果土砂崩れが起き、多くの人命が失われたことは本当に残念でなりません。暴風の中お年寄りの多い地域の避難をさせることの難しさは想像に難くないため、この役場の判断を責めることはできません。しかしながらこの悲劇を繰り返さないためにも、何か方法や手段を考えるべきということも事実です。都市部や若い住民が多い場所であれば対応できても、お年寄りが多かったり過疎だったりすると、こういった災害の発生前に積極的手段を講じることは難しいのでしょう。だからこそ、我々はアイディアを出す必要があると私は思うのです。

 自治体の負担をかけずこういった仕組みを作るためには、ITの活用はやはり不可欠と思われます。まずは情報の錯綜を防ぐため、各自治体にクラウドを使った情報管理システムを構築すべきでしょう。クラウドであれば万が一自治体の機器に災害の影響が出ても、アプリやデータはセンターに残るため、様々な対応が可能になります。そのアプリと住民台帳を連携させ、誰が、どこで、どのような状態になっているかを確認できるようにすると良いと思います。その上で携帯やスマートフォンを所有している場合はアプリをダウンロードさせ、被災時の状況を申告できるようにすればよいと思います。もちろんそれらを所有していない世帯には、タブレットPCなどの操作性や視認性のよいデバイスを自治体側が貸与すれば済むでしょう。現在のデバイスであれば座標情報も捕捉できますから、どこで情報発信されたかも瞬時に把握できます。

 その上で災害が予測された際にはその旨をスマートデバイスで連絡し、避難や介助の要否、準備可能時刻などを入力できるようにすればよいと思われます。自治体側はバス等をチャーターして要介助者の家を訪問し避難させればよいでしょうし、上記のような情報入力があればそのルート等も自動で編成できるようになります。スマートデバイスがあれば所在場所の一括管理もできるでしょうし、ピアツウピアで音声会話も可能です。

 このような仕組みを導入し運用することは、10年まであれば事実上不可能だったでしょう。しかしスマートデバイスの普及と通信環境の急速な発達が、これらを可能にしています。今後はウェアラブルコンピュータが寄り普及しますから、こういったことを当たり前にできる時代も到来します。

 大切なことは悲劇から学び、完璧でなくてもなんらかの手段を打つことと私は考えます。人の命は地球よりも重いのであれば、こういった予算をすべての自治体が組むことは不可ではないはずです。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・理系2年ぶり増加 来春の大卒採用内定数 医療・介護が牽引
・米アクセンチュアと合弁 独シーメンス スマートグリッドで
・韓国、サイバー暴政総力戦 相次ぐ政府攻撃、北朝鮮脅威 官民挙げ人材育成
・まず水中無線機投入 山形カシオ 生き残りへ独自製品開発
・京大も開講、にほんでふきゅうへ 講義の無料配信、東大に続き 推進協議会が始動
・進む原料高 網限界 マヨネーズ、小麦粉、ジャム 食品値上げ 原価の気宇宇悩む企業も
・牙抜かれたオラクル クラウド対応鈍く 創業者意欲に疑問も
・米ネット教育会社買収 Amazon、コンテンツ強化
・トヨタの自動運転者 のってみた とっさの判断人より早く 急カーブ・急ブレーキ即応
・経済効果 20年1.9兆j 300億個の機器 ネット接続 ガートナー展望 巨大データに商機
・MS「8.1」にみる改心 地道なPR手法へ回帰
・台本無し訓練 電力会社に要請 原発防災で規制委 緊急時の対応強化
・ハンドル握らずぴたり停止 ホンダの自動運転車 歩行者認識・駐車スムーズ
・小規模舗装もIT活用広報 前田道路 GPSで高さ調整 民間需要に的
・身につけて使いカメラ開発 パナソニック 選考商品負わずに独自性
・電子書籍課税 格差の解消主張 「国内勢衰退」足りぬ業界の説明
・弁当宅配参入へ着々 介護のリエイ、製造業者を買収 まず自社施設に供給 高齢者需要を取込む
・16年度末めどに完了 新日鉄住金のシステム統合
・Mr.SON 挑むトヨタ超え ソフトバンク時価総額8.9兆円 2500億円 欧米2社買収
・スマホ決済 新興国開拓 米イーベイ 店舗向け決済会社と提携 Amazonなどと競合
・ソニー、300アプリで勝負 腕時計型「スマートウォッチ2」 ユニークな使い方提案
・IT力 判断材料に 企業ブランド10年間調査 一位:グーグル 五位:カゴメ

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。