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さて園遊会における無所属の参議院議員の行動が問題になっています。この方は俳優出身の議員ですが、非常にラジカルに原発廃止活動行っている方であり、その活動の延長として国会議員になった経緯があります。今回の園遊会では、園遊会の席で天皇に原発問題の実情をしたためた手紙を直接渡したことが問題になっています。
原発の賛否は別として、この行動そのものはやはり問題があるように私には思えます。というのは今回の件も、許さない社会になっていることの裏返しに思えるからです。すなわち、絶対的な正義が存在し、それに反することは一切許さない、逆に正義を全うするためには、法律に反しない限り何をしてもかまわないというふうに見えてしまうからです。園遊会に招待されることは、国がさまざまな方面での活躍を感謝・慰労するということです。そこには政治目的はありませんし、利害も発生しない催しといえますし、参加する人間もそれを守るべき場です。ところが今回の件は明らかに、個人的な主張を明示した行動を行ってしまいました。
放射能の危険性は誰もが理解していることであり、福島原発に関する情報の隠蔽や事後処理の滞りがあってはならないことは当然のことといえます。また事後処理に従事する作業員の労働環境が悪いことや、労務管理がずさんである可能性もメディアで指摘されているとおりかもしれませんし、被爆した食物を摂取することが子供の健康に甚大な影響を与えることも広く知られています。しかしながら、それを園遊会の場で天皇に伝える必要性があるかといえば大きな疑問が残りますし、あれだけ被災地を訪問している天皇がその事実を知り得ないということも考えにくいと思えます。さらに国のとなると、今回の手紙の件は、この議員のパフォーマンスに思えてしまうのです。
そしてなにより問題なのは、明文化されたルールがないかぎり、正義のためには何をしてもよい、という考え方です。園遊会という催しの性質を考えれば、して良いこと、悪いことは判断できるのがこれまでの大人でした。しかし今回の件は、手紙をわたしてはいけないというルールが明文化されていなかったから、という理由を本人が述べているところをみると、まさに正義のためであれば明文化されたルールさえ守ればなにをしてもよいという考えのように思います。
不文法は原始的な法律形態であり、明文化・成文化されていなくても守るべきものがあることを教えてくれます。また社会のルールも、法律ではなくてもまもるべきものを解されます。日本は単一国民により文化が創られてきたことから、明文化されていなくても社会でまもるべきルールが沢山存在してきました。道にゴミを捨てない、老人に席を譲る、人が歩くところで座らない、落書きをしないといったものや、公共の場所で大声で話さない、夜の街では静かにする、といったルールが数多くあったのです。、もちろんエスカレータの右側は歩く人間のために空ける、というのも社会人が作ったルールのように思われますし、これらは成文化していなくても皆が守っています。これは迷惑する相手のことを考えて、という日本人らしい感情が背景にありますし、先日世界的に有名になった「おもてなし」の心にもつながるものだと私は考えます。
ところがこういった当たり前のルールが、日々守られなくなっているのが現代の日本です。シルバーシートに腰掛け携帯をいじる若者を見ない日はありませんし、落書きのない飲食街はありません。住宅地の公園で夜中に大声で騒ぐ若者は後を絶ちませんし、所構わずゴミを捨てる大人も沢山います。明文化されたルールがないから、どころか、罰則がなければルールに違反することもかまわない、という考えが横行しています。ところがこの考えが逆に働くと、明文化されたルールは厳守すべきとなりますし、ルールに違反した可能性がある人間は、それが事実でなくても社会から抹殺してもよい、というふうになってしまいます。これがネットの炎上やヘビークレーマーでしょうし、他人に対する誹謗中傷がやまないのも、同じ原因に思えてしまうのです。
ルールがあろうが無かろうが、社会や多くの人のために何をすべきか、何をしてはいけないかの判断がつくのが大人であり、物事とを多面的に考えられるのが大人のはずです。したがって判断の根拠が明文化された物だけとなると、それは大人とはいえないことになります。しかしながら今回の一件は、まさにこういった社会のルールを無視するものであり、明文化されていなければ正義のためならなにをやっても許される、という考えが見え隠れしてしまうように私には思えます。
今回の一件は非常に根深い問題を提起したように思えますし、これからの社会をよりよくするために、我々がもう一度ルールの存在を考え、それを守ることの大切さを子供達に教えるきっかけとなることを私は願っています。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・曲面 タッチ操作自在 ホシデンがパネル カーナビなど想定
・20代 トップ起用で育てる サイバーエージェン「人材がすべて」
・ベトナムの大学との連携 TIS ビッグデータで事業創造 渋滞解消などにらむ
・介護ロボ、しなやかに マッスル 技術蓄積、新分野に挑戦
・OS無償化で自陣拡大 アップル 顧客のコンテンツ利用増狙う PC向け、収益増に貢献
・数bの距離から心拍や呼吸捕捉 パナソニック 非接触型センサー 見守りなどに的
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・電子看板 災害時の掲示 スマホ配信で円滑閲覧 NTT 無線LANで周辺100人同時
・ダウンロードが倍増 任天堂のゲーム 最終黒字6億円
・再生医療大国へ舵 薬事法改正案 審議入り 早期承認 3〜4年で実用化
・モバイル広告第2幕へ 米ネット3社の業績けん引 物販・サービスに誘導
・ベルシスのタイ子会社 新日鉄住金ソリュが買収
・ITサービス2社増収増益 富士通「受注額、過去2番目」 NECとNTTデータ苦戦
・NTTデータ本丸異変 海外展開加速するか 国内システム案件赤字続々 世代交代、工程管理に陰り
今週は、どんな一週間なのでしょうか。