フィリピンの台風が、人類最大とも言える甚大な被害を生んでいます。
11月5日に発生した台風30号(Haiyan:海燕)は、その強い勢力を保ったまま11月8日にフィリピンに上陸しました。瞬間最大風力が90メートルというものすごい勢いの台風であったため、海水は陸に押し上げられ
多くの家屋が屋根上まで浸水し、残った地上の物は強風でなぎ倒されました。被害の中心はレイテ島となりましたが、16日時点で死者4500名以上、行方不明者は2万人といわれています。日本人の消息不明者も80名弱と非常に大人数になっており、今後の早期な捜索と救出が臨まれています。
現在は各国の救援隊がフィリピンに入り
救援活動を開始したところですが、圧倒的な規模の被災状態のためなかなか被害の全容を解明するまでに至っていないようです。
フィリピンでは、先日ボホール島を中心にマグニチュード7以上の大規模地震が起きたばかりであり、その復旧のめども立っていないこの時期に再度の被災となりました。地震の被害の大きかったボホール等はかろうじて今回の進路から外れたようですが、それでもフィリピン政府としては広域で大規模な被災を二カ所に受けたことになりますので、両島の復興には大きな時間と費用がかかりそうです。
ご存じの通り台風は、グアムやサイパンで有名なマリアナ諸島付近で発生します。赤道に近いため日照が強く、海水が過度に温められると急速な上昇気流が生まれ、これが台風となっていきます。その進路上は海上のため、暖められた海水からの蒸気で勢いを増し、フィリピンなどの東南アジアや偏西風に乗って東に向きを変え日本などに上陸します。そして地上に近づくほど海水からのエネルギーの補給ができなくなるため勢力を弱め、やがては熱帯低気圧として地上に被害を残して消滅していきます。しかし近年の地球温暖化によって海水温が年々上昇してしまっています。結果として台風の勢力は年々強くなっており、その勢いはとどまることを見せません。台風が起きると海が荒れ、深海の冷水が循環して海水温が冷え、台風が起きにくくなるというのが従来のメカニズムのようでした。しかしながら最近の海水温上の上昇は、台風の発生確率を上げ勢力を強めさせるほどになっており、10年に一度の規模の台風が毎年4〜5回発生してしまうようになったようです。これによって深海の水がこれまで以上に循環してしまい、深海の水温上昇も相当な勢いで進んでいます。
一般に海水温の一度は、地上の気温にして6度ほどの変化といわれます。このところの平均水温が1〜2度高まっている事実を考えると、仮に平均気温20度の温帯が熱帯に変わってしまうほどの影響があると考えられます。これは海中生物の生息環境が激変することを意味しますし、CO2の吸収に役立つサンゴにも大きな影響があることは間違いありません。事実沖縄界隈のサンゴ礁は壊滅の危機に瀕しています。水温上昇の今日でサンゴが白化して死滅するだけでなく、強い台風の影響でサンゴ礁が根こそぎ倒されてしまうからです。さらにサンゴの天敵であるオニヒトデも大量発生しており、この状況をさらに深刻にしています。サンゴ礁が無くなると海中のCO2濃度が相対的に高まりますので、生物が住みにくくなります。さらにサンゴ礁は生物の幼魚や幼体の生息環境ですから、海中生物が劇的に減少してしまいます。鰻の幼魚はマリアナ諸島沖の深海で孵化するといわれていますが、この地球温暖化の影響が確実に及んでいると思われますし、それが近年のしらす鰻の激減につながっていると考えられます。
このように人類が起こした地球温暖化の影響が、結局は人類が生存することを危うくする状況を作り出しています。文明の進歩と環境破壊が比例することは、誰にとっても望ましいことではありません。だからこそ我々は、環境破壊を少しでも食い止める努力をするだけでなく、豊かな自然環境をもう一度取り戻すための努力をすべきと私は思います。
ビッグデータの進歩は、こういった文明と自然環境の因果関係を解明するきっかけになることは間違い有りません。コンピュータの性能向上は、こういった複雑な因果関係をより短い時間でひもとくことを可能にします。また身の回りの電子デバイスは、CO2の輩出やエネルギーのムダを少しで藻食い止める働きをしてくれます。となると、我々ITエンジニアはこういった仕組みをすべての企業システムや公共システムに組み込み、少しでも地球環境を守る努力をしなければなりませんし、すくなくともそういったマインドをもつことが求められています。自分たちの子供や子孫によりよい環境を残すためにも、我々が身の回りのことに気をつけるだけでなく、積極的にこういった仕組みを実現することが求められますし、来るべき2020年の東京オリンピックの際に、世界中の人間がこういった取り組みの有効性を実感できる仕組みが実現できていることを私は願っています。
========================================
先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・日産、新型スカイライン 電気信号でタイヤ操る 2台前感知し衝突防止
・プラント制御システム 熟練作業員の経験 再現
・高級時計にハイテクは不要 スイス社に学ぶブランド戦略
・不要品 すべて引き取り タンス、楽器、マッサージチェア 書籍不振で新分野開拓
・食品虚偽表示 ホテル御三家も ビジット・ジャパンに完封 訪日外国人1000万人に難題
・日の丸風力 荒波超え 浮体式、福島沖で稼働 難所で生きる技術
・「性善説」運営に課題 楽天、セールス不当表示を謝罪 海外展開向け防止策を
・1分間で24万円稼ぐテレビ通販 住商はなぜ株売った?
・3Dプリンターで医療参入 臓器や骨の模型 手術の練習装置
・100回利用できる紙箱 対段ボール 強度6倍、コスト1/3
・車の衝突関知 動画撮影 盗難防止や当て逃げ対策 富士通テン スマホで周囲確認
・台湾PC二社 個人離れ打撃 エイサー:巨額赤字 エイスース:シェア急減 タブレットに人気流出
・日産、需要変動に備え メキシコ新工場に「テスラ方式」 北米や中国の教訓忘れず
・日本酒を10年熟成 長い酒造 温度管理で劣化防ぐ
・授業の文書 IT管理 法政大と富士ゼロックス 自動で成績一覧 答案確認でPC
・1万円台スマホ 高機能 米モトローラ、179j新製品 新興国舞台競争一段と
・大和ハウス、人事管理をクラウド化 グループで変更容易に
・3Dプリンター 再生医療に 移植可能な組織を作製
今週は、どんな一週間なのでしょうか。