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Weekly report
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 November Forth week

 東京モータショーが開幕しました。2年に一度のこのショーですが、今年はこの数年にない盛り上がりを見せているようです。

 リーマンショック以降世界経済が冷え込み、技術開発の速度は落ちました。さらに消費意欲の低下が高額商品の売れ行きをさげ、結果として車などが売れなくなりました。さらにガソリン高騰や若者の車離れが 進み、自動車業界は終焉を迎えそうな状況でした。

 しかしSmall100(スモールハンドレッド)といわれる電気自動車メーカーの出現が、Big3といわれる自動車メーカーの姿勢を変更させます。大型で豪華な車ではなく、環境に優しい移動手段を 作り出すように姿勢が変わってきたのです。さらに自動車メーカーが自動車のIT化を積極的に進め、さまざまな装置が実現されていきます。それまで電子噴射装置や空調のコントロールぐらいにしか使われていなかったITを積極的に 自動車の各種装置に組み込み、低速時の自動停止装置やバックビューモニター、上空から車の位置をモニターする駐車アシスト装置など、続々と性能の高い新しい装置を作り出しています。さらに先日発売された新車では、ハンドルの動きも電子仕立てにするステアリング・バイ・ワイヤという仕組みが導入されており、今後もこのようにあらゆる装置がIT化される可能性があります。実際今回の東京モーターショーを見てみても、ハイブリッドシステムや自動走行システム、道路状況や安全状況をきめ細かに表示するシステムなどのオンパレードであり、環境負荷を下げ安全性を高める ためにあらゆる技術が競われています。

 さらに今回の東京モーターショー特徴としては、若者の車離れを防ぐべくさまざまなアイディアが競われている点でしょう。若者のファッションセンスに訴えかける車や軽乗用車サイズのスポーツカーなど、所得が低い若者でも手が届き所有する喜びを味わえるような車の開発が進められています。 昔は車を所有し自由にいろいろな場所にドライブすることが若者のステータスでしたが、インターネットを始めあらゆるレジャーやメディアの充実から車は選ばれなくなりました。その上都会に暮らせば移動手段が多様にあるため、車そのものの必要性もなくなるため、若者の免許の取得率も年々下がっています。これは自動二輪車(オートバイ)も同様であり、自動車メーカーにとっては非常に頭の痛い問題と言えます。しかしながら今年の出展を見ていると、若者向けの軽量バイクや安価なバイクが出展されていますし、ハイブリッドやターボ、電動バイクなどの新しい技術を使ったバイクも数多く発表されています。

 これらの動きを見ると、自動車メーカーの姿勢が劇的に変わったことを感じます。これまでの技術優先のプロダクトアウトの姿勢をあらため、購買者や社会の観点からの車作り、すなわちマーケットインに変わってきたように思います。さらにITの積極導入は、まさにマーケットアウトの様相を見せます。情報技術を利用することで新たな市場をつくり、そこに消費者を呼び込もうとする動きです。ハイブリッドカーや電気自動車は移動手段や趣味という市場から環境という市場を生み出しましたし、さまざまなセンサーは都市の安全という市場を生み出そうとしています。これはまさにスマートシティそのものであり、自動車はこういった新しい市場を担うインフラの一部となったのです。

 このような自動車業界の動きは、今後あらゆる業界に広がっていく必要があるように感じます。日本では是といわれたマーケットインの姿勢をあらため、AppleやGoogleのようにITを活用した独自の製品を生み出し市場を作り出す、マーケットアウトに変わっていかなければ企業の存続が難しくなるからです。しかしながらそのためには、高度なITに関する知識と卓抜な想像力が要求されます。しかしながらこれまでの日本の学校や企業では、こういった人材の育成は行ってきませんでした。となると、今後日本が生き残るためには、マーケットアウトな発想ができる人材をいかに探し出し、市場創造につながるアイディアをどうやって創出させるかを早期に考えださなければなりません。もしそれができなかった場合、世界のタイムマシンたる日本の存在は、追いついてくる多くの国々に抜かれ没落していくことは間違いありません。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・モノのインターネット化 IoT インテル、収益源に 「パソコンの次」育成
・グーグル図書館」に弾み 書籍電子化 米で作家の訴え棄却
・LINE、商店の販促支援 小規模店に低料金で
・日産の超小型EVカーシェア 会員登録、1か月で2700人超
・3DCADで製販改革 KCM 試作2週間、図面で迅速営業
・猛烈アマゾン クラウド旋風 ベゾスCEO ネット通販抜く可能性 IBM・MSと火花
・2万人超の女性戦力に キャノンベトナム 妊婦教室など細かく支援
・クラウドOSにMS採用 さくらインターネット 一般企業向け開発人員を倍増
・超音波で路面変化把握 山口大がシステム 砂利や泥認識 車椅子などに
・「カジノミクス」日本に吹くか マカオに見る光と影 高い成長率 他産業育たず
・安い後発薬 安くない 厚労相、公定価格下げ 普及策、医師・薬局に厚く
・米HPとセールスフォース提携 ソフトを一体販売 法人向け
・体感研修 全社員に JX金属 ベテラン講師が飽きさせず
・POS分析の先駆け セブンイレブン創業40年 闘う「元祖ビッグデータ」
・サムスンの腕時計型端末 世界販売80万台 発売2ヶ月で
・ベトナムの要員10倍 ソフト開発 エボラブルアジア 2000人体制で受託
・いびきまねた音で診断 睡眠時無呼吸症 都立産技高専が新手法 周波数で起動分析
・病院の使い勝手 仮想現実で再現 セントラルユニ ショールームで顧客と直接対話
・オフィス・家庭 省エネ課題 IT制御に商機 電機各社技術競う
・競う軽 ホンダが台風の目 会場で異例の新車発表 未来車より明日の1台
・モバイル対応加速 米セールスフォース 他社ソフトとの連携強化
・創業者 董事長に復帰 エイサー 業績悪化、再建目指す
・知育アプリ海外販売 スマートエデュケーション まず米国で動物塗り絵
・博物館、ITで体感展示 タブレット利用 3D眼鏡利用
・ボルボ、15年に搭載車投入 高度運転支援システム 日本向け 自動で走行位置修正
・歯科医院で歯形作製 米ストラタシス 小型3Dプリンター
・グーグル、いざ陸海空へ 進化するびっくり箱経営 革新のイメージアップルしのぐ 

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。