数ヶ月続いた激務も、先週でやっと一段落しました。今週も忙しいのですが、それでも少しだけ負担が軽くなって気持ちも楽になりました。
さて先週の17日は、阪神淡路大震災の19年目の日となりました。この19年の間に中越地震、そして東日本大震災を経験することになりましたが、近年の地震対策はこの阪神大震災の教訓が大きかったように思います。
1995年1月17日午前5時46分、淡路島を震源としたマグニチュード7.3の地震が、早朝の神戸を襲いました。最新のビルは被害を免れたものの、古いビルは土台から倒壊したり、途中階からパンケーキクラッシュを起こしました。隣のビルにもたれかかるビルも多数発生し、多くのビル内への立ち入りが難しくなりました。一般家屋も数多く倒壊し、就寝中や早朝の準備を始めた多くの方が被害を受けました。道路も隆起をしたり倒壊した建物で通れなくなり、阪神高速も一部の橋梁が倒壊しました。鉄道の駅も神戸を中心に倒壊したり地下駅は崩壊したりで、交通機関はほぼ麻痺状態になりました。新幹線は大きな被害がありませんでしたが、それでも複数の橋梁にひび割れ等が見つかり、3ヶ月ほど不通となってしまいました。
神戸の長田地区では、地震直後に火災が発生し、これが多くの住民を巻き込む大火災となりました。消火用の水の不足もあってその規模は刻々拡大し、7,000戸以上が延焼する大火災となりました。その他の地区でも事後的な火災が相次ぎ、倒壊や半壊の被害をより大きくしてしまった結果となりました。この地震の結果、6、434名の方が亡くなる戦後最大の被害を起こした大災害となりました。
しかしながらこれだけの被害があっても、神戸の復興は日々進んでいきました。数ヶ月のうちに倒壊した家屋は撤去されましたし、交通機関の多くも元通りに復旧していきました。倒壊したり崩落したビルも再建され、新たに地震に強いビルとして街並みを変えていきました。かつては多くの瓦屋根が見られた神戸のヒホンし貴殿等家屋も、スレート屋根などの軽量で強靱な素材を使った家屋に建て替えられました。センター街も様相は変わったものの復活し、数年のうちにかつての賑わいを取り戻しました。関西に出張する都度付近を見て回りましたが、ブルーシートで覆われた家屋が毎月確実に減っていき、数年後には地震の爪痕を見つけることが難しくなるぐらい新しい家並みに変わりました。それでも仮設住宅がなくなるのには5年ほどの年月がかかりましたが、いまでは学校や公園の記録となってしまうぐらいの昔の記憶になりました。
この震災によって多くの人命が失われましたが、それでもそれを起点としてさまざまな災害対策が行われるようになりました。地震に対する人々の意識が高まったため、新築家屋を中心に耐震対策が積極的に行われるようになりましたし、既存の建物に対する耐震補強工事も全国で進むことになりました。災害救出活動や医療体制も多くの見直しが行われましたし、カセットコンロなどの規格も統一されることになりました。民間企業による支援の体制も再構築され、日本全国の災害に迅速な支援を行える体制を整えることになりました。
人間は可能性が低い事象を、真剣に考えようとしません。ましてや未知の状況については、考えることも出来ません。それが過去の歴史で繰り返されたことでも、本当に自分の目を通して見ないことであれば真剣に考えようとしないのが人間です。だからこそ地震大国といいながら、大災害への取り組みや対応が不十分だったため、阪神淡路大震災の多くの犠牲者を生みました。その後地震については数々の検討がなされましたが、津波の被害について真剣な検討は行われませんでした。事実2004年にスマトラ沖地震が発生し、28万人以上の死亡者がでたにもかかわらず、地震大国で海中地震が容易に想定される日本で真剣な検討が行われなかったのです。その結果が東日本大震災の被害につながり、地震そのものの被害より大きな被害を生んでしまうことになりました。
それでも救いは、人間の力です。いま神戸を訪れても、昔の神戸を知らない人間であれば大震災があったことすら気づかないでしょう。新しく綺麗で豊かな街並みは、沢山の死傷者を生んだ悲惨な姿を想像することすら難しくしています。それほど力強く確実な復興が行われましたし、人間の営みの強さを心から感じさせられます。東日本大震災の復興は、その道半ばどころか、まだスタートラインに立っただけかもしれません。神戸は大阪や京都といった大きな経済圏が隣接した日本有数の商業都市だったから、ここまで早く確実な復興が図れたことは事実です。しかしそれでも我々は、もう一度東北の復興を本気で考え、神戸以上に綺麗で安全な街を取り戻す努力をしなければならないのです。それはやがて来るであろう東南海や東海沖への復興の手順を意味することであり、首都が麻痺しても日本全体が機能するために絶対必要なことなのだからです。
阪神淡路大震災でお亡くなりになられた方やそのご家族の悲しみ、東日本大震災でなくなられた方やご家族の悲しみをもう一度かみしめ、我々は明日の日本のために復興の道を自らのものとして歩まなければなりません。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
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・ビール系 縮小止まらず 大手5者 9年で16%減 景気浮揚も市場厳しく
今週は、どんな一週間なのでしょうか。