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Weekly report
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 February Fourth week

 先週は大雪の関東でしたが、今週は予測された雪もそれ、無事に雪が消えつつあります。私の家の周りは未だに数多くの残雪の山が残っていますが、路面の凍結もだいぶ無くなって歩きやすくなってきました。

 さて金曜日の夕刻、この数年お会いしていなかった監査法人時代のボスの姿を見に、東京タワー横の機械振興会館に出向きました。当日は午後から日本システム監査人協会の総会があり、そこの基調講演にかつてのボスが発表されると聞いたためです。あいにく当日はセミナーだったため、総会終了後の懇親会だけでも参加しようということで仕事が終わった後タクシーで現地に向かいました。

 セミナーもやや伸びたため、到着したのは18時過ぎでした。会場では懇親会も佳境の状況で多少入りにくかったのですが、それでもかつての仲間もいるはずなので中に入ってみました。するとかつてのボス、ならびに仲間が前方にいましたので、人並みをかき分けてそちらに向かいました。懇親会は立食パーティ形式ながらも周りにいくつかのイスがあり、ボスはそこに座っていました。ボスに挨拶をして周りを見渡すと、当日の総会に参加された会員の方が40名ほど歓談しており、前方では会員代表の方のスピーチが行われていました。うぃばらく会場を俯瞰して見回していたのですが、ふと既視感(déjà-vu)に襲われている自分がいました。

 私がシステム監査の世界に入ったのは今から25年ほど前になりますが、当時もこういった総会に参加すると、見事にお年を召した方ばかりであった記憶がありま す。そこでは私だけが場違いの20歳代であり、まわり30歳代の人はまれで皆40歳以上のおじさんばかりでした。おそらくは上場企業や公的組織の役職者以上であり、名刺交換や私には難解なテーマで会話をされていた記憶がありましたし、当時の駆け出しだった私はずいぶんと疎外感を感じたものでした。

 そこで昨日の懇親会を見渡してみると....今度は見事に60代以上の方ばかりになっていました。おそらく私より若い方は2〜3名であり、50歳を過ぎた私ですらこの中では若手であることに愕然とさせられました。 年齢的に考えると、企業の役員や監査役、あるいはリタイアしたおじさんが中心となっているのでしょう。さまざまな事例やテーマについて研究する定例会ではなく総会だったため、という理由もあるでしょうが、それでもこの老人の多さには正直驚かされました。私が25歳分歳をとったように、会員の平均年齢も25歳程度上がったように思われました。日本システム監査人協会は、システム監査を通して企業システムの信頼性や安全性向上へのさまざまなテーマについて研究・実践している協会であり、最新のアタック方法やセキュリティ上問題を扱っています。それにもかかわらずその会に若い人がいない事態に、正直背筋が凍る気持ちになりました。

 私がシステム監査の世界から退いて10年ほどになりますが、 情報システムの複雑化や多元化は年々進んでいます。同時にセキュリティに関する問題や攻撃は年々手口が巧妙かつ激化しており、技術も日々高度化・多様化しています。それらを発見し対抗する専門家の集団がこれだけ高齢だとすると、日本のセキュリティ対策もお寒い状況と言えます。もちろん事実はセキュリティに関わる若者が少ないということではなく、こういった協会などに専門性をもった若者が入ってこないというのが事実でしょう。私自身もこれらの会合からいつの日か足が遠のいたのは、定例会に集まるのがシステム監査の普及とその技術向上を目指した専門家が中心になるのではなく、自己顕示と人脈形成を目的としたサロン的雰囲気を求めたお年寄りが多かったためといえるからです。名刺交換が第一であり、自分がどのような企業でどのようなポジションにいるかを顕示し、本当のシステム監査について高い次元で論ずることを中心とするのではなく、政治的・ロビー的活動を行うことを目的とするのであれば、専門性を追求する若者は参加しないでしょう。

 しかし私が歳を取った今、それでもこういった会合に若者が参加しないことの問題を感じるようになったことも事実です。自己顕示が目的の年寄りは論外ですが、それでも私のボスのように世界でもトップレベルの考え方と経験をもった実務者もいますし、私自身もシステム監査、特にアプリケーションコントロールという特殊な分野の経験は、今でも日本有数の数を持っていると思います。こういった経験やノウハウを豊富に持った年寄りも、そういった場にいることも事実なのです。したがって若者が参加しないと、それらのノウハウの多くは属人的に終わり、おそらくそのまま墓の中に持って行くことになり、誰にも伝承はできないのです。これは明らかに日本のシステム業界における損失ですし、この状況を変える努力をしなければならないと思うようになってきましたし、だからこそこういったさまざまな先達のノウハウの継承のために、やはりこういった組織が必要と思えるようになってきたのです。

 ITの世界は、その会社内でしかノウハウが蓄積されにくい特性を持ちます。ましてやシステム監査のように特殊な分野であればあるほど、そのノウハウが伝承されることは難しいと思います。だからこそ、このノウハウを上手に伝える方法を我々は考えなければなりませんし、日本の多くのNPOや協会が具体的な対策を講じていく必要があると私は考えています。

 さて、結局昨日は、懇親会の途中でボスと仲間で会をこっそり抜け出し、三人で近所の飲み屋で昔話に花を咲かせました。ボスは一昨年脳内出血で生死の境をさまよったようですが、幸い後遺症も少なく復帰されたようです。世界で最先端の英知がまだまだ活躍されていることを知り、不肖の弟子としてはその足下にも及ばない努力を少しでも続けなければならないと痛感させられた一夜となりました。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・電子の目 感情も読む オムロン:表情から目的解析 デンソ−:曲がり角の先検知
・グーグル、人材の供給源に ドロップボックスにモトローラCEO 活力と安定 両立に苦心
・カーシェア 月額料金無料 来月から 新規加入一割増狙う アース・カー
・世界5億人に 接客型EC 楽天、通話アプリ「バイパー」買収 実店舗感覚 市場に風穴
・通販チラシ、個別に推奨品 顧客の購買履歴を分析 サイジニアが新サービス リピート率1.5倍
・心房細動 スマホで検知 レンズに指あて脈を検出
・テスラの部品、4割日本製 信念もの言う最終製品
・ヤフー、社内外参加イベント 24時間でアプリ開発 メガネ型端末に吹き出し
・ホンダ リコールの教訓 電子制御技術 進化に挑む
・東レ、次の魔法のシャツ IT肌着 ヒートテックに続け! 健康データ自動転送
・50cm離れても充電 アドバンテスト、無先進技術 障害物を挟んでも反応
・IBM顧客 争奪戦 PCサーバ事業売却 IT大手、高性能機・サポートで攻勢 HP小型省電力に軸
・雪が教えた共通化リスク 部品供給に代替無く
・縫合器 周辺臓器炒めず ゼオンメディカルと香川大 内視鏡手術 針に受け皿 患者負担を軽減
・IT・ハード融合新時代 腕時計型端末の米ペブル:アプリ、既に1300件
・高血圧、家庭の測定重視 遠隔医療の可能性育てる
・ゲーム氷河期溶かすか 欧米好調のPS4、日本に ソニー:ネット機能売り物に
・霞ヶ関にリコー式 「埋蔵金」年1200億円 共通化で発掘なるか
・狙われる銀行口座 ブラウザーを乗っ取り スマホ標的 不正アプリ ネット詐欺被害年14億円超
・増える女性医師 仕事と家庭両立 問題に
・LINE相場もうなぎ登り フェイスブックの1.9兆円買収 バブルの懸念も

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。