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Weekly report
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 March Third week

 STAP細胞論文が揺れています。

 約一ヶ月前に発表されたSTAP細胞論文ですが、様々な実証実験や論文精査によって多くの疑義が生じてきたためです。論文の内容が他論文の内容と酷似していたり、写真が流用だったり、写真に改ざんがあったりと、世紀の発見を伝える論文としてはあまりに杜撰と言える部分が多かったようです。世界中の研究機関も論文内容の実証実験を行ったものの、一件も論文に示された手順でSTAP細胞を作ることが出来ず、内容についても多くの疑義が示されることになりました。ついには共同研究者も論文内容に疑義を表明することになり、論文の信憑性そのものが疑われる結果となってしまいました。

 毎度のごとく手のひら返しの報道を行う報道の姿勢には大きな問題を感じますが、とはいえ理化学研究所の対応にもやや問題があることは事実です。多くの指摘に的確に対応したとは言えず、検証の中間結果もあいまいなものでした。若い研究者である小保方氏を守ろうとする姿勢は分かるのですが、本人の直接・間接の説明もなかったため、納得のいく発表とはならなかったようです。

 今回の件の真実はまだまだ時間がかかるでしょうが、やがて世界の様々な研究機関が真実を追究してくれるでしょう。追加実験が成功すれば、この論文の正しさが証明されるのでしょうし、この論文を足がかりに本当に素晴らしい結果が出せれば、基礎論文としてのこの論文の価値が証明されるでしょう。いまは拙速な判断をすることなく状況を見守りたいと思いますし、できればこの論文の正しさが証明されることを願いたいと思います。

 とはいえ今回の件で問題だと思ったのは、若い研究者の常識の違いです。これまでも何度か申し上げてきましたが、デジタルネイティブである彼ら彼女らは、我々デジタルイミグラントの持っている常識とは異なることを認識しなければなりません。他者の文章や写真・画像などをカット・アンド・ペーストすることは、どのような理由をつけても基本的に著作権侵害の問題につながります。一件著作権を放棄しているような公的な文書や写真、あるいは私的利用を認めた画像なども、第三者機関による査閲を受けるような論文であれば商用と見なされる可能性が高いといえます。まして企業内の資料にそういった物をつかうのは、明らかに著作権違反になります。

 引用というかたちも実は難しく、どの範囲までが引用として許されるかは相当に慎重な判断が要求されます。ましてや引用は引用の事実と出展を明記しなければなりませんし、あたかも自分が記述したように文章の内容にペーストは出来ません。その意味で今回の論文での他論文の引用は、たとえ自分の論文であっても引用と言うことにも当たらない可能性があります。

 PCによる文章作成は、カット・アンド・ペーストなどを可能にしました。さらにインターネットの普及は、Web上に示されるさまざまな知識や情報を簡単に入手することができるようになりました。その両者が相まって、さまざまな文書やWebなどでカット・アンド・ペーストを見かけることになりました。しかしそれは基本的に他者の著作を引用していることになりますし、場合によってはその範囲も超えることも十分にあり得ます。さらに引用元の文章やWebが間違っていたり、前提とする条件が異なっている場合は、カット・アンド・ペーストを行って作成した文章そのものに誤りを持ってしまうことすら考えられるのです。

 このような安易な行為を行うことを、止めることはもはや不可能でしょう。だからこそこういった当たり前の常識をデジタルネイティブに教える必要がありますし、その安易な習慣が抜けるまで、きちんと指導する必要があるのです。さらに我々ももう一度その事実を真摯に受け止め、自らの著作行為にそういった可能性をはらまないか考えなければなりません。私もこのページを作成する際さまざまなWebを調べますが、英文であればその原典をしらべ、極力私なりの翻訳で伝える努力をしますし、日本の文献等の場合も複数あたり、自らの考えを表現するよう注意を払っています。

 今回の論文の成果がこのような事実によって毀損されることは、日本の研究機関にとって痛恨の極みと言えるでしょう。だからこそもう一度真摯に自らと自らの周りを見直し、このような事態を起こしたり容認しないよう自戒する必要があると考えています。

 ということで今週は風邪のため、ちょっと短めでご勘弁です。微熱が下がってくれれば、もう少し頭が回る気がするのですが... あんまりかわらんか。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・攻めの営業 タブレットで 日生:契約、画面で完結 ふくおかFG:最新情報で取引
・IT活用広告提案 博報堂、スマホ画像認識
・非常時の電力、地域に供給 住民主体の運営重要 パナ、神奈川にスマートタウン
・「787」主翼ひび割れの恐れ 製造中の40機 三菱重、対応急ぐ
・高い「集客力」マネー呼ぶ SNS大手などが巨額買収 EC・販促へ宝の山
・ウェアラブルにもOS グーグル「アンドロイド」提供へ
・情報システム整備 4900億円 日本郵政、日立出身の責任者
・クラウドサービス「ブルクンバン」 TIS 高品質な運用監視に支持
・不明機の捜索続く マレーシア航空、再建に影 LCCと競争、環境厳しく
・宮城 藻類からバイオ燃料 再生エネの東北へ 木材から水素製造 トヨタなど
・日本のCIO、対応ごて 商品・サービスのIT活用 デジタル責任者設置を
・横ばい続く国内IT市場 企業力強める投資を
・伊藤忠、エドウィン経営支援発表
・農漁業、ITで新芽 富士通の半導体拠点、野菜工場に 宮城、カキの電子取引所
・JAL「夜間飛行」で一矢 羽田−ホーチミン線開設へ ANAは昼間帯に注力
・スマホから金銭盗む攻撃 増加予測、自衛欠かせず
・服用時、吸入器で自動配合 GSK、ぜんそく薬「レルベア」 変質などリスク軽減
・過給器の試作、最短1日 車用 三菱重、環境規制で需要増 欧米で開発・設計人員増
・モノのIT 中韓に脚光 欧州見本市 CeBIT 
・良品計画、EC・店連携強化 ビッグデータ分析 米社サービス採用
・点滴用テープ全国展開 日東電工 3年で1000施設納入へ
・車は家電の道たどるか 安全面での違いを大きく
・カバー改良、1割軽く 三菱重工業 LNG輸送船「さやえんどう」
・瀬戸際の「送料無料」 宅配業界、値上げに動く

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。