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Weekly report
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 March Fifth week

 先週久しぶりの札幌出張に行ってきました。

 この時期はまだまだ寒いだろうと結構な重装備で現地に入ったのですが、気温が10度と東京と変わりなく、すっかり使わない荷物が多くなってしまった出張でした。

 雪まつりの終わったウィークディの札幌ですので観光客は少なく、街全体はがらんとしたイメージが残っていました。道路のアイスバーンもすっかり溶け、だいぶ傷んだアスファルトの上をスタッドレスタイアをはいた車が行き来しますので、汚れた車の走行音が目立ちます。

 私がよく訪れていた10年以上前とは異なり、街全体はやはり綺麗になっています。やや古かった昔の駅は綺麗に改装され、東京の大手駅と変わらない様子です。JR駅のホームの猥雑さは相変わらずですが、それでも改札付近の綺麗さは一昔前では考えられないほどになっています。街中には東京と同じく大手チェーンの物販店がいたるところにあり、地元の人間や観光客で賑わいを見せています。その反面やはり地元の小規模店舗は徐々に減っているようで、特色のある街ではなく東京の商業地と同じような様相です。チェーンの居酒屋は数多く見かけますが、札幌の特徴であった個人経営の小さなお店はどんどん減っている印象です。ラーメン屋の数は減り、逆に新しいジンギスカンの看板が目立ちます。唯一の違いは市電と残雪でしょうが、それでもこの街を印象づけるほどの強い個性はなく、多くの地方都市と同じようなつくりになっていました。

 観光客も、日本人より明らかに中国人、台湾人、韓国人が多いように感じられました。一昔前の日本のパックツアーのようにガイドが、数十人の老若男女を率いて街を闊歩しています。誘導された土産物店に殺到し、多くの土産を買う姿を町中で見かけました。驚いたのは、電子ジャーやポットといった電化製品の大きな箱を持ち歩いてる中国人もいることであり、札幌まで来てこんなものを買うんだ、さらにそれをもったまま他の買い物をするんだ、と少し驚かされました。

 夕食に昔から行きつけの寿司屋に行って見ましたが、やはり個人経営の店は客の入りがあまりよくないようでした。20時ごろに店に入りましたが貸切状態であり、結局店を出るまでひとりでした。昔であればこのシーズンは歓送迎会で賑わったようですが、最近は安いチェーン等で済ましたり、場合によっては歓送迎会そのものがなくなったりと、そういった需要もほとんどなくなってしまったようです。しかし店では獲れたてのカニやニシンの刺身が提供されるんど、流通面での進歩は目覚ましいものがあり、昔よりもずっと内容が充実しているのに客が来ない、という状況のようでした。

 今から20年以上前は、年間の半分以上が出張の日々であり、旅ガラスとしていろいろな街に中長期滞在し多くの街の雰囲気や生活を味わってきました。どか雪や猛吹雪の札幌や、四六時中どんよりした金沢、やたらと小さい店にわんさか親父がたむろしている名古屋、いつも活気がありそれでいて生活感のあふれる大阪、繁華街が集中し小さいお店が密集した広島、古い温泉街と活気ある古い家並みのあった松山、若者の活気と古い飲み屋文化が融合した博多、など、それぞれの街の持っている四季の風景とそれぞれの街並みがありました。そこに迷い込むことはその土地のさまざまな文化を味わうことであり、風景や街並み、食事など視覚や味覚を通して日本の素晴らしさを感じてきたた気がします。しかし私が歳を取ったのか本当にそうなのか、それぞれの街の風景は画一化し、いつしか日本全体が同じような街並み家並みになってしまったように感じます。

 そう考えてみると、東京も同様の状況なのかもしれません。私が高校生のころは、渋谷、六本木、新宿、池袋は明らかに違った街でした。渋谷には古いバラックの飲み屋と映画館が数多くありましたし、新宿は高層ビルのように明らかにこれまでとは違った街並みがありました。池袋の夜は出入りするのが怖いほどの街でしたし、六本木は高校生の来るような街ではなくきらびやかな大人の街でした。しかし今は、どこにでも四角い大きなビルと広い道があります。新宿副都心ですら三角やサイロ型といった特徴のある高層ビルはどんどん減り、黒っぽい柱と青窓のビルが増えています。池袋も渋谷も新宿も、ビジネス街も商業地もほぼ同じ作りですし、そこに連なる店店も、大手のチェーンばかりです。その街にしかないものはほとんどないように感じますし、街の特徴も日々なくなっているように思います。東京都心ですらそうなのですから、地方都市もまったく同じになっていることは想像に難くありません。

 このような状況を生み出した原因の一つは、地震に対する建築法のあり方なのは間違いないでしょう。古い街並みの存続を許さない地震と火災の危険があることは理解できるのですが、それでも結果として特徴のない街をつくることが日本文化としてよいのかは大きな疑問が残ります。経済の不況は個人商店の存続を難しくすることは理解できるのですが、それでも新たなチャレンジをしようとする若者を支援する仕組みも少ないように思います。なにも先行きを示さない政治と社会がこの状況の、本当の原因のように私には思えてしまいます。

 「街興し」は廃れた地方の商店街だけが行うことではなく、すべての日本の都市で考えるべきテーマのように思い始めています。日本の政策の重要な一つが「観光立国」なのですから、もう一度それぞれの土地にあった街のあり方を真剣に考えるべきです。そしてその中で新しい技術や仕組みを積極的に利用し、それぞれの土地にあった新しいスマートシティをつくることこそ、我々が今真剣に考えるべきテーマのように私には思えるのです。まさにハードとソフトの融合が、これからの時代新しい次元で求められている気がするのです。

 子供の頃の夢の一つは、建築家になることでした。親父の持つ世界中の家や街並みの写真が載った英文の書籍は,私にとっては宝物の一つでした。百科事典の未来の家のカラーの図はぼろぼろになるまで繰り返し見ましたし、レゴを使って毎日新しい家を考えていました。ITエンジニア・コンサルタントを経て講師になった今は、もう建築家になることは難しいと思います。それでもITの切り口から、新しい街作りについて、今年は考えてみようかと真剣に思っています。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・オフィス まるでSF 「分身ロボット」体験してみた 会議・立ち話・・・・ワクワク
・通信コスト 低下期待 普及期迎えるM2M システム 旗振りや宇課題
・イメージセンサー 「電子の目」18年50億個市場
・電通大、リケジョ誘引 「広報女子」5人に100万円
・シンガポールで大型受注相次ぐ 清水:ビジネス街に高層ビル 大成:地下鉄の下にトンネル
・ガンダム、アジア進撃 アニメ35周年でバンダイナムコ 知財核に機動力
・前輪駆動とPHV 初投入 BMW、今期12種 米で生産能力拡大へ
・インフラに電子の目 水道網の老朽化 タブレットで素早く点検
・スマホで予習・復習促す 大学など電子教科書加速 出版社、顧客囲い込み視野
・「航空」含め即時見積 日通、輸送実績データ活用 書類・重量物まで幅広く
・三菱重に誤算再び 大型客船600億円特損 1200万点の部品必要 設計に苦慮
・ビッグデータ 収集から一貫支援 日本IBM、戦略実行まで 分析・コンサル統合
・まるで家具!椅子型 介護向け 居室に溶け込む パナソニック ポータブルトイレ
・第一類の夜間相談窓口 医療ネット通販 ケンコーコム 薬事法改正 24時間販売へ
・富士重 快走のジレンマ 「売れすぎ」展示車に回らず 増産へ強気の設備投資
・豪で医療施設展開 シンガポールの病院運営IHC 103億円でビル三つ取得
・フィスブック VRに的 ゴーグル型端末VB 2000億円買収 「日常生活の一部に」
・変わる個人の生活 セコム 空飛ぶ監視ロボ、自動発進
タブレット活躍 医療現場支える グッドケア:救急車から心電図伝送 日本光電:緊急時に患者情報閲覧
・世界へ医療ロボ発信 サイバーダイン、売上4億円 時価総額1000億円
・薬ネット販売 導入支援 ヤマトHD、ちゅうしょうてんむけ 一括提供で簡単に
・標的型攻撃「内部対策」急げ 効率化、被害を助長 セキュリティー 設計見直し必要
・ヤフー、通信参入 3240億円 イー・アクセスを買収
・垂直統合やクラウド普及 国内IT企業にも追い風?
・統合システムを構築 日本IBM、明示から受託
・大同生命、自社クラウド構築 契約審査や手続き早く
・AR 迫力の大画面で エプソン:メガネ型ディスプレー 新「モベリオ」 軽量化装着しやすく
・歯の治療器具 3D印刷で 九大と佐川印刷 個人にあわせ精密設計 インプラント、不具合減少
・セブンの軍門? 苦悶のJR西 駅ナカ開放 500店転換 流通で稼ぐ東と差

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。