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Weekly report
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 June Second week

 いよいよブラジルで行われるワールドカップまで、一週間を切りました。サッカーファンではない私でも日本選手の活躍に期待したいと思いますし、多くの国々で4年ぶりの大会での自国の成績に、一喜一憂するのでしょう。試合は日本の裏側のブラジルで行われるため、試合時間が深夜から早朝が多く、寝不足や休暇を取る方もいるのかもしれませんし、各種パブリックビューイング会場は、多くのサポーターが熱心な応援を行うことが予想されます。

 とはいえ現地からの報道を見る限り、競技場や選手村、交通インフラなどの工事が遅れに遅れており、既に間に合わないことが判明している工事箇所もたくさんあるようです。日本選手の宿泊先の工事もかなり遅れていますから、調理や食事にも困難を来す可能性がありますし、十分な休養を取れる宿舎も確保できない可能性もあります。ラテン気質だからしかたがないという考えもありますが、それでも各国の選手やスタッフに責任はないので、なんとかカラダのメンテナンスができるような施設の完成を祈るばかりです。さらに不安と思えるのは、いくつかのスタジアムです。突貫工事で観客席を作ったものの、結局増設部分に観客を入れたリハーサルが出来ず、ぶっつけ本番で試すようです。万が一工事の不良があれば大惨事になる可能性もあるため、慎重な運用とリスクマネジメントが必要に思えます。

 今回の件をブラジルの国民性として片付けるのは、非常に簡単です。しかし東京オリンピックを控えた今の我々にとって、これを他山の石とすることは若干の危険を含んでいるかもしれません。前回の東京オリンピックの時は社会インフラが非常に薄く、まさにそれを強化することが日本の使命でした。とはいえ車も通勤客も非常に少ない時代ですから、その工事は今に比べてずっと楽だったと思われます。結果として首都高速や新幹線が敷かれ、日本のビジネスが急速に発展するきっかけとなりました。

 今回のオリンピックは、前回とは異なる過密な状態で行われます。東京は世界の中心都市の一つとなっていますし、人口も桁外れに多くなっています。平日の道路は混雑し、高速道路も頻繁に渋滞します。飛行機や電車のダイヤも過密であり、ちょっとした事故でも大きな影響が発生します。都市インフラは高度に発達し、網の目のようにネットワークや電話線、電線が張り巡らされています。24時間365日ダイナミックに動く街が生きているのです。

 今回のオリンピックは、現状ある施設や設備を活用するエコなオリンピックが標榜されています。とはいえ麺スタジアムや選手村が晴海に作られる予定ですし、国立競技場も建て替えられます。これらの工事に必要な技術者や資材、工事関係車両が、今後東京都内を走り回ることになるのです。現在でも銀座界隈は渋滞が多く、晴海付近にはバイパスとなる道や交通機関が多くはありません。となると、オリンピックの物流量で、東京のビジネスに大きな影響を与える可能性は否定できません。さらにビジネスの渋滞がオリンピック関連資材に影響を与えるのであれば、ブラジル同様開幕までに十分な準備が間に合わない可能性も発生するのです。

 さらにその工事の一つに大きな事故が生じたり、テロや犯罪の可能性が生じてくると、遅れはより深刻なモノになる可能性があります。高度な技術やITを利用したオリンピックになるはずですから、世界の注目という観点でサイバーテロ等の標的になる可能性も否定できませんし、自動装置に対するネットワークを利用した物理的なテロの可能性もあります。できなかったことができるようになる新しい技術だからこそ、出来なかった犯罪も可能になってしまうことに我々は注意を払わなくてはなりません。

 このように、国を挙げた大きなイベントには、想像外の多くの問題が潜在します。その問題をいち早く明らかにし、具体的な対策を積極的に講じていかない限り、予定どおりにすべてが完了することはないでしょう。ブラジルの遅れを教訓とし、我々は明日の計画と対策を立て始めなければなりません。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・都合により、近日更新いたします。

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。