ワールドカップが開幕しました。地球の反対側で行われている熱戦で、すっかり寝不足の方も多いかもしれません。日本の初戦は日曜日の午前中に行われましたが、残念ながらミスの多い展開から逆転され、結局負けとなってしまいました。今後も苦しい試合が続くと思いますが、それでも精一杯頑張って欲しいものです。
Jリーグの創設以来その実力を年々高めている日本のサッカー界ですが、それに伴ってサポーターの数も増え、全国で大きな応援が行われるようになってきました。さらにその応援はスタジアムだけでなく、各地のスポーツカフェやシネコン、体育館などでも行われるようになってきています。自宅で一人で試合を観戦するよりも盛り上がるでしょうし、贔屓チームの選手の活躍を一緒に応援するのは本当に楽しいと思います。
この状況は今後も続くと思いますが、ちょっと応援の方法が変わっていく可能性があります。たとえば、2018年のワールドカップ・ロシア大会を想像してみましょう。日本は予選を勝ち上がり、再びワールドカップに出場しています。パブリックビューイングの場には、多くのサポーターが集まって、試合開始をいまかいまかと待ち受けています。しかしよく見てみると全員の目には、眼鏡タイプのウェアラブルデバイスが装着されています。さらに足と腕にもセンサーがつけられています。サポーターの着ているユニフォームには、応援する選手の背番号と名前が入っていますが、どうもユニフォームにもデバイスがついているようです。
さてコイントスが終わり、いよいよキックオフです。多くのサポーターが、ユニフォームについたスイッチに手をかけます。スイッチが入ると眼鏡タイプのウェアラブルデバイスに、映像が映ります。そこに広がるのはパブリックビューイング会場ではなく、ピッチの風景が広がっています。彼の前には味方のフォワードの選手と、相手チームの選手も見えます。審判の笛がなり、いよいよ試合開始です。足下にキックをした振動がつたわり、ボールが味方選手にパスされます。目線にはパスした選手を追いかける自分がいて、相手のゴールがどんどん迫ってきます。絶妙なパスが流れ込み、大写しになったボールをヘディングする自分がいて、そのボールが綺麗にゴールに突き刺さる。スタジアムの大歓声が耳に飛び込み、歓声とともに味方選手がハイタッチで集まってくる。
このように選手の一人として、試合を楽しむことができるようになるのが、未来の風景です。これを実現するためには、選手一人一人にさまざまなウェアラブルデバイスを装着してもらう必要があるかもしれません。それでも選手一人一人の情報がとれるようになれば、今のようにスクリーンを眺めるだけの応援のスタイルが変化する可能性があります。
またこれ以外にも、自分で見たい視点から自由に試合を見ることもできるようになる可能性が高いです。あるときは監督脇の視点から試合を眺め、ゴール前にボールが移った時はゴール後ろから、あるときは天井から俯瞰し、あるときは芝の上の視点で、といったようにさまざまな確度から自由に試合を見えるようになるかもしれません。これを可能にするのは、複合現実(MR:Mixed
Reality)です。さまざまなカメラから取得された情報をコンピュータ上で仮想空間として構成し、どの確度からでも自由に見ることが出来るようになります。この技術を使えば、リアルタイムで試合を楽しむだけでなく、好きなシーンを自由に選択して繰り返すこともできるようになります。贔屓の選手のシュートをさまざまな確度から再現したり、キーパーの視線から全体の動きを確認したりすることが可能になります。練習の時にこういった仕組みを導入すると、さまざまな戦術を確認したり、技術上の問題を指摘することができるようになります。相手選手の動きの癖や戦術を確認することができるようになりますし、効果的なフォーメーションを検討することも出来るでしょう。
このように新しい情報技術が、今後のスポーツ観戦の状況を大きく変える可能性がありますし、それによってスポーツそのもののあり方も変わるかもしれません。情報技術とともに、さまざまなビジネスが変化・発展していくことを、今後も楽しみにしていきたいと思います。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・都合により、近日更新いたします。
今週は、どんな一週間なのでしょうか。