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 June Fourth week

 先日の夕刻自宅でデスクワークを片付けていると、やたらとヘリコプターの爆音がしてきました。なにごとだろうと上空を見てみると、5機のヘリコプターが旋回しているところが見えました。これはなんかの事件があったな、とテレビをつけてみると、近所の小田急線相模大野操車場で脱線事故が起きていました。

 幸いなことに操車場から空車が出庫する際の脱線事故だったためけが人等はありませんでしたが、夕方の18時過ぎに起きた事故ですので帰宅の足に大きな影響がでました。事故直後は23時頃復旧予定ということだったのですが、予想以上にポイント部分の線路の曲がりや破損がひどく、結果として翌日の6時過ぎまで再開が遅れました。その後も7割ほどの稼働をしたため、終日通勤通学客に大きな影響を与える結果となりました。私もいつもはロマンスカーという指定席特急を利用して帰途につくのですが、金曜日は終日運休となったため、ほかの手段で帰宅することになりました。

 脱線事故の原因はこれから明らかになっていくようですが、現時点では制御システムの不具合といわれています。一説によると信号機とポイント(切り替え機)の同期が狂ったため、運転手が青信号で列車を発車させたところ、切り替わっていないポイント部分で脱線をしてしまったようです。しかしこれが真実だとすると、小田急線全体の大問題につながります。今回は操車場からの空車を低速で走らせたときに起きた事故のため、人的な被害は発生しませんでした。ところがこれが走行中の急行列車が脱線したとすると、乗客のみならず近隣住民を巻き込んだ大災害につながる可能性があります。信号とポイント操作が同期しないということが起きた以上、このような事故が実際に起きる可能性が皆無ではなくなりました。したがって今回の原因を完全に検証しないかぎり、平常通りのダイヤで列車運行を行うことは非常に危険なことのように思えます。

 さらに今回の原因が真実だとすると、日本の鉄道事業の信頼性を揺るがす大問題となる可能性があると思います。それぞれの鉄道会社は、時前の路線制御システムを導入していると思われます。しかし鉄道という特殊性や規模、信頼性から考えると、その開発元は数社のSIerに限られるでしょう。となると、そのSIerが作成している他社のシステムでも、同じ問題が発生する可能性がうまれます。他社では絶対起きないということを証明するとなると、やはり多大な時間と工数が必要となります。となると、自主的かつ積極的にやりたがらないSIerのほうが多いでしょうから、問題が潜在化する可能性があります。またダイヤグラムが良く試験ででるように、高信頼性の鉄道運行システムは日本の主要輸出物の一つです。今回の事故の原因がシステムだとすると世界的に信用が失われることになり、長期にわたり日本のIT産業に影響を与える可能性もあります。今回の事故が特殊事例であればよいのですが、凡ミスによって発生し長期にわたって潜在化していた問題とすると、今後の影響は甚大なものになるかもしれません。

 現在の自動車業界では、自動運転者をどのように展開するかを各社が模索しています。欧米のメーカーは完全自立型のシステムで自動運転車を走らせようとしていますが、日本は環境と協調した自動運転車を検討しています。以前ご説明しましたが、交差点の情報を侵入してくる自動車に伝えることで、右折する際に後方から飛び込んでくる自転車を検知でき、安全にストップすることが出来ます。しかしこういいった仕組みに同様のバグが発生した場合、どのような事態が起きるでしょうか?自動運転者に乗っている人は、いつものように安全に右折してくれるものと信じています。しかし実際には後方からの自転車に気づくことなく進行し、結果として自転車と衝突してしまうかもしれません。さらにその勢いで交差点の歩道に車が飛び込めば、さらに大きいな事故を誘発してしまうかもしれません。

 このように、社会インフラたる交通機関の情報システムは、基本的に問題を起こしてはなりません。逆に問題が発生したときには甚大な被害が発生しますので、それに備えた十二分なバックアップと回復策を講じておく必要もあります。今後多くの交通機関が自動運転化する時代が到来することは間違いなさそうですが、そこでの問題を考えると今回のトラブルは非常に深刻なことがわかります。人的なミスではなく、人間が作成した機械や仕組みが生み出す問題に対し、我々はどのような備えをすべきなのか、それを実現し効果の高いものとするためにどのような努力をはかるべきか、いよいよ真剣に考える時期が到来しているように思います。

 新しい時代のトラブルを想定し、その発生を極小化するだけでなく被害の局所化や回復の迅速性を高めること。そのために必要な仕組みを構築し安全に運営をしつづけなければ、新しい時代は健全な形で訪れてこないことを我々は気づかなければなりません。 

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・日本のベル研 脱「象牙の塔」 NTT研究所、実用炉線に 東レと女子部創設
・特徴とらえ機器防ぐ 日本勢、強みは精度・応答性能
・挑む音楽会社の壁 アマゾンも機器放題 アマゾン、局数見劣り 配信100万曲
・トヨタ対VW もう1つの戦い 来年狙い日の丸再始動
・顧客の心「見える化」 店で街で 接点もっと広げる
・マイカー仕様 スマホで携帯 日立マクセル、制御装置と接続 座席など快適に
・体感ゲーム 技術の宝箱 震えるベスト スマホに応用 没入した世界 歩けるマシン
・職人の「空き情報」スマホで管理 大和ハウス 人手不足解消、手間省く
・勝負は「4.5時間」 IT・ヘリ・・・少しでも早く 患者の画像 スマホで配信
・つながるクルマ ビッグデータ活用 保険商品など開発
・日の丸ソフト 海外に遅れ 新型ゲーム機で存在感薄く 経営資源 スマホにも
・ロンドンを「テック・ハブ」に 初の大型展示会、人材・立地アピール 金融に加え医療強化
・不正ログイン猛威 mixi・ニコ動・LINE、被害 パスワード使い回し裏目
・タブレット、棚見て操作 山崎製パン、受発注システム刷新 売れ筋情報を配信
・脳梗塞、ITでケア 特効薬、投与後カギ 徳島の海部病院 若手医師も支援
・お買い物スマホ アマゾン参入
・サイゼリア 注文端末にiPod バイト、初日から戦力 保守コスト半分以下
・「直らない」を覆せ サンバイオや札幌医大 マヒの薬 骨髄から開発
・マイナンバー 受注に備え 専任体制、日立75人 NEC30人 3兆円市場を争奪
・店舗1割、LED照明に 日本KFC 運営費削減で収益向上

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。