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Weekly report
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 September Fourth week

 新型のiPhoneが発売されました。

 大方の予想通り、これまでより画面が一回り大きい4.7インチiPhone6と、さらに5.5インチと画面が大きくなったiPhone6Plusがラインナップされました。発売日の19日には各地のアップルショップに、この時期の風物詩となった行列ができたようです。

 しかし今回の行列は、これまでと少し様相が異なったようです。というのも当面発売が予定されていない、中国からのバイヤーや転売者が行列に多く入り込んだようなのです。彼らは日本人のように礼節を守った行列をせず、割り込みや不当な仲間の呼び込みをしたようですので、まじめに並んでいた日本人客との軋轢も生じたようです。数多くの中国人はアルバイトであり、購入した端末は即業者に売られ、中国で高値で取引されるようです。

 iPhone5に続いて、今回も携帯キャリア3社が同時にiPhone6を発売をしました。そのため発売日まで各キャリアの料金体系が決まらず、お互いのジャブの応酬となったようです。というのも乗り換えキャンペーンや過去機器の下取りキャンペーンなど、実質端末代金を無料とするようなサービスを各社がこぞって提供し、ライバルが新しい仕組みを提示すると他社も追従する、といった競争がありました。ユーザにとっては、どのキャリアのどのようなサービスが有利か、慎重に考えなければならない状況となりました。このように料金体系が安くなることは望ましいのですが、過度な競争はその後の反動も大きいため、それぞれの会社がきちんとした利益を出せ、さらなる設備投資につながるようにして欲しいとは思っています。

 さて肝心のiPhone6ですが、評判はいろいろと分かれるようです。4.7インチのiPhone6はそれなりの評価のようですが、 今ひとつ魅力には欠けるようです。今回の売り物であるNFC(Near Field Communication)もFelicaに対応しているわけではないので、当面日本国内では使い勝手があまりよくはなさそうです。肝心の5.5インチiPhone6Plusはかなり評価が分かれるようであり、その用途によって大きさが問題になっているようです。スマホとしては片手で操作しにくいという声が強く聞かれる一方、iPad AIRよりも可搬性が高く文字の読みやすいということで、一定のニーズはつかめているようです。

 とはいえ現状の予約状況はこれまで以上であり、中国からの予約分を差し引いても日本では成功の部類でしょう。逆に大幅な減益を表明したSONYはスマホ事業の落ち込みが激しかったようですから、いよいよスマホもSAMSUNGとAppleの対決の図式が鮮明になってきたようです。

 とはいえ私自身が気になったのは、新しいiPhoneに驚きが少なくなり、かつての日本の製品のような状況を示してきた点です。画面を大きくする、CPUの速度を上げる,バッテリーの持ちをよくする、などといった改善や、NFCのような新しい可能性のあるデバイスを搭載していったのは、日本のノートPCなどの電化製品のお家芸でした。前作よりより高精度で、さらに新しい機能が技術的に実現されている、これを一番端的に突き詰めたのは日本の電機メーカであり、特にSONYのような企業でした。しかしこういった高機能競争は、常にナンバー1になるための競争合戦を意味します。ナンバー2に意味がないのであれば、多大な投資をしてでもナンバー1になる、そのために技術的に必要ではないレベルまで製品を仕上げる、というのが日本の電機メーカの戦い方でした。

 しかしながら世界を考えると、それほどの高機能や高い技術を要求する購買層は多くはありません。結果としてシンプルな機能を搭載した安い電化製品が世界市場で普及しましたし、それらを作った電機メーカが安価な高機能製品を発売しつづけました。その結果、日本の高機能・高技術の製品は、世界の市場で取り残されることになりました。これは各種家電の歩みであり、ノートPCの歩みであり、携帯電話の歩みであったように思います。

 こういった流れと常に一線を画していたのが、Apple社であったように思います。技術的には当たり前で普及した技術であっても、徹底的に使いやすさや目的を明確にした機能の取捨選択を行い、高いデザインセンスでこれまでと違う製品を出したのがアップル社の戦い方であったように思います。しかしながら今回のiPhone6についても、その点が徐々に不明確になっていったように思えてなりませんし、やはりスティーブ・ジョブズ没後のアップルが、苦しんでいる証拠なのかもしません。今回のiPhone6の販売台数だけをみるとまだまだ可能性はあるのでしょうが、日本製品の没落の歴史を振り返ると、いよいよ真剣に次を考えるべき時期にきたように思われます。

 Apple社の歴史は、イノベーションと衰退の歴史のように思われます。当たり前の製品として歩んだ瞬間、PC製品があっという間に衰退したように、今回のiPhoneについてもいよいよもう一度イノベーションを追求しなければならない時期のようです。イノベーションはそれを起こす人の志が大切なように思えます。だからこそ志ある技術者がもう一度Apple社に集い、切磋琢磨のなかでイノベーションを起こせることを心から祈っていますし、それができるかがSONYと同じ滅亡への道を避ける唯一の方法のように私には思えます。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・都合により、近日更新いたします。

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。