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 November Fourth week

 消費税が先延ばしされました。

 先日発表のGDBの結果を受け18ヶ月延期され、2017年の4月に実施となりました。景気の先行きに懸念しての判断ですから好結果が出てほしいと願うばかりですが、とはいえ重大な事項の先送りですからこれからも予断の許さない状況が続きます。

 この判断を受けて、株式市場は投げ売りとなってしまい、反面円が急騰しています。輸出大国である日本にとってあまり望ましくない結果のようですが、資源輸入大国としては安く原材料や食料を調達できるという観点からは、国民生活に望ましい結果ともいえるのかもしれません。

 自民党が政権をとってから、竹中氏の手腕かあっという間に見かけ経済を回復したのは、賞賛に値します。80円台という超円高が100円台に是正されれば、輸出が盛んになり経済が回る可能性があったからです。しかし現実はそうはいきませんでした。なぜなら日本の製造業は、この 円高の状況の中で手をこまねいていたわけではないからです。

 度を過ぎた円高は、日本の製造業の生産能力を阻害します。作っても売れないなら、海外向けの作る量が減っていくからです。しかしいつまでも手をこまねいて円安を待っても仕方ありませんから、日本企業は外国に工場を作り、そこで生産を始めます。資源の生産国に近ければ原料調達も安価で安定しますし、労働力は安く、何より円高の影響は受けません。日本市場向けの製品もそこで生産すれば、量産効果は上がり、輸送費を払っても十分利益が出ます。さらに生産物を日本に輸入するのであれば、むしろ円高の方が安く製品を輸入できますので企業にとって望ましい状態といえます。

 反面日本に残る製造業は、日本で売れる高い技術を利用した高品質・高付加価値製品を作ります。これらの製品は付加価値が高く価格も高額です。円安になって輸出価格が下がっても 高品質・高付加価値分単価は高いですから、世界にそれが輸出できる可能性は低いからです。となると、円安が進んでも日本の景気には影響が少なくなります。むしろ原材料の調達価格が上がる方が影響が大きく、国民生活に深刻なダメージを与えます。事実このところのガソリン価格の高騰や加工食品の値上げの方が、家計にずっしり響いたように思えるのです。

 現状はしばらく、緩やかに株安/円高が続くのでしょう。しかし実体経済が成長しない限り、状況は変わりません。となると、まずは政府が考えるように 国にあの消費を増やしていくしかありません。

 消費を支えるのは、基本的に若い世代です。可処分所得額が多い分、生活必需品以外のさまざまな製品の購買につながるからです。しかし現代の若者を考えてみると、この法則が当てはまらない可能性があります。

 今の若者を、「さとり世代」と呼ぶようです。頑張ってもその結果は出にくいのなら、それなりに楽しく過ごせればいい、課題で華美な生活を望まないなら、それなりに楽しいことある、という世代です。彼らは 彼らの親の世代のように車を買いませんし、音楽や映画は配信で十分です。読みたい漫画は中古で買えばいいですし、読み終わったら売ってしまえばいいわけです。電化製品や家具は最低限でいいので、狭い家でも構いません。流行を追わなくても 、昔はなかったファストファッションで十分満足できますし、その選択範囲も広いのでお互いの格好がかぶることもありません。頑張らなくても、日々が楽しければそれでいい、まさにECOな世代です。

 過去を考えると、若者を含めた多くの大人が欲を持っていましたし、その欲が新しい商品をうみ、より多くの生産活動 の活性化につながりました。結果として生産を支える労働が必要になりますので、頑張る働き場所が生まれてきたように思います。ところが今のようにECOになると、頑張らないから市場が活性化できず、活性化しないから労働も生まれないといった悪循環を生んでしまっているように思えるのです。つまり消費税が景気低迷の原因ではなく、本質的な消費が起きないことが本質的な景気停滞の原因であることに気づきます。

 この状況を考えると、必ずしも消費税の先延ばしが景気の拡大にはつながらないことがわかります。となると、我々にはどのような道がひろがっているのでしょうか?

 この遠大な話の続きは、次週に回したいと思います。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・原則年内はお休みします。

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。