先週の続きです。
もともと日本人は、貯蓄性向が高いといわれてきました。稼いだお金を消費せず、きちんと貯金することが美徳といわれてきたのです。しかし最近の統計を見てみると、どうもこれが当てはまらなくなっているようです。
いざというときに国は守ってくれない、だから万が一のために貯金をする、というのがこれまでの考え方でした。人並みの生活ができれば、余剰分を貯蓄に回す、というのが昔の日本人だったように思います。これが二昔ぐらい前にはやった、一億総中流という言葉で示された事象のように思います。
しかしバブルとバブル崩壊後の低成長時代を体験することで、日本人の意識は変わったようです。バブル経済の好景気は、多くの日本人の知らなかった贅沢を体験するきっかけとなりました。当たり前の普及品しかなければ人と同じも問題ありませんが、ちょっとお金を使って品質の高いものやサービスを体験すると、その人と同じ普及品では満足できなくなります。好景気で給与や収入は増えますから、その分生活は豪華になり水準も上がりますが、それ以上の収入があるからこそ貯蓄が減ることはなかったのでしょう。
ところがバブルの崩壊によって収入や給与が下がっても、体験した水準の高い生活を手放すことは難しくなります。となると、貯蓄が徐々に難しくなります。崩壊直後は景気が回復すると信じていましたが、回復が難しいと徐々に生活を引き締めざるを得なくなります。となると、まずは貯蓄を減らし、徐々に生活の水準も落としていくことになります。ところがその時期に、ファストファッションや100円ショップに代表されるディスカウント型の小売店が多く出現しますので、支出の割に生活水準は維持できたのです。
とはいえ景気の回復が望めないことを実感しますので、かつてのようによりよい生活を求めることは難しくなります。となると、モノに対する支出を減らし、自分自身が楽しいと思えることにお金を使うようになってくるのです。
最近の日本人の消費で顕著な傾向は、「モノ」より「コト」の消費が増えていることです。ステータスの高い車を買ったりブランド品を身につけるよりも、好きなアーティストのライブやコンサートに行ったり映画や芝居をみたりといったほうが大切なのです。者による豊かさよりも、心の豊かさを求めるのです。昼食は牛丼や立ち食いそばで我慢して、一ヶ月間のクルーズ旅行に出かける人も少なくないようですので、自分自身に対する投資は少なからず行われるのでしょう。
となると、日本の景気を回復させるためにモノの消費を促すことが、もはや時代遅れの考え方になりつつあるということになります。ではどうすれば日本の景気は回復基調に乗るのでしょうか?
この続きも、また来週に回したいと思います
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・原則年内はお休みします。
今週は、どんな一週間なのでしょうか。