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Weekly report
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 December Third week

 今年も残すところ、あと半月となりました。

 争点のない衆議院選挙が実施されました。安倍政権の政策に対する国民の追認を要求した選挙でしたが、与野党に明確な争点もなく選挙が終わりました。安倍政権は長期政権としての地盤を固めたのかもしれませんが、安定を活かして右傾化が進むことは勘弁してもらいたいところです。

 消費税増税の先送りがあったように、国民にとっての景況感は決してよいものではありません。企業の収益が高まっても、それは海外労働による海外市場での売上であるケースも少なくないため、国内に活発な循環が起きているようには思えません。新しい技術や製品をつくっても、世界の数多くの国がすぐに追従してきますし、価格競争に持ち込まれれば日本は勝てません。円安のせいで国民の生活は厳しくなりますし、中小企業も相当に苦しんでいます。明るい希望を描くにも、日々の仕事で精一杯という感覚も抜けないのでしょう。

 社会保障や福祉は、大切なテーマです。高齢者が多くなった現在、それらのニーズが高いのも理解できます。そういった高齢者がより多くの投票権を持っているのですから、政治がそちら側に動くのは理解できます。しかしながらその原資がないのであれば、いくら要求を重ねても限界がきますし、事実日本の財政は限界を超えています。となるとこれからの政治には、やはり経済を活性させるさまざまな施策の実施を、日本という観点で実施して欲しいと願うばかりです。

 生活が豊かで便利になることは、誰もいやがりません。となりますと、その観点でビジネスを活性化させるべきですし、これまでもそうでした。しかしバター不足の問題のように、個別の省庁がもつ権限でビジネスを考えたり、国民の生活を考えたりと、総合的な判断が欠けていたのも事実と思います。企業でいれば、各部門が部分最適を図る余り、全体最適の観点が抜けてしまうのが大きな問題のように感じるのです。したがって国も個別業界の陳情や要求に対応するのではなく、国民生活が豊かで便利になる観点でさまざまな施策を実施していくことが望まれるように思うのです。

 たとえば厚生労働省は、「メタボリックシンドローム対策」を実施しており、これによって肥満を原因とする様々な疾病を予防しようとしています。となりますと、これを中心とした施策を経産省、農水省、文科省などと共同で実施し、さまざまな企業活動に便宜を図る必要があります。

 たとえばタニタ食堂のように、メタボ予防のメニューを提供する食堂を開こうとします。開業するためには保健所、消防署、労働基準監督署、公共職業安定所、警察署、税務署、社会保険事務所などさまざまな役所に届け出が必要となります。ビジネスを行うためには資金も必要ですから、銀行と交渉したり、さまざまな公的な補助金の申請も行うでしょう。さらに食材の調達先を探すためにはコストがかかりますし、安定的な調達のためにはさまざまな団体や企業、個人との交渉も必要です。さらに顧客獲得のためにさまざまな販売促進が必要でしょうし、なにより体に良く美味しいレシピを開発し続けませんと、ビジネスが継続できません。

 これをタニタのような企業が行うのであれば、それほど国の支援は必要ないのかもしれません。ところが料理に自信のある主婦が友人と始めるとなりますと、困難の連続であることが分かります。さらに万が一失敗した場合、莫大な借金しか残らないとしますと、このビジネスにチャレンジしようとする個人は出てこないことが分かります。

 現在ダイエット進行中の私にすると、こういうお店があればと常に思いますし、ちょっとした規模の街であれば複数軒あれば選択の余地が増えるのにと思わざるを得ません。つまりメタボの親父のニーズはあり、片やそれをビジネスとしてやってみたいという個人もいるのです。しかしさまざまな困難がこれらのビジネスの出現を阻んでいますし、結果としてメタボは増え続けているのです。

 国に期待したいのは、こういったビジネスの支援です。肥満起因の生活習慣病が減れば、医療費負担が軽減されるのは間違いないわけです。となりますと、さまざまな届け出をネットを使った簡略なものとし、すべてを一括で出来るようにすべきです。さらに資金についてもその申請によって補助金を提供するだけでなく、ビジネスが円滑に進むような融資制度も作るべきでしょう。さらに一定の販売数に応じて税金を軽減するような施策を講じれば、その店が努力するほど国民のメタボは減る可能性が上がることになります。

 こういうふうに、単に一つの対策を省庁の責任として行うのではなく、それをビジネスとして成立させるよう各省庁が連携してサービスを提供すべきですし、こうすれば国内にさまざまな観点での新しいビジネスが創出されることになります。新しいビジネスが台頭すれば国民生活は豊かになりますし、副次的な効果として施策で取り組むべき問題が複合的に(雇用創出、税収の増加、農業の活性化、メタボ対策など)解決されます。

 こういうスマートな取り組みを国が始めることを、心から願ってやみません。同時にその制度を利用したベンチャーが次々生まれ、新しい潮流が起きることを本気で願っています。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・原則年内はお休みします。

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。