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Weekly report
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 April First week

 このページでご報告したとおり、Windows8を搭載したVAIOを購入しましたが、先日ちょっと面白い経験をしました。

 VAIO本体の発注の際に、ついでにマイクロソフトOfficeのバンドル版も注文しました。最近のOfficeはCD−ROMがついていないことは聞いていたのですが、実際そのバージョンをみるのは初めてでした。本体の基本的な設定後、Officeのインストールをしようと付属の書類をみると、その中にプロダクトキーを記した二つ折りの冊子が入っていました。

 VAIOのアプリケーション画面(アプリビュー)にもOfficeのインストール用タイルがあったためそれを押してみると、インストールが始まりました。開始のメッセージとともにインストールが開始され、マイクロソフトのアカウントを求められます。従来使っていたメールアドレスを入力し、次にプロダクトキーを入力すると、ソフトウェアのダウンロードが始まりました。しかしその数秒後、エラーメッセージが表示されインストールが 進みません。何度かトライするものの、同じ箇所でエラーメッセージが表示され、「少し後でチャレンジしろ」となってしまいます。仕方がないので数時間おいて作業しても、同じ結果が続きます。

 結局三日間この状態が続いたのですが、結果的にはまったくインストールが出来ませんでした。仕方がないので繋がらないこと覚悟で、サポートセンターに連絡をしてみます。すると意外に簡単に電話が繋がり、サポート対応の方に状況を伝えます。状況を説明すると、画面を見ながら状況を確認したいということであり、承諾するとあっという間にサポートセンターのPCとVAIOが繋がりました。先方は遠隔で操作を始め、インストールを開始します。ところがこれでまたエラーが。結局原因は、過去に作ったマイクロソフトのアカウントを利用するとインストールができない、とのことであり、仕方がないので結局新しいアカウントを作成することに。結果としてすぐにインストールが完了し、すべてのソフトウェアの動作確認を行った上でサポートが終了しました。

 面白いと思ったのは、サポートが遠隔で行われるという発想です。昔からパソコンの遠隔ソフトウェアはありましたし、IBMなどが遠隔で保守を行っていたことも知っています。しかし一般的なユーザーに対してもこういったサポートのあり方があるのか、というのが今回気づきました。考えてみるとたしかにそれぞれのユーザのPC環境は違いますし、ユーザの知識や能力レベルも様々でしょう。それを前提とすると、電話による会話だけで問題解決することは非常に難しいことに気づかされます。

 昔話ですが、データが読めないとサポートセンターに相談したユーザに、データの入ったフロッピーディスクのコピーを送って欲しいと依頼したところ、ディスクそのものをコピー機でコピーした紙を送ってきたという話を聞いたことがあります。再度連絡してコピー用紙ではなく中身を送って欲しいと依頼すると、今度はフロッピーディスクのジャケットを剥がし、中の磁性体フィルムが送られてきたそうです。(ちなみにサポートセンターの方は非常に驚いたそうですが、慎重に新品のフロッピーディスクのジャケットを剥がし、再度送られてきた磁性体フィルムを入れて読み取ったところ、無事に読み取れたそうです。)

 このようにユーザのレベルが違い、さらに機器環境も違い、その上インストールされているソフトウェアの種類が違うとなると、ユーザの説明だけで問題解決を図ることはきわめて困難であることに気づかされます。しかし今回のようにリモートで相手のPCの状況を確認しながら操作できるというのは、非常に有効な手段となります。こうした技術の進歩と通信回線の速度向上が、有効かつ効率的なサポートを可能にしていることに、私は非常に驚かされました。

 しかしここでよく考えてみると、サポートセンターの担当者の力量も、今まで以上に要求されることに気づかされます。実際の操作の中で問題を発見し、解決のための操作を行うためには、かなりの知識と経験が必要となるからです。相手の画面を操作しながら知識とノウハウを駆使して対応を行うのでしょうし、いくら手元に様々な製品情報や過去サポート情報があっても担当者が原因の推論ができなければ対応は難しいはずです。しかし今回のケースを見る限り、すぐに原因を特定できたようですし、その後の対応やフォローもきわめて適切でした。確実にサポートの満足度は上がったように思われます。

 こうしてサポートセンター全体で製品に関する問題解決の効率が上がれば、サポートセンターの運用効率も上がることになります。これは一人の担当者がより多くのユーザー対応を可能にすることですし、それがさらに顧客の満足度向上にも繋がります。同時に効率が高増のであれば、サポートセンター全体の要員数も適正化されますので、提供企業側にとってもメリットが大きいはずです。このように新しい取り組みが、ユーザーと企業の両方にメリットをもたらすという点が、非常に素晴らしく感じられました。

 ただ一つ不安なのは、担当者に悪意があった場合、さまざまな不正・不法行為が行われる可能性があるということです。いったん相手のPCとセッションを結んだ以上、相手の画面に表示せずにさまざまな操作ができる可能性があります。相手の個人情報を盗むなどはごく簡単でしょうし、場合によってはオンラインバンクの操作や振り込みも出来てしまう可能性も残ります。日向の裏にはかならず日影が生まれるように、こういった問題を発生させないさらなる技術や工夫が、今後は必要になることは間違いありません。