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 May Third week

 日本が大きく変わろうとしています。

 一つは国際平和支援法と平和安全法制整備法です。両法律とも今回の国会で審議されることになりますが、日本にとって非常に危険な法律であることは間違いありません。難しい内容はネットで調べていただきたいですが、平たくいえば後方支援の名目で、日本がどこへでも自衛隊を送り込めることを可能にする法律です。

 世界では様々な主張があり、唯一無二の正義は基本的にあり得ません。ところが自らの主張を通すため、武力を行使するのが戦争やテロの姿です。戦いに勝った国が正義であり、負けた国はその主張をすべて否定されます。結局は武力や資源の優劣で結果が決まりますから、小国ほど不利になります。戦後は戦勝国同士が対立し、冷戦という構造が生まれました。しかし経済格差で東側諸国の連合が崩れ、冷戦構造は崩壊します。その後さまざまな経済政策を打つことでそれらの国々は力を取り戻し、現在の不安定な世界が作られ始めています。さらに経済を考えると、中堅の国や後進国は需給市場の両面で力を付けていきますから、それらの国々の主張も強くなります。現在の世界は国ですら維持できないぐらい多様な主張がありますから、間違いなく戦争の可能性は世界中で高まっています。

 そのような環境の中で、今回の法律が審議されることになりました。これまでの日本は憲法第九条によって戦争の放棄を謳ってきましたが、今回の法律は戦争に荷担する形を作ります。直接戦闘に荷担しなくても、後方支援という形でさまざまな活動を行います。敵にとっては直接戦闘行為を行う部隊かどうかは関係ありませんし、武器や弾薬などの輸送であれば間違いなく攻撃されるでしょう。となると、自衛隊も戦闘に巻き込まれるでしょうし、戦死・戦傷者も数多く発生する可能性もあります。もちろん一方的に攻撃を受けるわけにはいかないため、自衛隊も反撃するでしょうから、自衛隊が敵を殺傷することも当然起きえます。つまり、事実上戦争を行うことになるのです。

 自衛隊は警察予備隊として生まれ、専守防衛のもとその名の通り自国を守るために存在してきました。ところが今回の法律によって、事実上の軍隊としての機能を持たさせる可能性が出ています。さらに現在の自衛隊を考えると、若い隊員が非常に少ないのが事実です。となると、一旦大きな紛争になれば自衛隊員が大幅に減耗し、結果としてその補充のため徴兵に近いことすら起きる可能性があります。

 一番問題だと思うのは、国民の理解を得ずにこれを進めようとする政府の姿勢ですし、不思議とメディアもそれほど大きく問題視しない点です。マイナンバー制度の採用もそうですが、今回の政権は本当に上手にメディアを操作しますし、その影で日本にとって重要な事項を簡単に実現してしまいます。ここに戦前の政府を思わせる危険なにおいを感じるのは、私だけなのでしょうか。

 さて変化のもう一つが、大阪都構想の投票です。有権者は大阪市民211万人であり、大阪市の政令指定都市の廃止が問われます。現在の大阪市は非常に規模が大きく、大阪府との二重行政がにより多くのひずみが生まれているようです。これを正そうと大阪維新の会が立てたのが、この大阪都構想のようです。

 さまざまな事実を見る限り、二重行政が行われていることは事実のようであり、公務員の数も非常に多くムダが存在するようです。大阪府と大阪市が話し合えばこういった問題は解決できる、と反対派は主張していますが、大阪府知事と大阪市長が同胞であるにもかかわらず問題解決が出来ないところを見ると、やはり既得権を失いたくない政治家や役人が反対しているようにしか思えません。反対派の論拠が、「よくわからないなら反対して欲しい」となっていますから、よほど守りたいものがあるように感じてしまいます。

 大阪維新の会以外のすべての政党が反対のスタンスをとっているのも、非常に奇異に感じます。こういった主張が余りに異端であればそういうこともあるのでしょうが、外野から見る限りは検討すべきテーマとしては十分なものであり、すべての政党が反対のスタンスになることが理解できません。となると、やはり大きな権力を失いたくない、というのが本音のように思えてしまいます。事実賛成が通れば公務員の給与は3割カットになるため、それをいやがるのは本音だと思います。役所は統廃合され、要員も漸減させられるでしょう。府と市が両方所有するような施設は統合されるでしょうし、そうなるとさまざまなコストが削減できる反面、その職を失う人間も数多く出てきます。

 このように行政の合理化は行政と関係のない人間にとってメリットは大きいですが、かかわる人間にとってはデメリットの山です。市民の何割かが行政と直接・間接にかかわっている以上、自らのポストを犠牲にするような法案に賛成するとは思えません。となると、自分の友人や近隣の人々に熱心に反対を説くでしょうし、結果として今回のように全政党が反対、というスタンスになってしまいます。

 逆にこの構想に賛成が多いとなると、全国の自治体の合理化例になる可能性もありますので、その動きが各地で高まる可能性があります。これはその住民にとって非常に大きなメリットを生む可能性もありますが、同様の理由で反発も大きいと思われます。それでも小さな政府を目指すことは、財政赤字を抱える日本にとって非常に意味のあることですから、今回の件は日本が変わるきっかけになる可能性があります。

 このように、時代は私が考えるよりも多くの変化をもたらしています。その中で、明るい未来を実現するために、一人一人がこの変化をきちんと受け止め、次の時代に向かって今何をすべきかを考える時期にきているように私には思えます。