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Weekly report
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 October First week

 またまた爆弾低気圧が到来しました。

 木曜日の昼頃から西日本を中心に爆弾低気圧が発生し、夜半には東海から東を通過していきました。夜間のため大きな被害はありませんでしたが、それでも鉄道の一部が運休になるなど、少なからず交通機関に影響が出ました。内陸の一部では竜巻の被害も予想されましたが、幸いそれほど大きな事故も起きず通過したというのが今回の爆弾低気圧でした

 しかし早くも4日には、台風23号が発生しています。この台風、発生時点での強風域が1500km弱と、超大型に近いのが特徴です。通常の台風は発生時の強風域が50km前後が普通のようですから、この台風の巨大さがよくわかります。台風は北進とともに海水から立ち上る水蒸気を燃料にして勢力を強めていきますので、今後の進路と勢力には注意が必要です。

 地球温暖化は相変わらず進行しており、自然災害は今後ますます増加をたどる可能性が高まっています。先日の北関東の水害もそうでしたが、昭和以降の治水活動で記憶の一部となりかけていた水害も、我々に大きな被害をもたらす可能性が高まっています。特に今回の23号でも指摘されているとおり、これまでないサイズのスーパー台風の猛威が大きな水害をもたらす可能性があります。

 スーパー台風とは、米軍合同台風警報センターが定める台風の定義で最も強力なものをさし、「地表付近の風速が1分平均で130ノット(67メートル)超の台風」のことをいいます。これまで日本にこのクラスの台風が上陸したことはまれであり、そのほとんどが上陸時には勢力を弱めていたとされます。ただしそのすべての台風で大きな水害が発生しており、多くの人命や家屋が失われています。スーパー台風は暴風雨だけでなく、急激な高潮をもたらすようであり、東南アジアの国々ではそれによって甚大なる被害をたびたび受けています。

 この台風が関東に接近した場合、高潮が2〜5メータまで上がる可能性があるようです。東京の沿岸部は海抜ゼロメータ地帯がまだまだ沢山ありますし、防潮堤の高さも数メールとる普通でしょう。となると、スーパー台風が一気に押し寄せた場合、先日同様沿岸部の海水が洪水となって都市部に流れ込み、津波同様ものすごく大きな被害をもたらす可能性があります。時間と潮位によっては津波同様の流量かもしれませんし、そうなると東日本大震災の時の津波と同じようなものが東京都市部に流れ込み、引き波となって家屋や車両を流す可能性があります。そういったことが起きれば、東京は間違いなく都市機能を失うでしょうし、神奈川や千葉の主要都市も同様の状況になることが予測されます。

 これらが非常に危険なのは、その対策に時間がかかる割に、訪れる可能性が読めない点でしょう。リスクマネジメント的に考えますと、発生確率は年々上がっており、影響度も非常に大きいのがスーパー台風ですが、これまでに発生していないために対応ができないのです。東日本大震災がそうであったように、津波の危険性は古来から強く言い伝えられてきたのに、いつしか津波の経験をした人間が減れば減るほど、その危険を認識できなくなったことと同じと言えます。だからこそ今回は、本気で高潮の警戒をしなければなりませんし、緊急時の対応計画をいち早く策定しなければなりません。

 まずは沿岸部に居住・勤務する人は、万が一の場合に階上に上がることを考えなければなりません。この場合エレベータは閉じ込めの原因となりますから、階段で上がる必要があるでしょう。水が引くのは1〜2日かかると思われますから、その間の食料と水が必要です。冬場は気温が下がりますから、毛布等の準備もかせません。最近は携帯のアルミシートでも結構効果を発揮しますし、昔ながらの新聞紙を体にまくのも得策ではあります。

 次に地下を移動中の場合は、それを感知した場合すぐに地上に上がる必要があります。一カ所でも水が勢いよく入ると、残された出口からも水が入ってくる可能性が高まりますし、一旦水が流れ込めば脱出はきわめて困難です。となると一刻も早く地上に上がり、それからビルなどの階上に上がる必要があります。

 自動車の場合は、水を感じたときに高台に上がる必要があります。残念ながら渋滞等で停止した場合は、即刻車外に出なければなりません。ほんの少しの水圧でもドアは開かなくなりますし、ベンチレータ等のスキマから水が入ると、やがて車は水没してしまいます。多くの場合様子を見てしまうため、ドアを開けるタイミングを失います。また最近の車はパワーウィンドウですから、水でショートした場合窓も開けられなくなります。となると、まずは窓を開けて様子をうかがい、ドアの半分ぐらいにきたならば車を諦めて窓から脱出するしかありません。その後は周りの車が浮き上がりブロックとなって流れてきますので、早めに建物に避難しなければなりません。

 このように地震のみならず、爆弾低気圧やスーパー台風による水害や洪水の危機はまさにすぐ手に届くところまでリスクが押し寄せています。すべての可能性を予測して適切な対応を行い賢人として讃えられるか、起きてから凡人として事を悔やむか、起きる前に対応し何も起きず愚者として笑われるか...すくなくとも私は、愚者の道を選びたいと思っています。