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 October Third week

 軽減税率が、また動き始めています。

 先日首相は、軽減税率導入に慎重であった税調会長の更迭を決めて、大蔵省出身の前経産省相を後任に決定しました。これにより軽減税率導入が本格的に進む可能性が出てきました。もちろん財務省相である副総理は、軽減税率導入に対して「めんどくさい」と否定的であり、まだまだ今後の論議は予想されます。

 1989年(平成元年)に導入された消費税は、1997年(平成9年)に5%、2014年(平成26年)に8%と、何度か引き上げが行われています。そして2017年4月には10%までの引き上げが予定されています。人間はすぐに変化に順応してしまうため忘れがちですが、2013年に5%だった消費税が、たった4年で倍に引き上げられるということになりますし、それだけ家計の負担が増えることを意味します。逆に国の税収は引き上げ時に1.5倍、4年間で考えると2倍になるわけですから、相当な税収が増加することになります。今年度の全税収のうち消費税は35%を占めますから、単純に考えると10%への引き上げで40%をこえる可能性があります。

 しかし皮肉なことに、増税は消費を冷やす可能性がありますから、経済そのものは停滞します。となると2%の引き上げが経済を冷やすのであれば、結果として税収の増加には繋がりません。むしろ増税によって負担が大きくなる家屋や車といった大きな買い物が控えられますから、より大きな減収となる可能性もあります。経済の成長が続いている時期の増税は理解できますが、経済が大して伸張していない 時期に増税を図るのは、単純な思考回路としかいいようがありません。むしろアベノミクスの成功を自ら追認するために、無理矢理消費税を上げるように見えてしまいます。

 私自身、アベノミクスによって経済が活況を示しているとはまったく思えませんし、一部の大手企業のみがその恩恵を受けているとしか感じられません。同時にその大手企業で働く人々の賃金が増えたとも思えませんし、大手企業が積極投資を開始したようにも感じられません。すべては数字の上の話であり、国民の生活に大きな恩恵はみられない、というのが私の感想です。となると、軽減税率を導入しようがしようまいが、増税は国民全体に大きな負担をもたらしますし、結果としてさらなる経済の停滞が予測されるのです。

 さらに今年の5月にもこのページで申し上げたとおり、軽減税率の導入のためには情報システムの全面更改が必要になります。これらの投資が情報関連産業に大きな恩恵をもたらすのであればよいのですが、私の予想ではクラウド化とオフショアが進むだけで、各企業の大きな負担が日本経済にはたいした効果をもたらさないだけと考えます。それどころかこれによって、情報化投資の縮小がおき、結局日本経済の低迷に繋がってしまうように感じられるのです。

 このように強引とも言える消費税引き上げは、大きな問題を持っています。今回の更迭劇も、見せかけで国民の負担軽減を論じているだけで、真面目に国民生活を考えた対応をとっているとは思えません。先日引き下げられた還付案にしても、単なる思いつきと目先のごまかしで導入しようとしているとしか思えませんでしたし、今回の軽減税率も、本格導入は数年後という寝ぼけた事態になっています。

 とりあえず上げるものは上げて、その先の混乱は次の政府に委ねる。とりあえず古い制度を壊して、新しい制度は次の世代が考えればいい。その功績と利益は自分のもので、そのつけは次の世代が担えばいい。これはすべて、団塊の世代を特徴する思考回路です。戦前の否定や家長制度の崩壊、核家族化による複数世代の同居の否定、年功序列・終身雇用の破壊と非正規労働の助長など、これらすべてが団塊世代の行ってきたことです。安保闘争から見えるとおり、破壊は得意でも創造ができないのがこの世代であり、その後批判を行ってきた企業に就職して管理職に納まったのが彼らです。土地家屋を持ち、十分な貯金があっても年金をほしがるのが彼らですし、自分さえよければ後の時代は知らないと責任をとらない都合のいいものの考え方も、この世代の特徴と言えます。結果として彼らが今日の日本の状態を生み出したことを、我々は強く認識しなければならないと、私は考えています。そして今回の増税も、この世代が中心となって論議していることを、我々は真剣に憂う必要があると考えます。

 よりよい日本を再び取り戻すためには... 今こそ立ち上がれ! 若者!!