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Weekly report

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 November Fifth week

 白熱球と蛍光灯の製造と輸入が禁止されそうです。温暖化ガス削減のための日本の取組として`、LEDと同等の省エネ性能を持たない白熱球や蛍光灯の、国内製造ならびに海外からの輸入を禁止しようとしているようです。早ければ2020年からの適用を考えているようで、国内の家屋や多くの設備・施設に多大なる影響を与える可能性が高まっています。仮にオリンピック関連施設などもこの適用範囲内となると、建設コストが大幅に高くなる可能性があります。

 白熱球の消費電力は、LEDに比べて20倍程度大きいと言われています。となると、LEDへの置き換えは確かに効果が上がるかもしれません。ただしLED球の値段は白熱球の10倍以上でしょうから、一時的な支出は免れないでしょう。ところが蛍光灯の消費電力を調べてみると、LEDの倍程度であることに気づきます。となると、省エネの観点ではあまり大きなメリットはありませんが、電球そのものの価格は3〜5倍程度します。またサークライン型のLEDの種類は本当に限定されていますから、現在入手すら難しいですがと言えます。

 さらに問題は、LED電球でも小型のものは調光対応できているものが少ないということです。電球の種類は予想以上に多いのですが、それに対応できるLED球はまだまだ種類が少ないですし、あってもとんでもなく高額のものの少なくありません。規制によって大幅に売れるようになれば量産効果で価格が低減することも可能かもしれませんが、たった4年でその状態が生まれることは少し難しいように感じます。

 その上現在の照明機器では、単純に電球をLEDに変えるだけでは装置そのものが対応できず、発熱や発火などの事故も考えられるようです。それがなくても高額なLED電球の寿命を短くする可能性も高いので、本当に規制によって早急な更新をおしすすめることが望ましいのか、私には大きな疑問が残ります。

 もちろん街の街灯やさまざまな公共施設は、一晩中電気をつけっぱなしということころも少なくありません。最近の信号がそうであるように、電球からLED球に切り替えることで、電球切れと省エネがはかれることは、地球温暖化防止の積極的な策になることは理解出来ます。しかしそれらの電球代や装置のコストは税金によって賄われていますから、あまり短期間の更新は国や地方の財政に大きな支出をもたらしますから、財源として電気や装置に新たなる税が課税される可能性もあります。

 反対に照明器具メーカにとっては、これによって未曾有の特需が生まれてくることになります。現在の日本において、電気を使った照明器具が無い場所はあり得ませんし、平均的な家屋を考えても、最低でも部屋、台所、トイレ、風呂、廊下、玄関など数多くの照明が存在します。それら全ての危機の寿命を15年と考えても、2030年ごろまで大きな買い替え需要が生まれますから、あり得無いほどの需要増でしょう。もちろん高齢化に向けて、高い場所の取り換えや風呂の電球のように特殊な構造をした照明器具の取り換えは高齢者には難しいでしょうから、それらのサービスも大きな需要となります。これからは電気の自由化も進みますから、家屋全体の電気利用や管理のコンサルティングや施工業務も大きな需要が生まれることも間違いないのでしょう。

 しかしそれらは、国民生活にすべて影響を与えてしまいます。照明や電球を替えるだけの余裕がない世帯は、徐々に暗くなる部屋の中で暮らしていくことを余儀なくされますし、一般の世帯でも一時的に大きな負担がのしかかることも間違いありません。

 このように今回の方針は、いずれにせよ社会に大きなインパクトをもたらすことになります。しかし八方ふさがりの経済対策のツケを、こんな思いつきで挽回しようとするやり方は疑問を持たざるを得ませんし、こんな短期間の思いつきの連続では国民生活がますます混乱を生じることを理解しなければなりません。ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマンを信奉するリフレ派の経済学者が、現在の政権の経済政策の根幹を作ってきました。しかしそこから生まれた三本の矢が全て失敗し、新しい三本の矢も怪しくなった現在、信奉してきたクルーグマン自身が自ら認めた経済策の失敗を振り返り、思いつきではない当たり前の経済政策をきちんと考えて欲しいと私は考えます。