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Weekly report

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 January Fourth week

 このところ、いろいろな事件や事故が起きており、分析に手が回りません。

 まずは1月15日に起きた、軽井沢の碓氷バイパスでのバス暴走・横転事故です。安価なバスツアーで起きた事故であり、多数の若者の命が失われる結果となりました。ご遺族、関係者の方々の甚大な御心痛を考えるといたたまれない気持ちになりますが、衷心よりお悔やみ申し上げたいと思います。

 これまでのさまざまな分析や調査の結果、事故の詳細が少しずつ明らかになってきました。一番の原因は、運転手の経験不足。事故を起こした運転手は中型バスの運転手だったようで、今回のような大型バスの運転経験はほとんどなかったようです。乗用車ですら普段軽乗用車に乗っている方が大型の車種に乗ると、相当に運転感覚が狂い運転が困難になります。ましてや今回のようなバスであれば、その経験差が非常に生じると思われます。結果として下りの坂道で加速してしまい、エンジンブレーキをきかせようとシフトダウンをしようとしたもののオーバーレヴ(過回転)を防ぐ装置が働き、結果としてニュートラルのまま下りを爆走したようです。トラックや大型バスのような大きな車は通常のブレーキだけでは止めることが難しいですから、結果としてガードレールを突き破り今回の惨事に繋がってしまったようです。

 また不可解なのは、予定されたルートと異なる道で事故を起こしたということもあります。元請けの旅行会社、下請けのバス会社ともに違法な契約を結び、通常の料金より大幅にディスカウントした料金でバスを運行しました。今年は暖冬でスキーツアーは苦しいでしょうから、このような契約が行われたようです。結果として、会社の命令か個人の判断かは不明ですが、高速料金を払わないより安いルートを選ぼうとしたようです。

 また気の毒なことに、深夜の運行であったため客の大半が就寝中であったことが被害の大きさに繋がった可能性も指摘されています。通常であれば、速度超過で危険を感じ、衝突のショックと同時に本能的に防御姿勢をとりますが、就寝中のため何の抵抗もなくショックを受けてしまったようです。なくなられた多くの方が頭部や頸部に損傷があったようですから、両腕で頭を守ったり、体を丸くしていればもう少し被害は軽かったかもしれません。

 次の事件は大雪です。先週月曜日の早朝から降り出した雪は、通勤時間帯に大きな影響をもたらしました。車両基地の故障も重なった京王線では、通常の2〜3割の本数しか電車を走らせることが出来ず、3〜4時間というとてつもない遅れを生んでしまいました。その他の私鉄でも大幅な遅れが生じ、首都機能が混乱しました。とはいえ後半から雨模様となり、夕刻からは大きな混乱もなく翌日を迎えることができたのは、何よりとおもいます。とはいえこの程度の雪で毎度機能停止してしまう鉄道のあり方にも大きな疑問がありますし、数倍の雪が毎日降るような札幌では、多くの電車に遅れを来すことはありませんから、鉄道各社の対策に根本的な問題があるとしか思えません。

 そして最後は、世界中で起きているネットワークカメラや複合機の情報漏洩です。www.insecam.orgというサイトでは、世界中に設置されたネットワークカメラの映像を一般に提供しています。その多くが監視カメラのようであり、さまざまな企業や建物の駐車場や倉庫、工場内、会議室、店頭などの画像が世界に向かって公開されています。休日のため動きは少なかったですが、それでもいくつかの映像はどこかのお店の監視カメラであることが分かりましたし、店員と顧客のやりとりが実際に確認できました。ガソリンスタンドの映像も多く、日付を見ても現在の状況をリアルタイムで映していることが分かります。

 同様に複合機のデータも、ネットを経由して閲覧できることも分かってきました。各地の大学の複合機から情報が漏洩していることが新聞社の報道で分かりましたが、その後多くの企業の複合機も同じ状態であり、コピーや出力した情報がネットワークから自由に閲覧可能になっているようです。最近の複合機は機械内にハードディスクが搭載されていますから、会社の機密データをごっそり盗まれる、あるいは盗まれていることも十分に考えられますし、医療機関であれば患者の個人情報も漏洩している可能性があるため、早急な対策と調査が行われることが望ましいと思われます。

 ネットワークカメラも複合機も、デフォルトパスワードを変更する、セキュリティの高いルーターを導入するなどで漏洩を防ぐことができますが、利用者の意識不足からこれらの対策が採られていなかったようです。今後新しい情報機器やさまざまなデバイスが利用され、インターネットにつながれるケースが増えると思われますから、このような問題は今後も起き続ける可能性が高いと思われます。

 これらいずれの事件も、高度情報化によって防ぐことが可能です。バスが自動走行を始めれば、基本的にこのような事故は起きなくなるでしょう。シートベルトが締められていなければその個人に警告し、GPSに従って行き先を目指すだけでなく、傾斜やカーブも自動的に検知し、安全に走行することができるようになるでしょう。また他律的な要因で万が一事故になっても、その瞬間にエアバッグなどの安全装置を発動できるようになれば、乗員の安全が最大限守られます。

 電車の遅れも、鉄道会社の対策でどうにでもなると思われます。架線や線路などに、防雪対策をこうじていないことと、雪の日の鉄道利用者増が遅れの原因と考えられます。雪国同様のさまざまな対策を架線や線路に行えばよいのですが、それではコスト効率がよくないのでしょう。となると、雪の日だけの対策が首都圏では必要となります。まずは気象予測ですが、かなりの確率で降雪を予測できるようになりました。また過去の事例を探れば、すべての架線や線路に故障が起きるわけではなく、起きやすい箇所が見つかるはずです。となるとそこを中心とした融雪等の対策を講じればいいことになります。また乗車についても、改札での入場制限を行い、ホーム上で円滑に乗降出来るようにすべきでしょう。最近はホームでのドア設置も増えていますから、ホームドアを上手に使うことで乗降数をコントロールできるはずですし、駅の外で多少待機があっても、電車の遅れがなければ結局円滑に電車を動かすことも出来るはずです。

 最後の情報漏洩ですが、ユーザー側ではなくメーカやデバイス側での対策が重要になるでしょう。デフォルトのパスワードであることを利用の都度ユーザに告知する仕組みを取り入れたり、保証登録を行った際にメーカーがそのデバイス毎に異なるパスワードを自動付与すれば良いと思われます。メーカーは個人情報同様パスワードを厳重に保管しなければなりませんが、少なくとも利用者側はメーカーしか知らないユニークなパスワードで守られることになりますので、安全度は高まるはずです。

 このように情報技術の進化が、これまでできなかったことや難しかったことを可能にします。大切なことは諦めずに考え続けることですし、その結果としてよりよい社会が生まれていくことを、私は心から願っています。