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Weekly report

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 February Fourth week

 パナソニックが、同性婚などLGBTの方々の差別となる規程を改める決定をしました。これにより、LGBTの方々でも通常の結婚同様にパートナーを配偶者として認められ、休暇や祝金を取得することが可能になるようです。IBMやレナウンなどの大手企業でも同様の取り組みが始まるようで、LGBTの方々が社会的に認知され平等に扱われるきっかけとなるかもしれません。

 ご存知のとおりLGBTとは、レズ(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシャル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の略であり、これらの性的少数者を意味します。現代の世界の多くの国々では異性愛が通常とされ、それ以外について考えられることはありませんでした。宗教的には異性愛以外を認めず、差別してきた歴史もあります。日本の法律も異性愛を前提としていますから、LGBTの方々は法的な婚姻も成立しませんし、配偶者としての権利も取得できません。したがってLGBTの方々が事実上の婚姻を行っても、配偶者としての一切の権利は存在せず、相続等もできないことになります。

 しかしLGBTの存在が徐々に知られるようになり、宗教的な観点以外にそれらの関係を排除する明確な根拠が存在しないことが理解されてきています。また多くの著名人がLGBTであることをカミングアウトするようになってきたこともあり、社会的にも認知されるようになってきました。

 こういった動きによって自治体でも事実的にLGBTの方々の婚姻を認め、権利を付与しようとする動きが始まっています。東京でも渋谷区や世田谷区が事実婚の証明をおこなっていますし、これらに追従する自治体も増えていくでしょう。同時に多くの企業でも、この動きが強まっていくと思われます。今は一部の企業だけですが、国際的な企業であればこの問題の解決は不可欠になるでしょうし、日本企業でもこれらに対する理解を示す企業が増えると思われます。LGTBをカミングアウトするか否かは個人の自由ですが、その扱いに差別や不具合を感じる方々にとっては、こういった企業や自治体の動きは朗報のように思われます。

 ご存知の方もいらっしゃいますが、私が四半世紀通い続けた懇意の飲み屋のマスターも、その世界では大変著名なゲイの方でした。残念ながら今は引退されてしまいましたが、その方は本当に膨大の知識を持ちサービス精神にあふれた気品ある方であり、若造の私に社会の様々なことを教えていただきました。そういった方を直接知り合ったり話したりの機会が初めてでしたから最初は相当戸惑いましたが、結局は人としての品性や高潔さがすべてであり、ジェンダーが人を決めるわけではない、ということを随分教えられたような気がします。むしろ男女両面の視点を持つことで、私の知りえなかった配慮や視点の違いを教えられましたし、それは今でも色々な方とのおつきあいにおいて役立っていると感じます。

 こう考えてみると、LGBTであるがゆえに差別されたり、それを隠し続けなければならないのは、明らかに差別と感じざるをえません。ダイバーシティという言葉が古びてしまった感もありますが、人間を分類すれば世界の人口の数だけの種類があることになります。それを多数決のように分類し、その分類に入れなければ排除する、というのはやはり古い常識に基づいた問題のある考えといわざるをえないでしょう。

 すべての違いを個性、という考え方に違和感はありますが、たしかに人はみんな違います。その違う人間が共有した目的に向かって努力するのが組織活動ですし、LGBTであることがその場にいる人間を差別する理由になってはなりません。もちろんLGBT以外にも性別や国籍、年齢、学歴や職歴、身体や精神の障害や学習障害なども、すべて差別の理由としてはいけないように思われます。すくなくとも組織やコミュニティにおいてそれらを排除しないことが、豊かで平和な社会を作り出す源泉になるように私には思えてなりません。

 こういった取り組みを行う企業が増えると同時に、そこに参加するすべての人々の意識が徐々に変わることを私は心から願っています。