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Weekly report

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 March Fourth week

 多くの企業の2015年度が終わろうとしています。各社は今年度の成績をまとめる決算が始まります。決して経済がよいとはいえない中での決算ですが、各企業とも利益をなんとか捻出できるよう最後の努力をするのでしょう。もちろん東芝やシャープなど、今まで日本経済を担ってきた企業が手痛いダメージを表面に出さざるを得ない状況になった年でもありました。消費税引き上げの根拠ともなる大事な年ですから、状況を冷静に見守りたいと思いますし、個人的にはこのまま消費税が据え置きになり、少しでも経済が活性化することを心から願うのみです。

 また今週の末には2016年度も始まり、電車が異様に混むシーズンになります。期待と不安を胸に多くの社会人が経済活動の世界に本格参入してきます。震災の影響が少なく就職状況もよくなってからの新人さんですから、屈託のない世代なのかもしれません。しかしよりデジタルネイティブ化された世代ともいえますから、あらゆる意味で不安は残ります。SNSやインターネットの影響を強く受け、考えるよりも調べる、調べたことを覚える世代といえますから、正解のない社会で戸惑うことは間違いないでしょう。また優秀な企業に来る若者ほど学校の成績のよい素直な若者が多いでしょうから、理不尽の塊である会社組織でどう対応していくかを苦労することになると思います。いずれにせよ受け入れる企業側、参加する若者側とも、いままでと違った環境や対応が必要になるとは思われます。

 私も来週から多くの若者と出会うことになりますが、老頭児のカビの生えた感性を押しつけることなく、ビジネスの楽しさや厳しさを教えていきたいと思っています。とうとう自分の子供よりも下の世代を教えることになったことは感慨無量ですが、誰もがいつかは通る道と理解して、精一杯後進の育成を図りたいと思っています。

 閑話休題。

 ここからは私事の内容ですが、お暇であればお付き合いを。

 先日とうとう長きにわたり愛用した車と、お別れすることになりました。購入したのが平成7年ですから、なんと20年間もつきあったことになります。思い出してみると、独立して初めてきちんと執筆した本が思わぬヒットとなり、その印税で購入した車でもあります。自分でも驚くほどの印税収入がありましたら、ローン無しの即金で車が購入できました。

 当時最新鋭だったリモコンドアロックやカーナビゲーションシステムを搭載した車であり、先進的な車でした。今では死語になってしまいましたが、カーナビゲーションはRISCチップ搭載の最新鋭機であり、ナビゲーションシステムだけで40万円以上したことを覚えています。それでも書籍の地図が不要になったことは画期的でしたし、今どこを走っているかを瞬時に知れるということに衝撃を受けたことを覚えています。

 アメリカでは一般的でも日本では珍しいミニバンのはしりの車でしたから、購入当時は非常に目立ちました。ミニバンを購入しようと考えていた私にとっては非常に魅力的な車であり、発売当日ディーラの開店と同時に店を訪ね、即決で購入したことを覚えています。結果的に大ヒットした車であり、街中で多くこの車を見かけるようになっていきました。その上各自動車メーカーがこの車種を追いかけたため、時代的にミニバンブームになっていきました。

 ワンボックスではない7人乗りでしたので、それまで小型のセダンしか運転していなかった家内も問題なく運転できました。3列シートの室内は4人家族には十分広く、さまざまなシーンで沢山の荷物を積んでずいぶん重宝しました。私の家族と両親を乗せても余裕であり、各地へ遠方まででかけたものです。購入当時はベビーシートが必要でしたが、やがて全員が大人になり、広い室内も徐々に狭くなっていったことも思い出の一つです。

 最初に購入した家からの引越の際にも、ずいぶん活躍してくれました。IKEAなどで大きな家具を購入しても問題なく運べましたし、ITアシストの引越の際にも活躍できました。もちろんダイビングツアーで多くの客を乗せましたし、多人数とレンタル機材を載せても余裕で出かけられました。海潜亭の開業の際には、 それまで以上にずいぶん長距離を走ってくれるようになりましたし、実に多種多様の物品をはこんでくれました。

 こうして思い起こしてみると、本当に思い出の詰まった車でした。その車とお別れすることになったのは、心からさみしく涙がでるような体験になるとは思いませんでした。長きにわたって使った道具には付喪神がやどると言われますが、それを実感するように相棒のように感じられます。一度として事故を起こさず、また重大な事態でも私を見守り体を張って守ってくれたような気がします。私の一番輝いていた時代を支えてくれた車ですから、今回の別れには万感胸に詰まる気持ちになりました。

 人生には数多くの出会いと別れがあります。多くの人と知り合い、別れをしなければならないときがあります。さまざまな愛用する身の回りのものも、長く使えば愛着がわきますが、いつかは別れが訪れます。工業製品であっても、その人だけのものになる瞬間があり、そこからは人生の相棒として様々な活躍をしてくれます。別れが辛くなるほどの愛着を生めるような道具を、エンジニアは作り出さなければならないことを、今回遅まきながらに教えられたような気がします。

 ありがとう、RA1オデッセイ。そしてさようなら。