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Weekly report

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 August Second week

 リオオリンピックが始まりました。

 工期の遅れや治安の問題がありつつも、どうにか無事に始まったようです。今後各国の選手が存分に実力を発揮し、各種のメダルを獲得することを期待するばかりです。もちろん日本選手も、その中でよりよい結果を得て欲しいと思いますし、多くのメダルを獲得することを期待したいと思います。

 しかし毎度同じことを心配しますが、過度に選手に期待することは望ましいことと思えません。参加する選手全員がよりよい結果を出すために、この日に向けて最大の努力を払ってきます。しかし競争である以上、結果は必ずしも本人が望むとおりになるわけではありません。結果として、金メダルが確実と言われている選手でも、銀メダルになったりメダルが取れないこともありえます。期待どおりの結果を出せなかった選手の落胆は計り知れないものがありますが、それに追い打ちをかけるのがメディアです。まるで戦犯のように失敗を書き立て、選手を追い込みます。下手をすれば選手生命を途絶えさせるほどのプレッシャーになることもありますし、その選手のその後の人生を大きく変えてしまう結果になることもあります。

 我々は選手を応援すべきですが、それは選手の活躍を後押しすべきためです。決して期待どおりの結果を出させるためではありません。ましてや結果はすべて選手のものであり、我々はその努力と結果を讃えるべきです。メディアもそれにならって公正に結果を報道し、選手の活躍を讃えるべきと考えます。今回のオリンピックでは、そういったことが起きない事を心から願いたいと思います。

 もう一つの心配が、現地の治安と選手の安全の問題です。初日の前日にスタジアムそばの乗り合いバスがバスジャックされ、外国人観光客を苦踏む乗客からスマートフォンや金品を強奪していきました。オリンピック中は最大の警備が行われますが、街中あらゆる所の警備が行えることはありません。強盗等を行う人間は見境がありませんから、選手でも観光客でも区別なく狙ってくるでしょう。これによって将来のある選手に、選手生命を危うくするような事態が起きることもありえないことではありません。もちろんそれ以上に、テロの危険性も排除できません。比較的武器や弾薬の入手が可能な国ですから、一旦本格的なテロを企てると大きな被害が生じる可能性があります。ブラジル警察と軍の努力によって、オリンピック期間中に大きな事態が生じないことを心から願うのみです。

 日本からも国会議員や都知事がリオに視察に向かっていますが、今回のリオの警備体制を十分参考にして、東京オリンピックでテロが起きる可能性を極小化していただきたいと思います。四年間の年月は、社会を大きく変動させるでしょうし、大きく技術も進歩します。テロを企てる攻める側、テロを防ぐ守る側ともに環境や技術の変化を上手に捉え、それぞれの効果的な策を講じていくことになりますし、守る側の実力が攻める側を圧倒的に上回ることを切に望んでいます。

 とはいえ先日のニースのテロのように、銃器や爆薬がなくてもテロを起こせることが証明されています。 911もそうでしたが、テロリストが本気になれば、あらゆるものをテロの武器として利用することができます。農薬や化学薬品で爆弾をつくることはできますし、飛行機やトラックなど重量があり加速できるものであればテロの道具として利用できます。ドローンなどは恰好の道具になり得るでしょうし、武器として利用しなくても偵察などに利用できます。

 もちろんサイバーテロも、警戒しなければなりません。2020年には相当にスマートシティ化が進むでしょうし、レベル2やレベル3の自走自動車も数多く行き交うようになっていると思われます。交通機関や宿泊施設と会場をつなぐバスも、無人運転の可能性もあります。建物も自動化され、警備のためにあらゆる箇所にセンサーやカメラが埋め込まれるようになるでしょう。しかしそれは同時に、ハッキングによってテロリストの武器になる可能性がありますし、使い方によっては甚大な被害を生むことが可能です。もちろんネットやスマホに虚偽の情報を流したり、さまざまなネットワークを停止させるなども考えられ、さまざまな方法の組み合わせで社会を混乱に陥れたり、人々の生命を脅かすことも十分に考えられるのです。

 さらに2020年に向けて開発されるあらゆるソフトウェアにバックドアが仕掛けられたり、スリーパー型(期日まで機能を発揮しない)の機能を埋め込まれる可能性があります。ましてやオフショアで開発をするのであれば、テロ思想をもったプログラマーがこういったことを行ってくることも十分考えられますし、結合テストや総合テストでそれらが発見される可能性はきわめて低いと思われるのです。そのソフトを動かす会社は、まったく意図せずテロに荷担することになるでしょうし、開発会社共々社会的な批判を受けることは間違いありません。

 2020年の東京オリンピックに向けて、こういった物理的・論理的な脅威が生まれることを我々は警戒しなければなりません。さらに我々ITエンジニアは、こういった事態の発生を防ぎ可能性のある人間を見つけ出せる仕組みを作ったり、テロの実行を阻止する仕組みをあらゆる機器に組み込んでいく必要があります。そしてなにより、すべてのプログラムにこういった可能性があることを認識し、一人一人が責任を持って担当するプログラムやシステムにおけるテロの可能性を発見し取り除いていかなければなりません。