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Weekly report

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 October First week

 歴史的な提携が発表されました。

 9月29日、米国の有力IT企業が人工知能分野の研究と最適事例の実施に向けた提携を行いました。参加したのは、Amazon、Facebook、Google、Microsoft、IBMの5社です。それぞれの企業がITに関わる様々な分野での強力なライバルですから、それらの企業がAIで提携したことは今後のAI分野の主導権が確実にこのグループに握られることを意味します。この提携は閉鎖的なものでなく広い分野の研究者や企業をも求めるようですから、ますますAI分野のデファクトになる可能性があります。日本企業は一社も入っていませんから、上手にこのグループとの連携をとっていかないとこの分野でも負け組になる可能性があります。

 もちろんオラクルやAppleなどの有力企業はこのグループにとりあえず参加していませんから、対立軸のグループも生まれてくるかも知れません。それでも技術もノウハウも実践例も持っているこれらの企業の提携を凌駕するグループを作ることは至難の業と思われます。日本も狭い世界の競い合いをしているだけでなく、こういった戦略的な提携と実践を目指していかなければならない時期に来ていることを真剣に考えるべきです。

 先日メディアで紹介されていましたが、ソフトバンクのPepperがけん玉を覚える映像が発表されました。最初だけ人間がPepperの手を取ってやり方を教えるのですが、その後はPepperが一人で練習を始め、なんと100目のトライで成功させています。101回目からは連続で10回成功させるなど、一回の成功を覚えそれをくり返す映像には本当に驚かされました。もちろんこれを成功させた原因が、AIです。初期の動作をPepperのセンサーを伝って覚え、それをプログラム化して同じ動きを再現します。カメラでボールの軌跡をトレースしていますから、その軌道が分かるよう少しずつプログラムの変数を変更していったのでしょう。そして成功によって最適解を見つけ、あとは同じ動作をくり返す。まさにAIによる問題解決の最適例のように思われましたし、ディープラーニングのすごさを目の当たりにさせられました。

 このようにAIは、多くの人間の生活を変える可能性がありますし、人間には不可能だった動作や行動を行うことも可能になります。医学や交通、物流や製造など、ありとあらゆる分野での活用が期待されますし、その機能によって全く新しい仕組みや方法を作り出したり、今まで解決の出来なかった問題も解決できる可能性もあります。

 たとえば渋滞を緩和するための方法を、AIは考え出す可能性があります。交通量をもとに信号のタイミングなどを変える、ナビゲーションの案内ルートを個々の車両毎に調整し、さまざまな道の車の流れの量や方向をコントロールする、などを行えば、渋滞がなくせる可能性があります。

 医学分野でも、世界中のあらゆる症例を元に病気を的確に診断したり、薬の最適な組み合わせや効果的な飲み方なども個々人単位で処方してくれるかも知れません。物流分野ですと宅配の指定時間を分単位にし、それをエリアでリアルタイム調整しながら配達できるようになるかも知れません。

 このようにAIの活用分野は無限であり、これまで解決の出来なかった問題を解決したり、新たな仕組みを描き出すことが可能なのです。こう考えると、5社の提携の意味とその脅威が理解しやすいですし、彼らの先見性とその実行力には感服するしかありません。ただよりよい進化と正しい技術開発のためには、必ず強力なライバルが必要です。そのライバルの一角に日本企業が加わり、より素晴らしい社会を作りだしてくれることを、私は心から願わざるを得ません。