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Weekly report

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 November Third week

 Amazonがますますサービスを拡充してきました。

 先日Amazonは、注文後一時間での配達を行う「プライム ナウ」のサービスを23区内に拡充しました。これにより東京23区、神奈川県の横浜、川崎、大阪府、兵庫県、千葉県の一部での配達が行われることになり、そのエリアは次々拡大していくのでしょう。扱い品目数も当初の2万点から徐々に増え、6万5千点以上になったようですので、日用品を取り扱う商店やスーパーにとって、あまねく脅威となっていくでしょう。

 日常品を購入することは、誰にでも必要なことです。多くのスーパーや商店は、日常に必要な様々なものを店舗に並べ、顧客を待つことになります。顧客は距離や価格で購入する店舗を決めて、必要なものを購入します。欲しい商品がない場合は他のブランドや代替の商品を購入するでしょうし、最悪近隣の店舗を探して購入してきたのが昔の買い物風景でした。その頃はお茶や魚、卵などの専門店があり、複数の店舗を巡って必要な商品を手に入れることが普通でした。やがてスーパーマーケットの出現とともに多くの商品が一カ所で変えるようになりましたが、お茶やパンなどそれぞれの家庭のこだわりが出る部分は専門店の領域が守られてきました。

 やがてスーパーマーケットの大型化によって品揃えがあがり、地元の商店街の優位性が失われます。特に郊外にできた複合店舗型のパワーストアが商店街の状況を変え、小さい店舗の廃業がつづきシャッターかします。特に生鮮食料品以外の在庫を持つ店舗は在庫負担に耐えられず、閉店を続けることになりました。その後不動産屋やクリーニングや、ヘアサロン、マッサージ店などのサービスを提供する店舗が沢山出現しましたが、シャッター化した商店街を復活させるまでにはなりませんでした。

 そしてインターネットの普及が、その他の商店の閉店を促します。Amazonの出現で直接影響を受けたのは書店、CDショップであり、最近になっては大型書店チェーンの閉店も続いています。やがて日用品もネットで購入できるとなるとスーパーマーケットも直接影響を受け、イトーヨーカ堂などの最大手であっても閉店を余儀なくされる状況が始まっています。コンビニは頭打ちで合併による生き残りを図っていますし、その他のリアル店舗で元気があるのは宅配業者ぐらいではないでしょうか。このようにAmazonの出現によって、日本の商業環境は次々変化しています。今回の「プライム ナウ」は、さらにこの状況を進めるものとなりますし、残ったスーパー等も対策を考えざるを得なくなってきました。

 ネットで購入すると、買い物の手間もなくなりますし、自分が一番好む製品を買うことが可能になります。これまでは基本的に前日までに発注しなければなりませんでしたが、「プライム ナウ」のようなサービスですと、午前中に発注すれば午後には手に入りますし、待ち時間もたったの1時間です。2時間待ちで良ければ手数料もかからないため、主婦や老人にとってはこの上なく便利なサービスといえます。当面はネットスーパーとそうかわらない品揃えかも知れませんが、やがてはAmazonならではの珍しい商品を手に入る可能性が高まりますから、今後の可能性は無限に近いかも知れません。米や瓶・缶などの重たい商品も玄関まで運んでもらえますから、老人にとっては本当に便利なサービスといえます。

 しかしこの状況を支えているのは基本的に宅配業者である、ということを忘れてはなりません。短時間できめ細かなサービスを提供するということは、宅配業者がコンビニ並みに365日営業になるということです。現在は24時間でなくても、伝票の整理やトラックに積み込む手間を考えると、限りなく24時間に近く稼働していることになります。今後は実際の配送についても24時間サービスも始まるでしょうから、宅配業者の負担は限りないと言わざるを得ません。物流量の増加とともに荷主側はコストダウンを迫るでしょうし、配送数が増えるとなると不在に対する再配達の手間も幾何級数的に増えます。重量物であれば何度も何度も階段を上り下りする必要がありますから、人間がこういった業務を行い続けるのは早晩限界を迎える可能性が高いといえます。

 こういうリアルビジネスがネットに移行していくことは避けられないでしょうし、それは今までとは違った様々な問題を我々に突きつけます。この問題を現状のビジネスモデルで解消できないとすると、やはり新しいイノベーションを起こしていくしかないことに気づかされます。

 まずは時間指定配達について、やがてはITを使った最適化配送に変わっていくと思われます。配達前に顧客に情報を与え、5〜10分単位で配達時間を決めるようになるでしょう。車のルートはAIによるリアルタイムシミュレーションが行われ、ナビゲーションシステムによって最適な時間に届くよう編成されるでしょう。車の運転は自動化されるでしょうし、配達行為はロボットやドローンが行うようになります。もちろん預かりの方法もいろいろ考えられるでしょうし、預かりから家まで運ぶ手段も考えられると思われます。たとえば駅預かりの荷物を近くの窓口に持っていけば、再度ロボットやドローンで配達してもらえるような仕組みが出現すると思われます。

 このようにこれまでなかったサービスが新たな問題を引き起こし、それを解決するためにまた新たなビジネスモデルや仕組みが考えられます。そしてそれらすべての仕組みにITが使われる以上、ITエンジニアは常に新たな仕組みを考え続けることが求められることを忘れてはなりません。