米国で、トランプ新大統領が任命されました。さまざまな憶測は飛び交いますが、新しい時代が始まったことは間違いありません。
大統領の就任式は混乱なく実施されましたが、就任式会場の外では沢山の反対デモが起きました。その一部では暴徒と化した参加者が暴動を起こしていたことは、非常に驚きでした。その映像はどこかの独裁国家の様相でしたし、米国民内の分裂がものすごく明確になっていました。就任式に参加したのも白人男性ばかりが目立ち、他人種や女性の姿がほとんど見られないのも気になりました。そこには差別と偏見が露骨に見えましたし、今後の失望と迷走、混乱が強く象徴されていたように思います。
幼稚で単細胞なトップが、個人の独断で組織を振り回せば、組織は確実に混乱し疲弊していきます。独断は一旦短期的な効果を発揮しますが、そこに策がなければあくまでも一時的なものであり、その後の反動が強く生まれてくるだけです。環境を無視した行動は混乱と軋轢を生みますし、やがては孤立し衰退することは間違いありません。かつて多くの国家や企業が陥った状況であり、それを再び大国がくり返そうとするのは奢りと感情的な行動以外のなにものでもありません。
新大統領が就任後行った行動は、前政権の否定だけであり発展的な政策発表はありませんでした。保護主義を強く訴え、TPPや環境協定からの離脱を明確にしただけでした。複雑な世界を単純化し、自国だけが有利であればいいと明確に世界に示してしまいました。軍事力を強化し、自国に不利になることは単純に力で押さえ込むことをあきらかにしたことは、今後の世界の混乱を象徴していたように思われます。このままの姿勢で政権を運営すれば弾劾の可能性もあるでしょうし、そこに至るまで世界を大混乱に陥れることはきわめて可能性が高いと思われます。一番恐れるのは、政策失敗の精算を戦争によって行う可能性があると言うことでしょう。国民の目線をそらし自国の利益を高める方法として、戦争は一番簡単な方法といえます。
今後期待することは、米国議会が正しく機能し単細胞なトップの子供のような振る舞いを押さえ込むことです。これまでも多くの問題がありましたが、米国議会が正しく機能すれば最悪を脱することは可能に思えます。心ある議員が少しでもトップの暴走を防ぎ、多くの国民が納得し世界が安定する方法を議決・実施されることを心から願いたいと思います。
ともあれこの不安定な世界において、今後の経済が混乱することは間違いないでしょう。対米輸出を行っている国や企業は混乱に巻き込まれるでしょうし、米国企業もコストに有利な国での生産が厳しくなりますから、製品の価格が高騰することは避けられないでしょう。中国製品など安価な製品の輸入を規制するわけですから、結果として物価はあがり中流の米国民の生活は期待と反してより厳しくなる可能性は高まります。反面金融政策は緩和傾向ですから、ますます金持ち有利な経済となり、結果として米国経済の疲弊が世界に影響する可能性があります。欧州も英国のEU離脱の影響が出てくるでしょうし、他国も右派政党の台頭による混乱が予想されます。移民問題を抜本的に解決するのは鎖国と締め出ししかないため、さらなる戦争や内乱の可能性が高まります。
このように世界は、否がおうでも混乱の時代に突入しました。我々にできることは、これ以上愚かな政治家を生まないよう正しい判断をすることですし、多くの知識を身につけて冷静で論理的な行動を起こすことです。政治家の暴走を止められるのは、一人一人の国民の理性と行動です。世界が反対に動いているからこそ、もう一度この当たり前の事を我々は思い出さなければなりません。
子供達が安心して暮らせる平和で豊かな世界を作るために、我々は今何をすべきか真剣に考えることが世界中で求められています。