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Weekly report

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 January Fifth week

 米トランプ大統領が、いよいよ政権運営を始めました。一部には就任後の活動は常識的に変わっていくのではないかという憶測がありましたが、結果としては独裁者同然に大統領令を乱発し、自らの支援者である各種企業に短絡的に有利な政策を推し進めています。

 日本の首相が事前のご機嫌取りで「米国の離脱はない」、と断言していたTPPも早速離脱という大統領令を発効しましたし、オバマケアは早々に廃止されました。メキシコとの国境に壁を構築することも決定しましたし、オバマ前大統領が地中に流出する原油が環境問題に繋がるということで中止した石油パイプラインについても、建設再開の大統領令も発効しました。パイプラインについては、米国の土壌汚染だけでなく化石燃料をベースとした製造業強化を目指しているようですから、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出量制限にも逆行する政策となりますので、世界的な取り組みと反することを平気で行ったことになります。

 何より驚いたのは、イスラム教徒の入国制限です。テロリストの流入を防ぐという名目で、シリア、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンからの入国者を90日間制限する大統領令を発令しました。一国の元首がこれほどの差別を堂々と行うことは世界的にもまれと思われますし、権力さえ持てばどのような独善も許されてしまうという恐ろしい事態を見せつけられた気がします。

 他国の事ながらこの事態を俯瞰してみると、トランプ大統領がドラえもんのジャイアンに見えてきます。「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」と傍若無人に振る舞う姿はそっくりですし、都合のいいときだけ仲間にすり寄ったり、強いものに阿る姿勢もよく似ています。何よりすべての出来事に対する感情的な対応が、ジャイアンそのものに見えるのかも知れません。

 となると、我々はスネ夫になるか、のび太になるかの選択をしなければならなくなります。お金持ちの息子でジャイアンに嫌われないように行動するスネ夫か、暴力的で独善なジャイアンを嫌いながらも、一定の距離でつきあおうとするのび太を選ぶのか、どちらが賢いかを考える必要があるように思うのです。残念ながら今の国の姿勢を見る限り、どうもスネ夫を選ぶ気配が強いように思われます。暴力を振るわれたり嫌われることを恐れ、それが誤っていることを知りながらもジャイアンに取り入り守ってもらおうとするスネ夫が、現在の日本の選択なのかも知れません。しかしその選択によってジャイアンにたかられたり便利に使われるだけでなく、他者からジャイアンが嫌われるときは一緒に嫌われる存在になってしまうことに我々は気づく必要があるのです。

 一番望ましい選択は、ジャイアンと対等な立場に立つ出来杉君を選ぶべきなのですが、あらゆる分野で凋落の激しい日本の現状を考えると、残念ながら出来杉君としての実力がないと言わざるを得ないのが実態でしょう。このような状況を考えると、やはり正しい選択はのび太になることのように私には思えます。傍若無人な振る舞いや理不尽な暴力を恐れながらも、一定の距離を保ってジャイアントつきあうのび太の姿勢は、誰からも嫌われることはありません。

 のび太がそのポジションにいれるのは、やはりドラえもんの力が大きいように思います。のび太の窮地を救うべくさまざまなアイテムを提供し、のび太と一緒に運命を享受するドラえもんの存在が重要であることは間違いありません。ドラえもんはさまざまな未来の道具を提供しますが、のび太はそれを正しく使えないこともあります。さらにドラえもんが提供する道具を使っても問題が解決できないケースも良くありますし、ドラえもん自身も巻き込まれのび太と窮地をともにし一喜一憂することもよくあります。ドラえもんはのび太を甘やかしませんが、それでも本当に困ったときはのび太君を救うという選択を行います。こうしてのび太はジャイアンと一定の距離を保ち、スネ夫とは違う自立した道を歩みます。

 こう考えてみると我々はスネ夫ではなく、のび太としてジャイアンにつきあうことが賢いと私には思えます。となると我々はドラえもんを探さなければなりませんが、翌々考えてみると我々にとってのドラえもんは、日本の情報技術であるように思えるのです。さまざまな発想によって生まれたアイディアを上手に使い、日本の窮地を救う。誰も見たことがない新しくてスマートな道具によって、万人が幸せに暮らせる社会をつくるドラえもんとしての活躍が、情報技術を扱うすべての人々に求められている気がするのです。逆に我々がドラえもんになれなければ、結果として金しか持たないスネ夫になり、世界の中で孤立した国になってしまう可能性が高いことを我々は忘れてはなりません。

 いまこそ我々がドラえもんになる時です。そのために我々は明るい未来を描き、それを実現するアイディアと技術を生み出さなければなりません。ドラえもんは、今こそ未来から現在にやってくるべきタイミングであることを、私は確信しています。