リアルタイム自動翻訳機、iliが発表されました。ウェアラブル音声翻訳デバイスと謳われていますが、リアルタイムでデバイスに話しかけるだけで日本語・英語・中国語に変換される便利な機械ですので、今後の普及が楽しみなデバイスになりそうです。
このili、日本のログバーというベンチャー企業が開発した機械のようです。ログバーという企業は、Ring
ZEROというジェスチャーによるスマートフォン操作を可能にする指輪型デバイスを開発した企業であり、数年前少し話題になったことを覚えています。指に付けた指輪型デバイスによってスマートフォンの専用アプリケーションを操作し、それを経由してさまざまな電化製品の操作ができるというのが売り物だったと記憶しています。
Ring
ZEROのジェスチャーによるスマートフォンや電化製品の操作というユニークさは面白いと思いましたが、現物がやや大きくそれほど普及はしなかったように記憶しています。私も現物をヨドバシカメラかどこかで見た記憶がありますが、もう二回りぐらい小さくなって大きめの指輪サイズになれば、もっと可能性は高まり普及が進むように思いました。
今回のiliは、Ring
ZEROとはまったく違った製品になりますが、その製品に対する発想や感性は同一のものを感じます。今までにないものを形作ろうとする姿勢は非常に評価できますし、今回はiliは価格次第ですがRing
ZEROよりははるかに多く売れる可能性があると思います。
気になる価格ですが、企業向けには1台あたり月4000円での貸出を開始するようですが、個人向けの販売価格などは発表されていないようです。おそらくは数万円の商品になると思われますので、劇的に普及は難しくても店舗や観光名所など利用機会の多い場所で購入する人はいると思われます。企業が個人向けにレンタルしたり、内外のパックツアーのオプションにしたり、ホテル等での個人向けの貸出なども考えられるため、私の予想以上の普及が見込めるのかも知れません。
私個人としては、外国人との会話ではなく個人の英会話練習などのツールとしての可能性が広いと思います。辞書の追加機能も持っているようですから、そのメモリー次第ではさまざまなシチュエーションにおける会話練習も可能になるでしょう。そうなると学生から社会人にいたるまで、それぞれの目的での利用価値が高まると思われます。
当初このiliというデバイスの紹介をテレビで見たとき、てっきり通信を利用したAIサービスとばかり思っていました。スマホの翻訳同様その翻訳や語彙データベースはネットワーク上にあり、音声の入出力と通信機能をデバイスが行うようなデバイスと思っていたのです。しかし実際はデバイスのみの単独で翻訳が行えるようですから、その性能は素晴らしいと思います。通信を行わないからこそ、省電力で場所を選ばす利用が可能になるのでしょう。
今回のiliを見る限り、開発者の想像力や感性の素晴らしさを感じざるを得ません。スマートフォンのアプリケーションがあるから、と諦めることなく、その不便に気づいて便利を作り出すデバイスを開発する。機能を特化し、徹底的に品質を高めようとする姿勢は、素晴らしいの一言しかありません。こういった感性をもったエンジニアがまだまだ沢山いることを誇りに思いますし、失敗を恐れずチャレンジする姿勢も本当に素晴らしいと思います。
老頭児の私としてはiliの成功を祈るばかりですが、こういった新しい発想と感性を持ったチャレンジャーが、2020年の東京オリンピックに向けて沢山名乗りを上げることに心から期待したいと思います。スマートシティは、若者の頭の中にあることを痛切に感じますし、それを一つでも表現しようとするエンジニアが出現することを心から願い応援したいと思っています。