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Weekly report

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 August Second week

 盆休みに入って、天候が不順です。私は熱川におりますが、一日中濃霧で最高気温が25℃を越えない盆休み初めてです。本来の梅雨の時期は猛暑の晴天が続き、夏本番に入ってからは雨ばかりと、本当に異常気象を感じざるを得ないこの頃です。

 さて京都市が、宿泊税の検討を始めました。

 2007年の観光立国推進基本法の施行以来、日本を訪れる外国人観光客数は年々増加しています。2007年度は850万人ほどであった訪日外国観光客数が、昨年は2,400万人と3倍ほども増加しておりこの傾向は当面続きそうです。一時の中国人観光客がそうであったように、日本で消費する 金額も相当なものであり、日本全体の景気を支える要因となっていることは事実です。今後も各地でさまざまな工夫がなされるでしょうし、訪日外国人客がまだまだ増える可能性は高いといえるでしょう。

 しかしその反面、日本のインフラそのものがそういった外国人観光客の増加に対応出来ておらずさまざまな問題が生じています。外国人観光客に人気の京都ですが、最近はバスの問題が取りざたされています。観光に訪れる多くの外国人は大きなスーツケースで来訪しますが、そのスーツケースを市民の足であるバスの中に持ち込むケースが増えているようです。高速バス等の専用バスは車体にスーツケースを収納するようになっていますが、市内を走るバスにはそういった設備がありません。したがって狭い車内に大きな荷物を持ち込み生活の足としてのバスは混雑しますし、乗り降りに時間がかかることで全体の効率も悪化します。なにより老人の多い京都ではバス以外の移動手段が限られますから、混雑は老人にとって非常に迷惑なことになります。

 さらに民泊の問題もあります。京都の街並みは、バブルの際に破壊が始まったように思います。ウナギの寝床のような京町家が連なっていた街並みは、バブルの際に地上げに遭い、少しずつ空き地が増えました。本当にはすべての家が立ち退いてマンションでも建てたかったのでしょうが、部分部分に古い家屋が残ったため、歯抜けのような街並みが多くできあがりました。その後バブルが崩壊し、大規模な開発がなされぬまま現代風の家や小規模のアパートやマンションが建つようになりました。高齢化も進み古い家屋は空き家になっていきますし、マンション等の増加によって空室も増えます。観光客は多くホテルは少ない、たとえ空いていても値段が高い、という事情に目を付けた人間が、それらの空き家や空き室を民泊用施設として利用を始めたようです。

 こうして届け出なく民泊を始める人間が増えているため、そこに住む住民にさまざまな迷惑を及ぼします。騒音の問題やゴミ出し、人の出入りの多さなどが静かな生活環境を壊しているのも事実です。さらに市民に向けた様々な公共サービスを観光客も利用しますが、税などの負担もしませんから市の負担も相当なものになっていき、本来の住民サービスの質が下がってしまうこともあるようです。

 私の母が京都出身であるため、子供の頃から現在まで年数回京都を訪れますが、やはり外国人観光客の多さは以前よりはるかに感じるようになりました。それによって日本人観光客では感じなかったさまざまな問題が生じているのは事実のように思います。文化の違いといえばそれまでですが、停留所等のベンチを休憩代わりに利用したり、店の軒先で飲食をしたり、ちょっとしたスペースがあればゴミを捨てたりと、従来の日本人観光客では余り見かけないマナーの問題を感じることが増えています。街を歩いても駅の改札等にたむろしたり、我が物顔でホテルの前に集まったりと、外国人観光客が通行の邪魔になることを本当に感じています。住民であれば相当に不満が大きくなるでしょうし、かつての静かな京都に戻すべく観光客を制限したい、と思う気持ちも分からなくはありません。

 これらの問題を解決すべく、今回京都市は宿泊者に対し数百円の税を徴収することを検討しているようです。その税を財源に外国人観光客に対するインフラを整備したり、本来の住民に生じている不利益を解消することは大賛成です。しかし民泊を利用した人間から徴収する方法など、導入に向けてまだまだ具体的に解決しなければならない問題は多いようです。

 こうして考えてみると、国内、海外を問わず観光客がさまざまな意味で住民に負担を掛けていることは間違いありません。となると、河川での釣りの許可証のように、観光客に観光税を負担してもらうことが一番合理的なように思います。鉄道やバスのチケット売り場等で市民か否かを見分け、一定の額を負担してもらうようなアイディアが一番有効に思われます。ビジネス等の場合は訪問先からバウチャー等をもらって払い戻す、市民はICカード等で見分ければそれほど難しい仕組みではないように思います。そうすればホテルや旅館、民泊のみならず他県から日帰りの観光客に対しても一定の税が徴収できますので、合理的な手段に私には思えます。こうして新しい仕組みをつくれば、さまざまな観光地で利用できますし、その税をより過ごしやすいインフラ構築に回せる可能性もあります。日本全体で考えるのであれば、入国時に徴収する方法も考えられますし、マイナンバーを使って日本人を特定することも可能かも知れません。

 観光立国を宣言した以上、京都の問題は日本のすべての観光地の問題に発展する可能性があります。だからこそ、新しい仕組みを我々は検討し、住民と観光客の両者にメリットのある方法を見つけ出さなければならないと私は考えます。

 閑話休題。

 さて個人的な話題になるのですが、私が25年来愛聴しているJAZZグループであるFourplayの三代目ギタリストであるChuck Loeb氏が、7月末に逝去されました。享年61歳と非常に若い年齢であり、おじいちゃんグループ内の若手として今後の活躍が期待されていただけに、本当に残念でなりません。

 1990年に結成された当初の初代ギタリストはLee Retenour氏でしたが、多忙により1997年に同じく名ギタリストであるLarry Carlton氏にチェンジしました。Retenour氏はメロディアスでメロウなギタープレイが特徴でしたが、Calrton氏はブルース色のつよいメロディでFourplayの雰囲気が少し変わりました。しかし2010年にみたびギタリストが代わり、三代目として加入したのがChuck Loeb氏でした。これにより再び当初のメロディアスな路線にグループの方向性が変わると共に、ベースのNathan East氏との相性が非常によくなりグループとしての成熟度は非常に高まったように思われました。事実Nathan East氏はこの三年でアルバムを二枚矢継ぎ早に発表されていますが、そのアルバムには必ずChuck Loeb氏が曲を提供し、息の合ったプレイを行っています。

 Loeb氏が参加されてからのFourplyaのアルバムのトップは彼の曲であり、代表曲のDecember Dreamはグラミー賞にノミネートされるなどさまざまな功績を残されました。しかし昨年半ばより体調を崩されFourplayのツアーに参加せず療養中でしたが、残念ながら先月末に急逝されたようです。心からご冥福をお祈りしたいと思いますが、今後のFourplayのあり方もとても心配になります。自分の近い年齢の人間が徐々にかけ始めたことは本当に残念ですし、自分の今後のあり方も本気で考えざるを得ない一件になりました。

 合掌。