急に気温が下がり、秋らしくなってきました。いよいよ今年も残り、1/4となりましたね。
さて先日トヨタ自動車のものづくりについて、面白い記事がありました。トヨタは試作にこだわるあまり最新のITを利用した製造に変化できておらず、これからの自動運転車などの開発に大きな遅れが生じる可能性があるとのことです。それに対してドイツを中心としたヨーロッパの自動車メーカーは上流工程でのIT化が進んでおり、開発速度の進化に目覚ましいものがあるようです。
かつての車造りでは、新しい車種に対する仕様をまとめ、設計を行ってきました。さまざまな要求や新しい技術を元にCADで設計をくり返し、その上で試作を行います。その試作をもとにさまざまなテストをくり返し、やがて量産試作に繋げ車を完成させていきます。ところが自動運転車になるとこのテストの工程が無限にあり、手作業による試作とテストではその開発速度が非常に遅くなってしまうのです。
これに気づいたドイツのメーカーは、VE(Virtual
Engineering)というコンピュータソフトによる使用のとりまとめと設計、ならびにコンピュータ環境上での仮想試作車によるテストを行うという方法を編み出し、自動運転車などの高度の仕様にも対応出来る設計環境を完成させているようです。これによって設計速度が高まるだけでなくテストの速度も高まりますし、その経験値もビッグデータとして蓄積されます。開発を行えば行うほど速度と精度が上がるだけでなく経験値も上がりますから、自動運転車などの新しい技術開発においてはかなり有効な方法といえます。
日本の自動車メーカーは製造技術が高いあまり、こういったIT化の対応が遅れ気味になるようです。今後の自動車が高度な技術力を要求する自動運転車などに移行すればするほど、こういったITを使った取り組みを積極的に行っていく必要がありますし、その技術力を高めていくことが日本メーカーにとって急務となっているようです。
こういったドイツの動きを見る限り、ドイツが国策として進めようとしているインダストリアル4.0の本当の意味を感じてしまいます。日本同様工業国であり、勤勉な少子高齢化社会です。日本と同様工業力と高い輸出力を誇ってきた歴史があり、国内の製造業の動きも闊達です。しかし日本と違うのは、追撃してくる東南アジアやさまざまな諸国からの競争に打ち勝つために、新しい製造体制を構築発展させようと真剣に考える国の体制があるのです。これこそが今の日本に、一番欠けているものです。
インダストリアル4.0についてはまたの機会にきちんとした説明をしたいと思いますが、まずは日本の国として今後どのように産業を維持発展させていくかという真剣な論議が、この国には求められていると思います。バブル崩壊後も未だにつづく日本優位論をそろそろ見直し、真剣に世界から学ぶべき時期が到来しているように思うのです。そして米国のイノベーションや英国のフィンテック、そしてドイツを中心としたインダストリアル4.0といったITを活用した新しい取り組みをどの分野で行い、どうやってそれを世界の中で高めていくかを真剣に考えるべき時期に来たように思うのです。
この国の明日に、それほど明るい未来があるとは思えません。なぜなら自己保身と自己都合だけで議会を解散し、政権を奪取するためだけに野党が野合するような政治に期待はできません。企業は企業でこれまでのビジネスから大幅な改革が行えず、他律的にイノベーションの出現を待っている状態で積極的な手を打てていません。働いている人間は少子高齢化と労働力の減少は続く中、生産性向上もできずただただ長時間労働で対応している状況です。このような状況では、明るい未来を描くことは難しいでしょう。
しかし私は諦めません。誰かがこの国を変えることを願うのではなく、自らが変えていけばいいからです。私が変わることを信じて、変化のために必要であることをきちんとすれば、ほんの少しでも日本を変えられることを信じているからです。それでもそれが少しずつ皆さまに広がっていけば、日本は確実に変わります。劇的な速度で変化することはなくても、少しでも変わり始めればいつかは大きな変化に繋がる可能性があるからです。最初は一滴の水が砂の一粒を動かすだけでも、やがては大地を削る大きな流れを生み出すことは可能と信じているからです。
その一歩を踏み始めるため、今日から努力を始めます。老頭児の意地を、これから本気で見せるつもりです。